クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~
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フルトヴェングラー
トスカニーニ
ワルター
【
PCオーディオ実験室
】
[2019-04-14]
「TAS Super LP List」をパブリックドメインで検証する(29)~グリーグ:ピアノ協奏曲 (P)アルトゥール・ルービンシュタイン:アルフレッド・ウォーレンステイン指揮 RCAビクター交響楽団 1961年3月10日録音
[2019-03-19]
「TAS Super LP List」をパブリックドメインで検証する(28)~マーラー:交響曲第4番 クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 (S)エリーザベト・シュヴァルツコップ 1961年4月録音
[2019-03-06]
「TAS Super LP List」をパブリックドメインで検証する(27)~コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」組曲 アンタル・ドラティ指揮 ミネアポリス交響楽団 (ツィンバロン)トーニ・コーヴェス 1956年11月録音
[2019-02-17]
「TAS Super LP List」をパブリックドメインで検証する(26)~ベートーベン:ヴァイオリンソナタ 第9番 「クロイツェル」 (Vn)ジノ・フランチェスカッティ (P)ロベール・カサドシュ 1958年5月12日~14日録音
[2019-02-03]
「TAS Super LP List」をパブリックドメインで検証する(25)~ブラームス:チェロ・ソナタ (Vc)ヤーノシュ・シュタルケル (P)ジェルジ・シェベック 1964年6月録音
【
管理人ブログ
】
[2019-09-25]
ぼちぼち更新を再開しようかと…(^^;
[2019-09-07]
お見舞いの言葉ありがとうございます
[2019-06-16]
ここにきて再び体調が下り坂(^^;
[2019-06-06]
人生はいろいろ
[2019-05-16]
体調はほぼもとに戻ったようです
【
エッセイ集
】
[2019-06-11]
エンターテイメント性の果てで作品を追求する~カラヤンの偉大さ
[2019-05-22]
払いのけることのできない疑問~ストコフスキーとシュナーベル
[2019-05-02]
徹頭徹尾「演奏」を聞かせる演奏です。~ストコフスキー
[2019-04-11]
明晰すぎるほどに明晰なアンセルメのシューマン
[2019-03-28]
バッハのパルティータの演奏からは、「病」の影は全く感じさせないリパッティの逞しさがあふれています
【
歴史的音源の紹介
】
[2019-03-18]
クーセヴィツキー/ブラームス:交響曲第1番/ボストン交響楽団 1945年録音
[2019-02-18]
クーセヴィツキー/ベートーベン:「エロイカ」/1945年録音
[2019-02-12]
ラフマニノフ&クライスラー/グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番/1928年録音
[2019-02-08]
コルトー/エチュード Op.25/1933年録音
[2019-02-04]
コルトー/エチュード Op.10/1933年録音
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ユング君は全集マニアではありませんが、とりあえず数がまとまったモノは「全集」という形でまとめておいた方がユーザーの方にとっては便利がいいだろうと言うことでこういうコーナーを立ちあげました。
[2019-11-15 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 (P)ロベール・カサドシュ (vn)ジノ・フランチェスカッティ 1958年~1961年録音
この時代にこの組み合わせで、よくぞ録音を残してくれたものだと感謝します。 この二人はともにフランス生まれのフランス人であり、ともに戦火を逃れてアメリカに渡ったという経歴を持っています。そう言う経緯もあってこの二人は気があったのか、戦後の早い時期からたくさんの録音を残しています。 ですから、このベートーベンのソナタでも、月並みな言い方ですが非常に気のあった演奏を展開しています。
[2019-11-14 追加]・・・
ベートーベン:ピアノソナタ全集 (P)ヴィルヘルム・ケンプ 1964年~1965年録音
淡々とベートーベンの音楽を鳴り響かせるケンプの姿に接していると、ブレンデルの「ケンプはエオリアンハープである」という言葉を思い出さざるを得ないのです。 おそらく、ケンプにとってベートーベンやシューベルトの音楽は、好きとか嫌いなどと言う感情レベルで判断するような音楽ではなかったのでしょう。 それはまさに神から与えられた恩寵であり、その恩寵がケンプというエオリアンハープを通して鳴り響くだけだったのかもしれません。 風が吹けば鳴り、風が吹かなければ鳴りやむ、ただそれだけのことだったのかもしれません。
[2019-05-10 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲・・・(Vc)ガスパール・カサド 1957年録音
カサドのチェロが誰に一番似ているかと聞かれれば、それはやはりカザルスに似ていると言わざるを得ないのです。 ボーイングや運指のテクニックが非常に高いので、カザルスのような「像のダンス」のようにはならないのですが、それでもどこか無骨なところがあって、それが野武士のような雰囲気を感じさせるのです。
[2019-04-26 追加]・・・
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲全集 カール・ミュンヒンガー指揮 シュトゥットガルト室内管弦楽団 1950年録音
この50年代の録音ではメンバー全員がお互いの音を聞きあいながら自発性に満ちたアンサンブルを作りあげています。そこからは、戦争の廃墟の中で何もなかったけれども、「夢」だけは抱えきれないほど持つことが出来た時代の「幸せ」の一断面を感じとることが出来ます。
[2019-04-14 追加]・・・
ドヴォルザーク:交響曲全集 イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団 1963年~1966年録音
ドヴォルザークの交響曲の全容を多くの人にはじめて提示したのが、このケルテスとロンドン響による全集録音であったことは間違いありません。さらに、ドヴォルザークの作曲家としての成長と発展を意識して全集を仕上げたところに、この録音にかけたケルテスの意欲が読み取れます。
[2019-03-18 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集・・・(P)エミール・ギレリス 1954年~1957年録音
ギレリスのピアノは低音も分厚く響き、フォルテの部分でも完璧に鳴りきっていますから、まさに「豪腕」「鉄腕」という形容詞を奉っても何の不都合もありません。 ですから、いささか中途半端なやり方で録音された全集ではあるのですが、この古い全集とセルとの新しい全集という2点を結んでみれば、40代を中心とした10年間の間でギレリスがどのように変貌していったかが手に取るように分かるのです。
