クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



Home|名録音を聞く

名録音を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名録音を聴く~今週の一枚(一覧表示)



コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」組曲

アンタル・ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団 (ツィンバロン)トーニ・コーヴェス 1956年11月録音

コザートたちの録音に「低域がどこまで延びているか」とか、「ダイナミックレンジがどうだ」のと言うことは不要とは思うのですが、それでも最も多彩なオーケストレーションが施された第6曲の「皇帝と廷臣たちの入場」の迫力には素晴らしいものがありますし、最後の最後のとどめのように振り下ろされるバスドラムの一撃も見事なものです。
その辺りも、己の再生システムの立ち位置をはかる上では意味のある部分だといえるかもしれません。


ベートーベン:ヴァイオリンソナタ 第9番 イ長調「クロイツェル」 Op.47

(Vn)ジノ・フランチェスカッティ (P)ロベール・カサドシュ 1958年5月12日~14日録音

フランチェスカッティの美音がたっぷり楽しめる録音なのですが、カサドシュのピアノも芯まで鳴りきっています。
しかし、何よりも素晴らしいのは、そのその二人のやり取りがまるで目の前で演じられていたかのごとき音場空間が実現されていることです。これが1958年の録音なのですから驚いてしまいます。
オーディオをやるものにとっては、この程度の編成の音楽ならば実演とニアイコールの世界を生み出したいと願うものですが、その願いを叶えるために挑戦する甲斐の録音だといえます。


ブラームス:チェロソナタ第2番 ヘ長調 作品99

(Vc)ヤーノシュ・シュタルケル (P)ジェルジ・シェベック 1964年6月録音(?)

この録音の美質は、チェロとピアノの二重奏曲という作品の特徴が見事に実現していることです。
その背景には、共演者のシェベックがただの伴奏になっていないと言うことが何よりも大切であって、まさにピアノ独奏曲として聴いても不満を感じないレベルでピアノが鳴りきっています。
これをもってピアノを伴った二重奏曲の「The Best」とは言いませんが、二重奏曲の録音の良否を判断するときの基準点となることは間違いないでしょう。


ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調  作品58

バーンスタイン指揮 (P)グレン・グールド ニューヨークフィル 1961年3月20日録音

グールドによる第1番から第4番までの録音は全て同じプロデューサー(ハワード・H・スコット)によって行われているのに、「TAS Super LP List」の優秀録音としてはこの第4番だけが「優秀録音」に選ばれています。しかし、聞き比べてみれば、この4番だけが見事なまでに3次元的な空間の広がりを感じとることが出来ます。そして、それは昨今の音場感優先の腰の砕けた薄い響きではなくて、中身がミッシリと詰まった質感豊かな響きが3次元的に広がっているのです。なるほど、これならば「優秀録音」に指定されても恥ずかしくないほどのクオリティです。


ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1961年2月8&12日録音

同じドヴォルザークの8番という事で、ケルテス&ロンドン響による「Decca録音」と、このワルター&コロンビア響による「Columbia録音」の響きを聞き比べてみると、そこからは明らかにレーベルの指向する響きの違いのようなものが見えてくるのです。
誤解を恐れずに言い切ってしまえば、「Decca」は「実演」ではあり得ないような「鮮明」さを追求するのに対して、「Columbia」は出来る限り「実演」の「ニアイコール」の世界を求めると言うことでしょうか。


モーツァルト:弦楽四重奏曲第7番 変ホ長調 K.160(159a)

バリリ弦楽四重奏団 1955年2月録音

ヴァイオリンという楽器を生で聞けばすぐに分かることなのですが、そこには妖艶な美しさだけでなく、その妖艶さの中にドキッとするような鋭さや、時にはある種の汚さのようなものも含んでいます。そして、それら全てが合わさってこそヴァイオリンの魅力が立ちあらわれるのですが、モノラル録音というのはそう言うヴァイオリンの響きを一切の曖昧さを許さない形で突きつけてくるのです。


ベルリオーズ:幻想交響曲

ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1954年11月14・15日録音

二人の若手録音チームは、そう言う録音会場の特性もよく踏まえた上で、実にがっちりとしたボディ感のあるオケの響きを捉えています。
おそらくは、この黎明期のステレオ録音はマイク三本という極めてシンプルなセッティングであったっと思われます。そして、そのマイクセッティングによって響きすぎるホールの特性と折り合いのつくポイントを探り当てることが出来たのでしょう。
それはもしかしたら、あまり多くのことは出来ないという制約がある中で、逆にその制約故に難しいことは考えずに割り切れた結果だったのかもしれません。


バルトーク:弦楽四重奏曲第6番 Sz.114

ジュリアード弦楽四重奏団 1963年5月10日&14日録音

この録音の最大の魅力は、まさに4人のプレーヤーが目の前で演奏しているかのようなリアリティのある音場空間が実現していることです。そして、その空間は実際の弦楽四重奏団の演奏を実際に聞いたことがある人ならば「なるほどこれは実演と同じだ」と思わせる様な自然さに溢れているのです。
そこにはオーディオ的に人を驚かすような派手さはないのですが、まさにこのような自然な形で音場が表現されることこそが難しいのです。


バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119

(P)ジュリアス・カッチェン イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団 1965年11月9日~10日録音

最初の一音が出た時点で、演奏がどうのこうのという前にその録音のクオリティの高さに圧倒されるのです。そして、この録音の最大の魅力は、録音という行為が演奏の美質を聞き手に伝えるために最大限の奉仕をしていることにも気づかれるのです。
そのクオリティの高さというのは、オーディオ的にどうだ凄いだろう!と言うようなあざとさは無縁であり、何よりも精緻さの中に素晴らしい透明感を導き入れた点にこの演奏と録音の主張があるからです。
それは結果として、オケとピアノが織りなすピュアな世界を聞かせてくれる事につながり、この世の中にこんなにもこんなにも無垢で美しい世界があったんだと驚かされるのです。


バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽, Sz.106

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年11月9日~11日録音

この録音には見落とすことの出来ない歴史的な意味合いがあります。それは、戦後一貫してカラヤンの録音を担当してきたウォルター・レッグとの関係が、この録音をもって終わりを告げたという事です。
ところが、左右だけでなく前後上下に音場がひろがり、その三次元空間の中にキッチリと楽器群が定位する生々しさは、「いったいどうしたんだ!」と言いたくなるほどの見事さなのです。
とりわけ、その空間上にかっちりと定位する打楽器の生々しさも特筆ものす。
おそらく、レッグはこの録音には深く関わらなかったのかもしれません。その結果がこれだとすると、まさに「部長留守仕事はかどりみな元気」だったのでしょう。


ベートーベン:チェロソナタ第5番 ニ長調 Op.102-2

(Cello)ロストロポーヴィッチ (P)リヒテル 1963年3月録音

所詮は楽器2台で展開される音楽ですし、さらに言えばその音楽はひたすら内へ内へと沈潜していくのですから、広大なサウンド・ステージも要求されなければダイナミック・レンジの広さも要求されません。
さらに言えば、楽器の分離と言うこともチェロとピアノの2台なのですから殆ど問題になることはないはずです。

つまりは、オーディオ的に美味しい部分などはほぼ皆無の音源なのです。
そうなると、聞き手としては何を求めたいのかと言えば、まさに眼前でリヒテルとロストロポーヴィッチが演奏しているかのような疑似体験を実現することです。
編成の大きな管弦楽や合唱を伴った音楽と、編成の小さな器楽曲や歌曲、室内楽曲ではオーディオ的に要求するポイントが異なるのです。
そう考えれば、こういうオーディオ的に要求される要素の少ない音源というものは、どこまで実演さながらのレベルで再生できるのかにチャレンジしてみるにはピッタリの音源なのかも知れません。


ブラームス:ラプソディ「冬のハルツの旅」(アルト・ラプソディ)作品53

ブルーノ・ワルター指揮 (Ms)ミルドレッド・ミラー コロンビア交響楽団 オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団 1961年1月11日録音

「アルト・ラプソディ」の管弦楽伴奏は小編成ですから、それを再生するためには規模の大きな大型システムは必ずしも必要ではありません。
そして、その管弦楽伴奏を従えてメゾ・ソプラノが歌い出してくるのですが、その声がどのように再生されるのかも大きなチェックポイントでしょう。
そして、最後に男声合唱が加わってきます。
オーケストラとメゾ・ソプラノの独唱、そこへ男声合唱が加わってきても一切の混濁なしにサウンド・ステージが広がっていく様は見事としか言いようがありません。


ボロディン:交響曲第2番 ロ短調

アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1954年10月録音

「Decca」最初の商業用ステレオ録音はリムスキー・コルサコフの交響曲第2番「アンタール」で、演奏はエルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団でした。そこでは明瞭に分離した楽器が「ステージ上のここに定位していますよ」といういささかあざとい感じがする録音でした。しかし、その数ヶ月後に録音されたこのボロディンの交響曲ではそう言う音場空間の表現はきわめて自然ですし、個々の楽器の響きも混濁はしない透明感を保持しながら自然なボディ感を失ってはいません。つまりは、最初の録音では「ステレオ」という新しい技術で可能なことをあれこれ試してみて、その中で大切にすべきこと見事につかみ取ってそれを実現したのがこの録音なのです。


マーラー:交響曲第9番

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1964年1月10,11,14&18日録音

どこを探しても「どうだ!凄い録音だろう!」と聞き手にアピールするようなところがほとんど見あたりません。あるのはひたすら自然な「音場表現」であり、その「音場」の中で然るべき実在感を持ってそれぞれの楽器が立ちあらわれてくるだけなのです。
そして、その極上の自然さがそのままバルビローリの演奏の素晴らしさを再現するために貢献しています。
しかし、考えてみれば、音楽ソフトというものは音楽の素晴らしさを伝える事が目的なのですから、これこそがもっとも理想的な「録音」の姿かも知れないのです。


