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名録音を聴く~今週の一枚(最新の20件)

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ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」

ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1962年録音

この録音はRCAからリリースされたのですが実際に録音に携わったのはDeccaの録音陣であり、エンジニアはケネス・ウィルキンソン(Kenneth Wilkinson)だったのです。そして、数多くの優秀録音を残したウィルキンソンにとっても、このレイホヴィッツとの録音はとびきり優秀な一枚だったのです。そして、そう言う極めつけの優秀録音が生み出す迫力のあるオーケストラの響きゆえに「The Power Of The Orchestra」というタイトルが閃いたのかもしれません。まさにオーディオ・マニア御用達の録音です。


マーラー:交響曲第4番 ト長調

クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 (S)エリーザベト・シュヴァルツコップ 1961年4月録音

マーラー自身が思い描いていたであろう音楽の世界とは全く異質な世界であることも事実です。しかし、作品というものは創作者の手を離れてしまえば一人歩きを始めます。
おそらく、マーラーは想像もしなかったと思うのですが、この古典的均衡をもって構築された交響曲は、それはそれなりに立派なものです。そして、自然な響きを的確に捉えたEMIの録音はバルビローリの第9番の録音に通じていく原型がこの時期からすでにあったことを証明しています。


エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品38

(Cello)ジャクリーヌ・デュ・プレ:ジョン・バルビローリ指揮 ロンドン交響楽団 1965年8月19日録音

演奏に関しては今さら何も付け加える必要もないほどに有名な録音です。しかし、意外とふれられないのは録音の優秀さです。
EMIの録音はあまり宜しくないというのはオーディオ・マニアの間では「通説」になっているのですが、それはEMIの録音にはオーディオ。マニアを喜ばせるような様相が少ないからなのでしょう。しかし、この録音はこの極上の自然さがそのままバルビローリとデュ・プレの演奏の素晴らしさを再現するために貢献しています。音楽ソフトというものは録音の素晴らしさではなくて音楽の素晴らしさを伝える事が目的なのですから、これこそがもっとも理想的な「録音」の姿かも知れないのです。


ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団 1963年2月22日~26日録音

このケルテスの演奏はドヴォルザークのスコアが語りかけるものを大切にすることで、シンフォニストとしてのドヴォルザークを聞き手に提示してくれます。そして、そのケルテスの意志は「実演」ではあり得ないような「鮮明」さを追求する「Decca」録音によって大きな恩恵を受けているように思えます。


バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽, Sz.106

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年11月9日~11日録音

ともすれば鋭角的で厳しい表情になりがちなバルトークの作品を、ある意味では妖艶ささえ感じる表情で仕上げているあたりはさすがはカラヤンです。そして、そう言う演奏を捉えた録音なのですが、録音会場となったベルリンのグリューネヴァルト教会の空間情報を自然な形で誇張なく拾い上げています。
EMIはオーディオマニアからは「音が悪い」と烙印を押されてきました。それだけに、左右だけでなく前後上下に音場がひろがり、その三次元空間の中にキッチリと打楽器群が定位する生々しさは、「いったいどうしたんだ!」と言いたくなるほどの見事さです。また、その空間上にかっちりと定位した打楽器の生々しさも特筆ものです。
さらに、低弦楽器のお腹にずしりと響く力強さも遠慮なくおさめられています。


ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37

バーンスタイン指揮 (P)グレン・グールド コロンビア交響楽団 1959年5月4日録音

バーンスタインという指揮者を一つの触媒として、あれこれのピアニストを聞き比べてみるのはなかなかに知的興奮を引き起こしてくれます。
同じ若手でも、行儀良くバーンスタインの指揮下に収まっていたアントルモンやグラフマン、同じ若手でも最後は喧嘩別れしたグールド、そして19世紀の余光をまとったゼルキンの偉大さ!!
ただし、録音的にはこのグールドと組んだものが最も優れているのは、バーンスタインにとっては皮肉な結果となっているのかもしれません。


バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽, Sz.106

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1958年12月28日~29日録音

ライナーの演奏はハンガリーの「民族性」のようなものとは遠く離れたところで成り立っているように聞こえます。この「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」の精緻な表現はこの時代における一つの到達点と言ってもいいほどの優れものです。
そして、その精緻さをこの優秀録音は十全にすくい上げています。そして、その優秀さは、この演奏が蒸留水のようなものになってしまう愚に陥っていないことを、言葉をかえれば、同じ民族性を持った人にしか表現できないようなものを音楽の奥底に沈めている事も明らかにしています。