[2018-12-18 追加]・・・
ブルックナー:交響曲全集・・・オイゲン・ヨッフム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団&バイエルン放送交響楽団 1959年~1967年録音
ヨッフムは生涯に二度、ブルックナーの交響曲全集を完成させています。ここで紹介している録音はバイエルン放送交響楽団とベルリン・フィルを使って録音された最初の方の全集です。
[2018-09-14 追加]・・・
ベートーベン:チェロソナタ全集:(Cell)アントニオ・ヤニグロ (P)イェルク・デムス 1964年録音
ベートーベンのスコアに対して真摯に向き合いながら、実に丁寧に音を紡いでいる
[2018-07-31 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1957年~1965年録音
吉田秀和氏によって絶賛されたことによって、長きにわたってベートーベン交響曲全集の決定盤とされていた録音です。しかし、今では「楽譜にもっとも忠実な演奏」という「褒め言葉」を乗り越えて、滾るような情熱が完璧なコントロール下で造形化された、20世紀のおけるオーケストラ芸術の一つの頂点であったことが多くの人によって共有されるようになってきました。
[2018-07-31 追加]・・・
シューマン:交響曲全集・・・ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1958年~1960年録音
「原典尊重」の鬼のように言われるセルですが、シューマンに関してはオーケストレーションの不都合な部分は結構手を入れているようです。結果としてすっきりとして明晰な音楽に仕上げていました。しかし、そのおかげで、薄日のもとで光と影が無限のグラディエーションでぼかされたような魅力的な世界が実現しています。
[2018-07-06 追加]・・・
ベートーベン:ピアノソナタ全集・・・(P)クラウディオ・アラウ 1962年~1966年録音
1960年代の初頭に一気に録音されたアラウのベートーベンピアノソナタ全集をじっくり聞いてみると、伝統的なドイツが息づいているのはバックハウスではなくてアラウなんだと言うことに気づかされます。
[2018-06-23 追加]・・・
ウィーン時代(1757~1761年):モルツィン伯爵家の楽長時代の交響曲・・・マックス・ゴバーマン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1960年~1962年録音
ハイドンの最初期の交響曲期です。自筆楽譜は一切残っていないため、どの交響曲がこの時期に該当するのかは筆写譜などの研究によって推定するしかないのですが、その研究の成果に従って聞き進んでいくとハイドンの足並みを追うことが出来ます。 そして、それは交響曲のナンバリング順に聞いていたのでは絶対に見えてこないものなので、こういうまとめ方に意味はあるかと思われます。
[2018-04-28 追加]・・・
バルトーク:弦楽四重奏曲全集 ハンガリー弦楽四重奏団 1961年6月&9月録音
バルトークは基本的には「新しもの好き」な面もありましたが、その根っこの部分にはマジャールの魂みたいなものがどっかりと腰を据えているような気がします。 そう言う思いを持ってハンガリー弦楽四重奏団の演奏を聞くと、なるほど、これはスメタナ以降、脈々と受け継がれてきた東欧圏の国民楽派の音楽だと納得させられます。 これを「緩い」ととるか「濃厚」ととるか、それは聞き手の判断でしょう。 しかし、残念ながら、バルトークの弦楽四重奏曲をこんな風に演奏する団体は絶滅してしまいました 。誰も彼もが、ジュリアードやアルバン・ベルグをお手本にしてひたすら精緻な造形にしのぎを削る中で、こういう民族の魂をむき出しにしたような演奏は不可能になってしまっています。
[2018-04-27 追加]・・・
バルトーク:弦楽四重奏曲全集 ジュリアード弦楽四重奏団 1963年録音
既にアップしてあるモノラル録音盤の方も厳しいことは厳しい演奏なのですが、作品の真価を伝えようとする熱さと、その熱さに由来する人肌の温もりみたいなものは残っていました。 しかし、このジュリアードの63年盤にはそう言う「手加減」は一切ありません。 ですから、聞き手にしてみれば、そう言う「未練」はしっかりと立ちきって向き合う必要がありますし、それが断ち切れないのならば「聞くだけ時間の無駄」と言うことになります。
[2018-04-24 追加]・・・
ベートーベン:チェロソナタ全集:(Cello)エンリコ・マイナルデ (P)カルロ・ゼッキ 1955年~1957年録音
マイナルディならば、春風駘蕩たるベートーベンを聞かせてくれるのではないかと期待したのですが、その期待は予想をはるかに上回る演奏です。 与謝蕪村の句をもじって「ゆく春やおもたきチェロの抱きごころ」とでも言いたくなります。
[2018-04-22 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲:(Cello)エンリコ・マイナルデ 1954年~1955年録音
誰も彼もが心がささくれ立つような日々を強いられている今の時代から見れば、聞くものの心を伸びやかにしてくれるこのような演奏は実に貴重です。 なんだか、ほっこりと春の日向でひなたぼっこをしているような心持ちにしてくれます
[2018-03-15 追加]・・・
シューベルト:交響曲全集 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 シュターツカペレ・ドレスデン 1967年録音
古典派という枠を自らに課しながら、その枠の中においてシューベルトの歌謡性を可能な限り引き出している
[2017-10-29 追加]・・・
モーツァルト:ホルン協奏曲全集 (Hr)バリー・タックウェル:ペーター・マーク指揮 ロンドン交響楽団 1959年11月&1961年4月録音
マークと組んだ録音は彼にとっては20代の頃の録音ですから、ブレインに敬意を払いながら、そして一歩でもブレインに近づこうとして己の持てる力をすべて注ぎ込んだ演奏です。
[2017-09-01 追加]・・・
シベリウス:交響曲第全集 渡辺暁雄指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 1962年録音
1962年に録音された「世界最初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集」です。 さらに、日本国内で録音されたクラシック音楽が世界的なメジャーレーベル(Epic Records)からリリースされたのもおそらく初めてだろうと言われています。 渡邉暁雄の名前は日本におけるシベリウス受容の歴史と深く結びついています。その業績は朝比奈とブルックナーの関係と較べればいささか過小評価されている感じがするのですが、60年代の初めにこれだけの録音を行い、それが世界市場に向けてリリースされたのは「偉業」と言わざるを得ません。
[2017-04-24 追加]・・・
ヘンデル:オルガン協奏曲 作品7(全6曲) (Org)パワー・ビッグス エイドリアン・ボールト指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年録音