シャルル=マリー・ヴィドール:オルガン交響曲より第6番「Allegro」&第2番「Salve Regina」

(Org)マルセル・デュプレ 1957年10月録音

最弱音から最強音までのダイナミックレンジの広さ、地を這うような低音の響き、そして教会全体に広がる広大な音響空間などが見事にとらえられていて、Mercury録音の傑作の一つです。
オーケストラでもそうですが、オルガンの低音もまた風のような軽さを持っています。
決して、ドスン・バスンというような、分かりやすい「迫力満点」の低音などとは一線を画する低音です。あのドスン・バスンという音はここで述べている低音と較べればもっと上の領域、中低音とも言うべき帯域の話です。そして、オーディオにとって再現するのが途轍もなく困難なのが、この真の「低音」なのです。


ベルク:3つの管弦楽曲 Op.6

ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1962年7月14&22日録音

この録音はコザートが35ミリフィルムを使って行った最後の録音となりました。結果のためにはコストを惜しまない彼女の姿勢が買収先のフィリップスでは歓迎されなかったからです。
この作品は無調でも大規模編成の音楽が作れることを証明したものなのですが、それ故に録音的には大変な難物でした。何故ならば、すべての楽器が対等な立場で鳴り響くことを要求するからです。
しかし、その難題をコザートは見事に解決しています。また、ドラティによる共感に満ちた演奏が、ともすれば取っつきにくい無調の音楽に熱さを与えています。


R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1960年2月8日録音

ライナーはこの作品をコンサートでは一度しか取り上げていなくて、その1回というのも、この録音をする前の定期演奏会だったと言うことですから、それはスタジオ録音のために事前に演奏会で取り上げたと見るのが妥当でしょう。しかしながら、終楽章は全く編集なしのワンテイクで録音したという「神話」が残っています。
ピアニシモからフォルティシモにいたるすべての段階においてオケのバランスは完璧にコントロールされ、録音する側もそれに応えて、リアリティ溢れるピアニシモから爆発するフォルティシモまでを完璧にすくい上げています。


シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D.810「死と乙女」

ジュリアード弦楽四重奏団:1959年2月5日、6日&3月27日録音

4つの楽器が完璧に対等な立場で鳴り響きながら、シューベルトがこの作品で追求したシンフォニックな響きもまた完璧に実現しています。
それを録音のマジックと言ってしまえばそれまでなのでしょうが、ホンの短い期間だったとはいえ、ジュリアード弦楽四重奏団がそのマジックが実現できるRCAの黄金時代に録音する機会があったと言うことは幸運だったと言うべきでしょう。


ベルリオーズ:幻想交響曲

ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1954年11月14・15日録音

この録音の魅力は「断頭台への行進と処刑」、さらには「魔女の夜宴の大騒ぎ」ではなくて、なによりも第3楽章の「野の風景」にこそあらわれています。
とりわけ、二人の牧人がかわす牧歌の生々しさは特筆ものです。
ベルリオーズはこの場面をコールアングレと舞台裏のオーボエで演奏することを指定しているのですが、この二つの楽器の遠近感が実にナチュラルに再現されます。それ故に、ミンシュ&ボストン響の「幻想」としてはこの古い方の録音をとりたいのです。


ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1958年1月13日,15日,17日録音

ワルターの最晩年の録音であるコロンビア響とのステレオ録音は、録音と言うことに関してはあまり良い評判がありませんでした。その原因の大部分はLPにカッティングするときに低域をバッサリとカットするColumbiaの「悪癖」によるものだったようです。
その辺りの問題が改善された復刻盤で聞いてみると、ワルターの特長であるどっしりとした低域を土台として生み出されるオーケストラの響きが一切の混濁なしに収録されています。また、自然なサウンドステージが実現していることももう一つの特質として指摘することが出来ます。





[2019-11-19]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第4番ト長調 , K.41
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1966年9月10日~19日録音

[2019-11-18]

グリーグ:ペール・ギュント組曲 第2番 Op.55
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1950年12月30日録音

[2019-11-17]

シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」 D.944
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月16日~17日録音録音

[2019-11-16]

グリーグ:ペール・ギュント組曲 第1番 Op.46
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1950年12月30日録音

[2019-11-15]

ベートーベン:ヴァイオリンソナタ第10番 ト長調 Op.96
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ (P)ロベール・カサドシュ 1958年5月12日~17日録音

[2019-11-14]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1964年1月26日録音

[2019-11-12]

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
パレナン弦楽四重奏団:1950年代初頭録音

[2019-11-11]

ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10
パレナン弦楽四重奏団:1950年代初頭録音

[2019-11-10]

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 ミラノ・イタリア放送交響楽団 1960年9月録音

[2019-11-09]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第3番ニ長調 , K.40
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1966年9月10日~19日録音