ヤナーチェク:シンフォニエッタ

ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1965年10月15日録音

この録音は「Columbia」がプロモーション用のLPという形でバルトークの「管弦楽のための協奏曲」とカップリングして販売店に配布されました。
おそらくは、録音のステレオ化に後れをとった「Columbia」が、自らのステレオ録音の優秀さをアピールするのが目的だったのでしょう。
一般的にセル&クルーブランド感の録音は今ひとつパッとしないと言われるのですが、なかなかどうして、これは実に見事な録音クオリティを誇っています。そして、このコンビの録音が硬くて冷たいと言われた原因の多くが粗悪な国内盤に起因していた事に思い至らせてくれる録音でもあります。


グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16

(P)アルトゥール・ルービンシュタイン:アルフレッド・ウォーレンステイン指揮 RCAビクター交響楽団 1956年2月11日録音

この演奏を聴いていて感じたのは、やはりルービンシュタインというのは現場型の人だという思いです。
例えば、アラウのように叙情を精緻に積み重ねて情念に至るとすれば、ルービンシュタインはそんな悠長なことはしていません。いや、そんな悠長なことをしてれば聴衆は厭きてしまうかもしれません。
ですから、彼は直裁にピアノの響きに情念を込めます。おそらく、それがこの時代のアメリカなのでしょう。
演奏そのものには色々意見はあるかもしれませんが、そういうにピアノの響きに情念を込めたルービンシュタインの素晴らしい響きは見事に収録されています。この時代の録音としては極上の部類にはいるでしょう。


ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26

Vn.ハイフェッツ サー・マルコム・サージェント指揮 ロンドン新交響楽団 1961年5月14日&16日録音

厳密に聞けば、このブルッフの協奏曲に関しては50年代の録音の方がハイフェッツらしいのでしょうが、それでも10年後のこの録音もまたハイフェッツ以外の何物でもありません。そうなると、ステレオ録音のメリットの方が大きいと言うことで、さらにそれが極めて優秀な録音だと言うこともあって、これがハイフェッツの代表盤と言わざるを得ないでしょう。ちなみに、同じ顔ぶれで録音したスコットランド幻想曲も素晴らしい演奏と録音です。


ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15

(P)カーゾン セル指揮 ロンドン交響楽団 1962年5月30日~6月1日録音

カルーショーはどこかで、「カーゾンの繊細な音の素晴らしさを録音でとらえるのは空を飛ぶ鳥をつかまえるより難しい」と語っていたそうです。伝え聞くところによると、この録音の時のセルとカーゾンの関係は最悪だったそうで、プロデューサーのカルーショーもかなり気をもんだとのことです。
しかしながら、出来上がった演奏と録音は最高のできばえというのですから、本当に音楽というものは、そして、とりわけコンチェルトというカテゴリは不思議なものです。


グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16

(P)アルトゥール・ルービンシュタイン:アルフレッド・ウォーレンステイン指揮 RCAビクター交響楽団 1961年3月10日録音

音楽的に言えば、あまりにも逞しいルービンシュタインのピアノは、北欧のリリシズムが欲しいリーグの音楽とはどこかそぐわない感じはあるのですが、録音としては見事な形に仕上がっています。
ピアノとオケがそれぞれに十全に鳴りきりながら、尚かつ両者が絶妙なバランスを実現しています。
60年代初頭のRCA録音ですから、基本的には最小限のマイクセッティングで録音されているはずです。ですから、ここで聞くことのできるバランスは、まさにスタジオにおいて鳴り響いていた物を見事なまでにすくい上げた物なのです。


コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」組曲

アンタル・ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団 (ツィンバロン)トーニ・コーヴェス 1956年11月録音

コザートたちの録音に「低域がどこまで延びているか」とか、「ダイナミックレンジがどうだ」のと言うことは不要とは思うのですが、それでも最も多彩なオーケストレーションが施された第6曲の「皇帝と廷臣たちの入場」の迫力には素晴らしいものがありますし、最後の最後のとどめのように振り下ろされるバスドラムの一撃も見事なものです。
その辺りも、己の再生システムの立ち位置をはかる上では意味のある部分だといえるかもしれません。


ベートーベン:ヴァイオリンソナタ 第9番 イ長調「クロイツェル」 Op.47

(Vn)ジノ・フランチェスカッティ (P)ロベール・カサドシュ 1958年5月12日~14日録音

フランチェスカッティの美音がたっぷり楽しめる録音なのですが、カサドシュのピアノも芯まで鳴りきっています。
しかし、何よりも素晴らしいのは、そのその二人のやり取りがまるで目の前で演じられていたかのごとき音場空間が実現されていることです。これが1958年の録音なのですから驚いてしまいます。
オーディオをやるものにとっては、この程度の編成の音楽ならば実演とニアイコールの世界を生み出したいと願うものですが、その願いを叶えるために挑戦する甲斐の録音だといえます。


ブラームス:チェロソナタ第2番 ヘ長調 作品99

(Vc)ヤーノシュ・シュタルケル (P)ジェルジ・シェベック 1964年6月録音(?)