ヘンデルのオルガン協奏曲の中でもっとも耳に馴染んでいるであろう「作品4の6」等を聞くと、まさに私たちがよく聞いてきた音楽はこのビッグス&ボールトの録音の方です。 それは、まさに「この作品はこのように演奏されるものだ!」という古くからの伝統の上に立脚しています。
[2017-04-03 追加]・・・
ヘンデル:オルガン協奏曲 作品4(全6曲) (Org)パワー・ビッグス エイドリアン・ボールト指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年録音
ヘンデルのオルガン協奏曲の中でもっとも耳に馴染んでいるであろう「作品4の6」等を聞くと、まさに私たちがよく聞いてきた音楽はこのビッグス&ボールトの録音の方です。 それは、まさに「この作品はこのように演奏されるものだ!」という古くからの伝統の上に立脚しています。
[2017-03-29 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲全集 (Vc)ヤーノシュ・シュタルケル 1963年~1965年録音
シュタルケルはその生涯において4回もこの作品を全曲録音しています。それぞれに良さはあるのですが、この「Mercury」で録音した2度目の全曲録音は演奏と録音のバランスから言ってベストだったのではないでしょうか。
[2017-03-23 追加]・・・
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲全集 エードリアン・ボールト指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1952年~1958年録音
何時の時代になっても、この旧盤の全集はヴォーン・ウィリアムズの世界を尋ねる人にとっては「良い悪い」を超越した公理系であり続けることでしょう。
[2017-01-31 追加]・・・
バッハ:パルティータ組曲全集 (チェンバロ)カール・リヒター 1959年録音
バッハの対位法を峻厳に描き出していくリヒターの集中力には驚くべきものがあります。しかし、その精緻な対位法の世界と古めかしい響きとの奇妙な同居をどのように受け取ればいいのかと戸惑う演奏でもあります。
[2017-01-27 追加]・・・
ヘンデル:オルガン協奏曲 作品7(全6曲) カール・リヒター指揮&オルガン カール・リヒター室内管弦楽団 1959年録音
演奏の基本的なスタイルは作品4の6曲と全く同じです。同時期に録音されたのですから当然と言えば当然です。 何に対してもシリアスに、そして大まじめに対峙しなければ気が済まなかったリヒターの姿が浮かび上がってくる演奏です。
[2016-12-28 追加]・・・
バッハ:ブランデンブルク協奏曲全集 (Con & cemb,Org)カール・リヒター カール・リヒター室内管弦楽団 1956年~1957年録
過去の大甘でロマンティックなバッハをその様な峻厳な姿にした最大の功労者がリヒターでした。そして、時代を変えるときは行き過ぎるほどに突っきってしまわないと物事は変わらないので、リヒターの「峻厳なバッハ」が最も色濃く刻み込まれているのがこのテルデック盤と言うことになります。
[2016-12-26 追加]・・・
ヘンデル:オルガン協奏曲 作品4(全6曲) カール・リヒター指揮&オルガン カール・リヒター室内管弦楽団 1959年録音
リヒターの初期録音なのですが、さすがに時代を感じてしまいます。 使用しているオルガンもオケもかなり規模の大きなもののようなので、かなり困った「解釈」と言うことになります。(^^;しかし、何に対してもシリアスに、そして大まじめに対峙しなければ気が済まないのがリヒターという男だったのでしょう。
[2016-12-01 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集・・・(P)ジュリアス・カッチェン ピエロ・ガンバ指揮 ロンドン交響楽団 1958年~1965年録音
カッチェンは希有の「ブラームス弾き」と言うことで未だに記憶に留めておられる方はいるかもしれません。しかし、彼の「ブラームス以外」の作品をあらためて聞き直してみると、そのどれもがさえざえと晴れ渡った冬の朝のような佇まいを見せていて、忘れ去ってしまうには惜しいと思わざるを得ません。
[2016-11-29 追加]・・・
チャイコフスキー:交響曲第全集 ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1960年~1965年録音
マーキュリーレーベルによるチャイコフスキーの交響曲全曲録音。オケのちょっとした荒さであっても、その荒さを白日の下にさらけ出す録音に果敢に挑んだドラティとロンドン響も立派です。ただし、4~6番はウィルマ・コザートによる録音なのですが、1~3番は彼女が身を引いてからの録音なのがいささか残念。
[2016-10-17 追加]・・・
バッハ:オルガン作品全集(旧全集)(Org)ヘルムート・ヴァルヒャ:1947年~1952年録音
ヴァルヒャといえば一時はバッハ演奏のスタンダードのように言われた時期もあったのですが、最近は少しずつ忘れられつつある存在となっているようです。しかしながら、歪なロマンティシズムに歪曲されていたバッハ演奏を厳格とも言える即物主義で修正したという業績は今もっておおいに評価されてよいものがあります。
[2016-10-16 追加]・・・
バッハ:イギリス組曲全集(チェンバロ)ラルフ・カークパトリック 1956年5月25日?6月9日録音
カークパトリックはチェンバロ演奏の歴史の中においてみれば、いわゆる過渡期に位置する演奏家だと言えます。そして、その「過渡期」であったがゆえに演奏家としての評価は次第に後景に追いやられ、スカルラッティのカークパトリック番号に代表されるような「学者」としての評価の方に光が当てられがちです。しかし、そう言う制約のある中での演奏ではあっても、演奏史全体を俯瞰していくためには絶対に視野に入れておかなければいけない存在です。
[2016-10-16 追加]・・・
バッハ:パルティータ組曲全集(チェンバロ)ラルフ・カークパトリック 1959年9月17日?19日録音
カークパトリックはチェンバロ演奏の歴史の中においてみれば、いわゆる過渡期に位置する演奏家だと言えます。そして、その「過渡期」であったがゆえに演奏家としての評価は次第に後景に追いやられ、スカルラッティのカークパトリック番号に代表されるような「学者」としての評価の方に光が当てられがちです。しかし、そう言う制約のある中での演奏ではあっても、演奏史全体を俯瞰していくためには絶対に視野に入れておかなければいけない存在です。
[2016-10-16 追加]・・・
バッハ:フランス組曲全集(チェンバロ)ラルフ・カークパトリック 1957年5月6日~12日録音
カークパトリックはチェンバロ演奏の歴史の中においてみれば、いわゆる過渡期に位置する演奏家だと言えます。そして、その「過渡期」であったがゆえに演奏家としての評価は次第に後景に追いやられ、スカルラッティのカークパトリック番号に代表されるような「学者」としての評価の方に光が当てられがちです。しかし、そう言う制約のある中での演奏ではあっても、演奏史全体を俯瞰していくためには絶対に視野に入れておかなければいけない存在です。
[2016-10-16 追加]・・・
シューマン:交響曲全 バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1960年10月録音
このニューヨークフィルとの全集はわずか一ヶ月ほどの間に完成されているのです。その録音の仕方はほとんど一発録りだったような気がします。バックグラウンドの雑音からもその雰囲気が伺えます。 そう言う意味では、この一気呵成に完成されたシューマンの交響曲全集こそは、若きバーンスタインの自画像と言っていいのかもしれません。
[2016-10-16 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集 ヨーゼフ・クリップス指揮 ロンドン交響楽団 1961年1月録音
クリップスのベートーベンはこの時代の巨匠たちのような強烈な個性は全くありません。始めから終わりまで、至って自然体で、楽譜をそのまま音にしただけのような演奏に聞こえます。しかし、何も考えずに楽譜を音にしただけではこのような自然体で音楽は実現できません。ここには、音楽をあるがままの自然体で構築しようという強い意志が貫徹しています。
[2016-10-16 追加]・・・
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ全集 (P)リリー・クラウス (Vn)ボスコフスキー 1954年~1955年録音
50年代の中葉にウィーンフィルのコンサートマスターとして名をはせていたボスコフスキーとのコンビで録音したソナタ集は話題になることが少ないように思われます。しかし、今では「偽作」と断定されている「k.17~k22」の6作品や子供時代の2作品も収録されているのは興味深いです。 特に、「k.17~k22」のような「偽作」と断定された作品を今さら録音する人はほとんどいないので、それを実際の音として聞ける価値は大きいと思います。
[2016-10-16 追加]・・・
ベートーベン:チェロソナタ全集 (Vc)フルニエ (P)グルダ 1959年6月録音
グルダはこの時の一連の録音を思い出して、「フルニエはあらゆる点で指導者」で、「非常に多くを学んだ」と語っています。 確かに、グルダはかなり奔放に振る舞っていてそのあふれるような才気を遺憾なく発揮しています。そして、そう言う奔放なグルダのピアノをフルニエは実に大きな構えの中で包み込んでいるように聞こえます。
[2016-10-16 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 (vn)クリスチャン・フェラス (P)ピエール・バルビゼ 1958年11月17日~24日録音
フェラスとバルビエこそは、お互いになくてはならないコンビであることがこの録音を聞いているとよく分かります。バルビエは常にフレームです。そのフレームがあるからこそ、フェラスは安心してその枠の中で自由に振る舞えます。バルビエもまた、そのフレームの中でフェラスが美しく謳ってくれるのでその役割を果たす甲斐があるというものです。
[2016-10-15 追加]・・・
チャイコフスキー:交響曲第全集 ロリン・マゼール指揮 ウィーンフィル 1963年~1964年録音
マゼールがこの時期に、ウィーンフィルとの間でシベリウスとチャイコフスキーの交響曲全集を完成させることができたのはマゼール自身にとっても、聞き手ある私たちにとってもとても幸運なことでした。 何故ならば、ここには頂点を目指して駆け上がっていく溢れる才能がほとばしっているからです。
[2016-10-14 追加]・・・
モーツァルト:弦楽五重奏曲全集 バリリ弦楽四重奏団 (2nd Va)Wilhelm Huebner & ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 (2nd Va)Cecil Arnowitz 1951年~55年録音
ウェストミンスター・レーベルにとって室内楽の録音は表看板でした。 ところが、モーツァルトに関しては幾つかの団体にまたがって随分と変則的な形でを完成させています。その変則的な仕事の中でカタログの穴埋めのような作業を高いクオリティで成し遂げてくれたのがバリリ四重奏団でした。 バリリ達には、よくぞご苦労さんな仕事を引き受けてくれたものだと感謝あるのみです。
[2016-10-14 追加]・・・
バッハ:ブランデンブルク協奏曲全集 (Con)パブロ・カザルス マールボロ音楽祭管弦楽団 (P)ルドルフ・ゼルキン 他 1964年7月6日~9日 & 11日~12日 & 1965年7月15日録音
バッハの音楽の根底に流れているのは「生きる事への肯定」でした。 そうとらえるならば、このカザルスの音楽を貫いているものもまた「生きる事への肯定」です。 2つの大戦を経験し、母国スペインのフランコ政権に命をかけて抗議し続けた男がその晩年に到達した世界がここには刻み込まれています。
[2016-10-14 追加]・・・
バッハ:管弦楽組曲全集 ユーディ・メニューイン指揮 バース祝祭管弦楽団 1960年6月10,11,13,19,26日 & 11月14日録音
この時代は、パイヤール、シモーネ、マリナー、ミュンヒンガーなどが活動を始めた時期であり、さらにはドイツではリヒターがミュンヘン・バッハ管弦楽団を率いて意欲的な活動を始めた時期でした。そう言う動きの中にこのメニューヒンの録音を置いてみると、「穏健」という言葉しか思い浮かびません。 しかし、ここでのメニューヒンのバッハから聞こえてくるのは「知ってしまったが故の恐れ」です有り、それを突き破れないもどかしさです。 おかしな表現かもしれませんが、その意味では、この「穏健さ」は「血が出るような穏健さ」なのです。 そして、その一見すれば穏やかに見える表情の奥にその様な思いがあるがゆえに、そこから「今、窓から飛び降りようとしている人に向かって、懸命に語りかける」姿を聞き取るのでしょう。
[2016-10-10 追加]・・・
ベートーベン:弦楽四重奏曲全集 ヴェーグ弦楽四重奏団 1952年録音
ヴェーグによるベートーベンには知的に音楽を作り上げながらも、その音楽には古き良き時代の優雅さと品の良さが失われることはありません。確かに、楽譜を蔑ろにするような演奏でないことは事実なのですが、だからといって即物的な乾いた演奏に陥ることは慎重に避けられています。 そこでヴェーグが一番大切にしているのは、ベートーベンという男の内面に渦巻いていたであろう感情であり、そう言う主情的な側面により強く焦点を当てた演奏なのです。
[2016-01-16 追加]・・・
モーツァルト:弦楽四重奏四曲全集(ウェストミンスター・レーベル) バリリ弦楽四重奏団・アマデウス弦楽四重奏団・ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1951年~1955年録音
ワルター・バリリはその自伝の中で、一言だけさらっと、「ベートーベンやモーツァルトの全集を完成させた」と述べていますが、事実は3つの団体が引き継ぎながら完成させています。アマデウス弦楽四重奏団(1951年)・ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団(1952年)・バリリ弦楽四重奏団(1953年~1955年)の3団体です。その意味では全集としての統一性にはけるのですが、1956年のモーツァルトイヤーを前にして、初めてモーツァルトのこの分野における業績を実際の音として聞けるようになった功績は大きいものがあります。