この録音の美質は、チェロとピアノの二重奏曲という作品の特徴が見事に実現していることです。
その背景には、共演者のシェベックがただの伴奏になっていないと言うことが何よりも大切であって、まさにピアノ独奏曲として聴いても不満を感じないレベルでピアノが鳴りきっています。
これをもってピアノを伴った二重奏曲の「The Best」とは言いませんが、二重奏曲の録音の良否を判断するときの基準点となることは間違いないでしょう。


ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調  作品58

バーンスタイン指揮 (P)グレン・グールド ニューヨークフィル 1961年3月20日録音

グールドによる第1番から第4番までの録音は全て同じプロデューサー(ハワード・H・スコット)によって行われているのに、「TAS Super LP List」の優秀録音としてはこの第4番だけが「優秀録音」に選ばれています。しかし、聞き比べてみれば、この4番だけが見事なまでに3次元的な空間の広がりを感じとることが出来ます。そして、それは昨今の音場感優先の腰の砕けた薄い響きではなくて、中身がミッシリと詰まった質感豊かな響きが3次元的に広がっているのです。なるほど、これならば「優秀録音」に指定されても恥ずかしくないほどのクオリティです。


ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1961年2月8&12日録音

同じドヴォルザークの8番という事で、ケルテス&ロンドン響による「Decca録音」と、このワルター&コロンビア響による「Columbia録音」の響きを聞き比べてみると、そこからは明らかにレーベルの指向する響きの違いのようなものが見えてくるのです。
誤解を恐れずに言い切ってしまえば、「Decca」は「実演」ではあり得ないような「鮮明」さを追求するのに対して、「Columbia」は出来る限り「実演」の「ニアイコール」の世界を求めると言うことでしょうか。


モーツァルト:弦楽四重奏曲第7番 変ホ長調 K.160(159a)

バリリ弦楽四重奏団 1955年2月録音

ヴァイオリンという楽器を生で聞けばすぐに分かることなのですが、そこには妖艶な美しさだけでなく、その妖艶さの中にドキッとするような鋭さや、時にはある種の汚さのようなものも含んでいます。そして、それら全てが合わさってこそヴァイオリンの魅力が立ちあらわれるのですが、モノラル録音というのはそう言うヴァイオリンの響きを一切の曖昧さを許さない形で突きつけてくるのです。


ベルリオーズ:幻想交響曲

ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1954年11月14・15日録音

二人の若手録音チームは、そう言う録音会場の特性もよく踏まえた上で、実にがっちりとしたボディ感のあるオケの響きを捉えています。
おそらくは、この黎明期のステレオ録音はマイク三本という極めてシンプルなセッティングであったっと思われます。そして、そのマイクセッティングによって響きすぎるホールの特性と折り合いのつくポイントを探り当てることが出来たのでしょう。
それはもしかしたら、あまり多くのことは出来ないという制約がある中で、逆にその制約故に難しいことは考えずに割り切れた結果だったのかもしれません。


バルトーク:弦楽四重奏曲第6番 Sz.114

ジュリアード弦楽四重奏団 1963年5月10日&14日録音

この録音の最大の魅力は、まさに4人のプレーヤーが目の前で演奏しているかのようなリアリティのある音場空間が実現していることです。そして、その空間は実際の弦楽四重奏団の演奏を実際に聞いたことがある人ならば「なるほどこれは実演と同じだ」と思わせる様な自然さに溢れているのです。
そこにはオーディオ的に人を驚かすような派手さはないのですが、まさにこのような自然な形で音場が表現されることこそが難しいのです。





[2020-04-01]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 Op.79
(P)アルフレッド・ブレンデル 1962年6月~7月録音

[2020-03-31]

ワーグナー:ワルキューレの騎行
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1954年12月19日~20日録音

[2020-03-30]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 OP.18-1
ブッシュ弦楽四重奏団 1933年9月11日録音

[2020-03-29]

ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1967年1月6日録音

[2020-03-28]

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43
(P)アルトゥール・ルービンシュタイン:フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1956年1月16日録音

[2020-03-27]

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
(Cello)エマヌエル・フォイアマン:ミカエル・トーベ指揮 ベルリン国立歌劇場管弦楽団 1928年4月30日&1929年9月29日録音(世界初録音)

[2020-03-26]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第16番 ニ長調 k.451
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1966年9月10日~19日録音

[2020-03-25]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」 嬰ヘ長調 Op.78
(P)アルフレッド・ブレンデル 1962年6月~7月録音

[2020-03-24]

ハイドン:交響曲第48番 ハ長調「マリア・テレジア」 Hob.I:48
マックス・ゴバーマン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1960年~1962年録音

[2020-03-23]

シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」 D.944
ハンス・スワロフスキー指揮 ウィーン交響楽団 1957年1月2日録音