[2016-01-11 追加]・・・
バッハ:ブランデンブルク協奏曲 カラヤン指揮 ベルリンフィル 1964年~1965年録音
常に美音で美しい旋律ラインを描き出してみせる演奏なので、バッハが持つ厳しさは欠片もなく、全てがふんわりとした美しい響きの中で時間が流れていきます。しかし、この美しさの中でたゆたう音楽もまた疑いもなくバッハです。
[2016-01-06 追加]・・・
ベートーベン:弦楽四重奏曲全集 ブダペスト弦楽四重奏団 1958年~1961年録音
新即物主義による演奏であり、4人が対等平等な関係で緊密なアンサンブルを築いていて、それが弦楽四重奏の一つの規範となり得ている歴史的録音です。(^^;
[2015-11-28 追加]・・・
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集 (P)アルトゥール・ルービンシュタイン (Vn)ヘンリク・シェリング 1960年~1961年録音
ルービンシュタインのピアノが前に出すぎるという批判もある演奏です。しかし、ヴァイオリンソナタという形式では、どうしてもヴァイオリンに耳が引きつけられる傾向がある人間にとっては、このルービンシュタインとシェリングの演奏くらいで初めてヴァイオリンソナタとはピアノとヴァイオリンによる二重奏なんだと言うことが納得できる演奏になっています。
[2015-11-21 追加]・・・
シューマン:交響曲全集 フランツ・コンヴィチュニー指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1960年~1961年録音
シューマンの交響曲4曲のうち、第3番「ライン」をのぞく3曲が、このライプツィヒにおいて初演されています。オケは言うまでもなくゲヴァントハウスのオケです。 劇場的継承という物は地下水脈のように綿々とつながっている物ですから、ゲヴァントハウスのオケにしても、指揮者のコンヴィチュニーにしても、シューマンの交響曲こそは「我らの音楽」だという自負を持って行った録音です。月並みな言い方ですが、最もスタンダードなシューマンの姿がここにあります。
[2015-10-25 追加]・・・
モーツァルト:ピアノ三重奏曲全集 (P)リリー・クラウス (Vn)ウィリー・ボスコフスキー (vc)ニコラウス・ヒューブナー 1954年10月録音
安易に「ウィーン風」という言葉は使いたくはないのですが、二人のウィーンの小父さんがしっかり者の母さんを和やかにサポートしているかのような風情は悪くはありません。まさに、我らが街のモーツァルトを、我らの先輩達がやってきた流儀で演奏しています。
[2015-10-19 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 (P)リリー・クラウス (Vn)ウィリー・ボスコフスキー 1955年録音
この演奏はスコアを徹底的に読み込んで新しい解釈や発見を世に問うというものではなく、我らが街の、我らが作曲家の作品を、我らの先輩達が演奏してきた流儀で演奏しています。考えてみれば、ベートーベンのヴァイオリンソナタというのは、そのほとんどがベートーベンの初期作品であり、その大部分は「エロイカ以前」の作品です。あまり眦決して演奏するよりは、こういう緩めの風情でのんびり聞くのも悪くはないです。
[2015-09-21 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団(2番のみミネアポリス交響楽団) 1957年~1963年録音
「幻」という言葉が冠せられることが多いドラティのブラームス交響曲全集です。ドラティという人は「オーケストラ・ビルダー」であると同時に本職の「作曲家」でもあったのですが、そういう作曲家としての目で音楽を見直すと、何故かこんな風な鋭い切れ味抜群のリズムとテンポで音楽を再構築したくなるようです。
[2015-08-17 追加]・・・
シェーンベルク:弦楽四重奏曲全集・・・ジュリアード弦楽四重奏団 1851年~1952年録音
世間言われるほどに、彼の無調の音楽は訳の分からない音楽ではありません。少なくとも、彼の音楽は人の心の奥に届く「何か」を持っていることは間違いありません。 そして、とりわけこの弦楽四重奏曲というジャンルは、彼の創作活動の全体を覆っていますので、わずか4曲でシェーンベルクとは何者であったのかを教えてくれます。
[2015-08-11 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・オイゲン・ヨッフム指揮 ベルリンフィル 1951年~1956年録音
1950年代の前半のベルリンフィルといえば、まさにフルトヴェングラーが「君臨」していた時代であり、フルトヴェングラーの魂が骨の髄にまで注入されていた時代でした。 ですから、その影響を受けることは仕方のないことであり、フルトヴェングラーを思わず連想するような演奏に仕上がっています。 音楽の造形に関してはフルトヴェングラーよりは直線的ですが、オケの響きはまさにフルトヴェングラーです。
[2015-08-03 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・ルネ・レイホヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1961年1月~4月録音
全てを一度白紙に戻し、その上でベートーヴェンの書いたスコアからもう一度音楽を再構築しようという執念が貫かれています。60年代初頭という時期においてみれば、その革命的なまでの新しさに貫かれた全集です。
[2015-07-28 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・オイゲン・ヨッフム指揮 バイエルン放送交響楽団 & ベルリンフィル 1952年~1961年録音
録音もモノラルとステレオが混在し、オケもバイエルン放送交響楽団とベルリンフィルが混在するので、いわゆる一般的な「全集」と較べれば統一感に欠けることは否めません。しかし、一つ一つの曲に己の思いをたたき込んでいるという意味では聴き応えがあります。そして、50代という壮年期においてヨッフムがいかに大きな存在へと変わっていったのかが手に取るように分かるという意味でも興味深い全集です。
[2015-07-20 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1939年10月28日~12月2日録音
トスカニーニの最大の功績は19世紀というロマン主義の時代にまとわりついたありとあらゆる塵、芥、思いこみ、物語性などを綺麗さっぱり洗い流して見せたことでした。もっと端的に言えば、クラシック音楽にまとわりついたありとあらゆる憑きものを「悪魔払い」したことでした。 そして、長い歴史の中でまとわりついた夾雑物一切を洗い流した上で、もう一度楽譜だけをたよりに作曲家の声に耳を傾けようとしたことにあります。ここには、トスカニーニという稀代の大指揮者がベートーベンの楽譜から聞き取ったベートーベンの声がはっきりと刻印されています。
[2015-01-11 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集 サヴァリッシュ指揮 ウィーン交響楽団 1959年~1963年録音
ブラームスが書いたスコアを過不足なく、かつバランスよく鳴らし切ることに力を傾注し、結果として、重くない颯爽としたブラームス像が立ち上がっています。サヴァリッシュの的確な指揮によって、各声部がバランスよく鳴れば言うほどに渋くもならず、逆に風通しの良い颯爽とした姿が浮かび上がってきます。
[2014-11-23 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1958年~1963年録音
正統な(何を持って正統というのか・・・という当然すぎる突っ込みは取りあえず封印してくださいね)ベートーベン像とはかなりかけ離れた演奏ではありますが、フランス的な実験精神にあふれた面白さにはあふれていると思います。 一聴の価値有りです。
[2014-11-15 追加]・・・
ベートーベン:弦楽四重奏曲全集 ハンガリー弦楽四重奏団 1953年録音
50年代の初頭において、セーケイが率いるハンガリー弦楽四重奏団は「アンサンブルの極致」と評されていました。しかし、このベートーベンの演奏では、そう言う機能面の「凄み」みたいなものはあまり前面に出さす、どちらかと言えば淡泊で内へ内へと向かうスタイルを堅持してます。そして、叙情的に歌う場面や悲劇的な情熱があふれ出すような場面では、実によく歌います。ただし、その歌は一昔前の感情過多の湿っぽい歌とは全く違う、透明感のあるクリスタルのような歌です。そして、面白いのは、そう言う歌う場面にくるとセーケイのジプシー的な歌い回しがちらっと顔を見せるところです。
[2014-07-06 追加]・・・
バッハ:管弦楽組曲全集 リヒター指揮 ミュンヘン・バッハ管弦楽団 1960年~1961年録音
「自然は芸術を模倣する」という言い方を援用するならば、私のなかでは何時までもバッハはリヒターを模倣します。 進歩のない男だと言われればそれまでですが・・・。
[2014-07-06 追加]・・・
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ・・・(Vn)ミルシテイン 1954年~1956年年録音
モノラルという録音のせいもあるのでしょうが、ガツン!!という感じの強靱なヴァイオリンの響きでグイグイとラインを描いていくような雰囲気が印象的で、晩年の美音を主体としたロマンティックな風情とはずいぶんと様子が異なります。その意味では、この50年代を特徴づける峻厳で厳しいバッハという描き方です。
[2014-07-06 追加]・・・
ベートーベン:チェロソナタ全集 (Vc)ロストロポーヴィッチ (P)リヒテル1961年~1963年録音
クラシック音楽に対する「薀蓄」などというものを全く持たない人でも、この演奏を聴けばすっかり感心させられることだろうと思います。ピアノもチェロも、低音部では地響きがしそうなほどの迫力ですし、抒情的な部分では繊細この上もない歌心を発揮しています。つまりは、この作品が持っているおいしい部分を実に見事に掬い出して形にしているのです。
[2014-02-09 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 Vn:オイストラフ P:オボーリン 1962年録音
これもまた、今さら何もつけ加える必要もない「歴史的名演」です。 オイストラフのヴァイオリンの力強く、そして美しいヴィブラートを伴った輝かしい音色は文句なく素晴らしいです。そして、それを支えるオボーリンのピアノは常に背筋がしゃんと伸びています。あごをグッと引いて真摯に前を見つめている眼差しが素敵です。特に作品12の3作でのオボーリンのピアノは絶品です。
[2014-01-25 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・カラヤン指揮 ベルリンフィル 1961年~1962年録音
途方もないエネルギーを内包した男の命がけの気合いがはっきりと伝わってきます。そして、そのエネルギーによってもたらされる音楽の「推進力」の凄まじさには心底感心させられます。
[2013-11-23 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1954年~1958年録音
言うまでもないことですが、ベイヌムにはブラームスの交響曲を全集として完成させようという意志があったわけではありません。その証拠に、一番古い録音である第2番の交響曲と58年録音の1番・4番の交響曲とではコンセプトが全く異なっています。しかし、その違いゆえに結果として最晩年となってしまった50年代のベイヌムの変化が手に取るように分かるという面白さがあります。
[2013-06-07 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集 ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1958年~1959年録音
ファーストチョイスやセカンドチョイスになるような全集ではないでしょう。 しかし、色々なベートーベンの録音を聞きあさった後にここに帰ってくれば、戦争の世紀であった20世紀を必死の思いで生き抜いた心優しき男の笑顔にふれることができて、しばし心癒され、そしてほんのちょっぴりの勇気をもらえるような音楽あることも事実です。
[2013-02-16 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア響 1959年~1960年録音
「人は一生に同じ物を3回見る。一度目は発見の喜びで見つめ、2度目はそれをじっくりと確かめ、そして最後に見納めだと思って見つめる」 疑いもなく、ワルター&コロンビア響による演奏は、見納めの造形です。 20年前の私なら、絶対に願い下げの録音だったでしょう。しかし、20年の歳月は人を変えるには充分な時間です。 今の私には実に好ましく思えます。
[2013-01-26 追加]・・・
バルトーク:パピアノ協奏曲全集 (P)ケサ・アンダ フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団 1959~60年録音
若き時代にバルトークに師事したフリッチャイとハンガリー出身のアンダがガップリ四つに組んでマジャール魂を炸裂させたのがこの録音でした。その演奏は、一見すると聴くものの心を拒絶しているように見えるこの作品の奥底には存在する「心の琴線に触れてくるもの」を生々しく表出してくれます。そして、その生々しいまでの奔放さの根底に、バルトーク作品にはなくてはならない透明感が失われることがないことも秀逸です。
[2013-01-26 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲・・・(Vc)フルニエ 1960年12月年録音
フルニエといえばいつも「チェロの貴公子」というラベルがついて回ります。誰が言い出したことなのか分かりませんがフルニエ自身にしていれば随分と迷惑な話だったのではないでしょうか。 何故ならば、貴公子という言葉からイメージされるナヨッとした感じは微塵もありません。それどころか、これと肩を並べることができるのはカザルスくらいしか思い浮かばないほどに強靱な響きでバッハを造形しています。 あれ?フルニエってこんなにも男性的な音楽をやる人だったっけ?・・・と感心させられるはずです。
[2012-08-10 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲・・・(Vc)シュタルケル 1957年~1959年録音
この録音は1957年から59年にかけて録音されていますから、シュタルケルが33歳から35歳にかけての録音と言うことになります。
シュタルケルはこの後さらに3度の全曲録音をしています。一般的には、63年に録音されたマーキュリー盤か晩年の92年盤が有名なのですが、基本的なスタイルは年を取っても変わっていないと思います。
基本的には、この世代のチェリストはカザルスの呪縛から逃れられないようで、一つずつ念を押すような感じで、音色的にもゴリゴリした感じです。
[2012-08-10 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲・・・(Vc)トルトゥリエ 1960年録音
振り返ってみると、この60年頃というのはチェリストのビッグネームが目白押しです。
まずは大御所のカザルスは存命中で、指揮活動との両輪で未だに現役でした。さらに、豪快なシュタルケル、美音系の貴公子フルニエなども全盛期でした。それ以外に、思いつくだけでも、カサド、ピアティゴルスキー、ジャンドロン、さらにヤニグロも指揮活動に重点をおくのはこれよりも先の時代でした。そして、若きロストロポーヴィチにデュ・プレなどが登場してくるのもこの時代でした。
そう言うチェリスト戦国時代において「トルトゥリエ」はどのようなポジションを占めていたのでしょうか。
当然のことながらカザルスの風格はないわけであって、シュタルケルほどの豪快さはありませんし、フルニエの美音もありません。そして、ヤニグロの濃厚さとは最も遠いところにいます。
そうですね、あえて名づけるならば「端正系」でしょうか。ただし、こういう言い方は、ともするとそれなりのビッグネームなのだが、聴いてみるとこれと言った特徴がつかまえられないときの「苦し紛れ」として使われることもあるのですが、トルトゥリエのチェロは言葉の正しい意味で本当に「端正」な音楽を聴かせてくれます。
ですから、こういう演奏を若いときに聴くと何とも言えない物足りなさを感じるかもしれません。しかし、年を重ねると、いわゆる「外連」というものがうるさく感じられてくるので、こういう演奏が実に好ましく思えてきます。
[2012-06-07 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・ワルター指揮 ニューヨークフィル 1951年~1953年録音
個人的な好みから言えば、彼の数多く残されたブラームスの録音の中ではこのニューヨークフィルとの録音が最も好ましく思えます。とにかく響きが充実していて、がっしりとした音楽の造形の中から、ブラームスらしいロマンが香ってくるのが素晴らしいです。
[2012-05-17 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集・・・(P)ルービンシュタイン クリップス指揮 シンフォニー・オブ・ジ・エア 1956年12月録音
アメリカの高名な評論家が「凡庸な演奏」として切って捨てたために、忘れ去られた録音となっていました。 しかし、実際に聞いてみるとオケとピアノのバランス感覚が素晴らしく、自分の興が趣くままに好き勝手に演奏しているルービンシュタインに対して「これしかない」と言うほどの絶妙なバランス感覚でオケをコントロールしているのるクリップスはただ者ではありません。 結果として、これほど直線的で透明感があり、そして男性的な力感にも不足しない演奏はそうそう聴ける物ではありません。 「他人の話(特にエライ評論家の話)なんてのはあてにならない」という典型のひとつです。
[2012-04-30 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・コンヴィチュニー指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1959~61年録音
噛めば噛むほど味の出る演奏です。 そして、その味とは、まず第一に、今ではなかなか聞くことのできなくなったふくよかで暖かみのあるオケの響きの素晴らしさです。二つめは、やはりドイツの力こぶ! ドンと構えていて、ここぞというところではぐっと力こぶが入る演奏というのは、聞けそうでいて、現実にはなかなか聞けない音楽です。 そんなわけで、同時代の大物に混じると地味で目立たない全集ではあるのですが、内容的には充分五分に渡り合えるだけの「格」を持った録音であることは保障できます。
[2012-04-14 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・クリュイタンス指揮 ベルリンフィル 1957~60年録音
ベルリンフィルがはじめて完成させたベートーベンの交響曲全集がこのクリュイタンス盤です。今となってはいささか影の薄い存在ですが、インテンポで押し通した極めて明晰なベートーベン像は未だにその存在価値を失っていません。
[2012-03-22 追加]・・・
モーツァルト後期交響曲集 ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1959年~1960年録音
確かに、ワルターの真骨頂は50年代のニューヨークフィル、もしくは戦前のヨーロッパ時代あることは否定できません。
しかし、この最晩年のステレオ録音は、その音質の良さに加えて、実に不思議な音楽が聴けます。
小編成ではありながら、低声部をしっかりと響かせた音の作り方はワルター特有のものです。しかし、低声部が分厚いにもかかわらず響きの透明性が高く、音の立ち上がりがこの上もなくシャープなのです。この「特徴」はワルターの指示と言うよりはオケの「特性」が前面に出た結果なのだと思います。
ワルターは声部のバランスとテンポ設定だけを指示し、細かいところはオケに任せているようで、その結果、ワルターが持っている伝統的な美意識とオケが持っている現代的でシャープな造形意識が絶妙に融合して、実に不思議な世界が出来上がっています。
[2012-01-21 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1957年~1961年録音
遅めのテンポで巨大な構築物のように仕上げられたベートーベンです。しかし、聞き終わったあとには「鈍重」な感じは一切残らず、遅いテンポであるにもかかわらず「驀進するベートーベン」が描き出されていて、聞くモノの心をアツくしてくれます。 疑いもなく、歴史的名盤として長く語り継がれる録音です。
[2012-01-02 追加]・・・
モーツァルト ホルン協奏曲全集 Hr. デニス・ブレイン カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1953年11月録音
カラヤンとのコンビで録音された4曲の協奏曲で、ブレインはまるでクラリネットでも吹いてるかのように軽々とホルンを吹きこなしています。そして、それがいとも容易く実現しているがために聞き手に対して名人芸であることの匂いすらも漂ってきません。 そういえば、野球の名手というのはファインプレーをする人のことではなく、難しい打球をいとも易々と捌いて見せて、それをファインプレーだと思わせない人のことだと聞いたことがあります。 まさに、この録音に刻み込まれたブレインの演奏は、そういう意味における真の名人芸だと言えます。
[2012-01-01 追加]・・・
チャイコフスキー 後期交響曲集 ムラヴィンスキー指揮 レニングラードフィル 1960年9月&11月録音
ここで聴くことができるのは、「ムラヴィンスキーという男の信じたチャイコフスキーの姿」なのです。
「主観的解釈の客観的表現がみせる至芸の極致」
これこそが、ムラヴィンスキーを聴く喜びなのです。そして、彼が心の底から共感した音楽家の一人がチャイフスキーだったのです。
[2011-08-18 追加]・・・
シューマン交響曲全集 ボールト指揮 ロンドンフィル 1956年8月21日~24日&28,29日録音
この録音は全て56年に一気にステレオで録音されています。おそらくは、シューマンの没後100年を記念して行われたプロジェクトでしょうが、未だに広く認知されているとは言い難かったこれらの交響曲を一気に世に知らしめたという功績を考えれば、これもまた後世へとすくい上げていくに値する演奏だと思います。
[2011-08-18 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集 (P)アラウ ガリエラ指揮 フィルハーモニア管 1958年録音
80歳を超えてから録音したデイヴィス盤と比べると、これはまるで別人です。音楽そのものに素晴らしく勢いがあり、アラウのピアノも冴え冴えとした響きで「気品」の高さを感じさせてくれます。そして、この演奏は確かにアラウのピアノが素晴らしいのですが、それと同じくらいにガリエラの指揮も秀逸です。 そう言う意味で、アラウにとってもガリエラにとっても、彼らの最良のパフォーマンスがふたたび日の目を見ることになったことは喜ばしいことです。
[2011-06-04 追加]・・・
シューマン:交響曲全集 パレイ指揮 デトロイト交響楽団 1954年~1958年録音
一部では非情に評価の高い録音です。 ザッハリヒカイトという言葉が裸足で逃げていきそうなくらいの割り切れた演奏です。そして、快速テンポから繰り出されるパンチを浴び続けているうちに次第次第に心理的な快感を覚えてくると言うとっても危険な演奏です。
[2011-04-16 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・シューリヒト指揮 パリ音楽院管弦楽団 1957年~1958年録音
俗耳に入りやすい「分かりやすさ」を犠牲にしてシューリヒトが獲得しようとしたのは明晰でクリアなベートーベン像でした。 ただし、そのベートーベンはトスカニーニやセルのような甲冑を身にまとったベートーベンではなくて、「透明感のある響き、まるでステンドグラスのようなベートーヴェン」像でした。
[2011-03-20 追加]・・・
ハイフェッツ 50年代初頭の小品集
50年代のアメリカでは精神性などとは全く関係ない、まさに「音のサーカス」とも言うべき演奏がもてはやされました。その代表格がこのハイフェッツであり、もう片方の横綱がホロヴィッツであることは言うまでもありません。 そして、彼らが偉大なのは、「精神性」などというものを一切捨象しても、クラシック音楽は一流の芸術となることを鮮やかに証明してみせたことでした。 とりわけ、彼の絶頂期であった50年代初頭にまとめて録音された技巧的な小品は、そのような「音のサーカス」の凄さを堪能させてくれる不滅の名録音です。
[2011-03-18 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集・・・(P)バックハウス ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ウィーンフィル 1958年~1959年録音
バックハウス、ハンス・シュミット=イッセルシュテット、ウィーンフィルという組み合わせならば、期待しない方がおかしいでしょう。 そして、実際に長くベートーベン演奏のスタンダードとしての地位を確保してきた録音です。 確かに、バックハウスは全盛期を過ぎて、よく言えば枯れてきている、有り体に言えば衰えてきている時期の録音であることも否定できません。それでも枯れてもバックハウスであり、バックを支えるウィーンフィルも実に素晴らしい響きでサポートをしています。 やはり、未だもって不滅の名録音の地位は失っていないでしょう。
[2011-02-27 追加]・・・
ハイドン:ザロモン交響曲(全12曲)・・・ビーチャム指揮 ロイヤルフィル 1957~1959年録音
一見すれば、何の変哲もない平凡な演奏に聞こえるかもしれません。しかし、そこには一切の現世的不純物が洗い流された中からしかあらわれない「愛」と「粋」があらわれてくるのがビーチャムのハイドン演奏の特徴です。 書物には「玩味熟読」という言葉がありますが、音楽ならば何と言えばいいのでしょうか?おそらく、小難しい理屈などは一切捨て去って、あるがままの自分でその音楽にひたれば、きっとパパ・ハイドンの温顔に接することができる演奏なのではないでしょうか。 何も語らず、ただ分かる人にだけ分かってもらえばいいと言う音楽です。
[2011-02-12 追加]・・・
モーツァルト交響曲選集 ワルター指揮 コロンビア交響楽団&ニューヨークフィル 1953年~1956年録音
ワルターが現役として活躍した50年代前半のモノラル録音を聴くと、彼の特徴である低声部はしっかりと響かせながらも、決して「鈍重」なモーツァルトとは感じません。オケはモダン楽器の特性をいかした壮麗な響きを保持しながら、ワルターの棒に機敏に反応しているように聞こえます。結果として音楽は「鈍重」になることなく生き生きとした活力に満ちています。 これもた、一度は聞くべき歴史的名盤と呼んでいいでしょう。
[2011-02-06 追加]・・・
モーツァルト 交響曲全集 ラインスドルフ指揮 ロイヤル・フィル ロイヤル・フィル 1955~56年録音
世界最初のモーツァルト交響曲全集です。モノラルからステレオへの移行期に録音されたので、22番以降の作品がモノラル録音です。 この後に録音されて、長くモーツァルト演奏のスタンダードとなったベームの全集と比べればずいぶんすっきりしたモーツァルトです。その意味で、50年代初頭のヨーロッパにおける即物主義によるモーツァルト演奏とはどういうものだったのかを知る上では実に貴重な録音です。
[2011-01-02 追加]・・・
ベートーベン:弦楽四重奏曲全集 バリリ弦楽四重奏団 1952~1956年録音
昨今のハイテクカルテットを聞き慣れた耳からすれば明らかに「緩い」演奏と感じるかもしれませんが、この時代のヨーロッパの響きは低声部をしっかりと鳴らした重心の低いものでした。 このバリリ四重奏団もチェロを軸として低声部がかなり分厚く鳴り響いています。そして、その歌い方は同じウィーンフィルのメンバーによるコンツェルトハウスSQのような灰汁の強い歌わせ方ではなくて、あくまでも自然体の上品さを失なわないことが魅力でしょう。
[2010-08-05 追加]・・・
シューベルト:弦楽四重奏曲・・・ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 1950〜53年録音
世界最初のシューベルトの弦楽四重奏曲全集です。ウィーンフィルにはコンサートマスターを中心に各パートの首席がカルテットを結成する習慣があるのですが、このコンツェルトハウス四重奏団はその様なエリート集団ではなくて、そういう首席奏者の後ろで演奏しているメンバーたちで結成されたものです。 そのためか、この四重奏団の演奏には芸術的に突き詰めたある種の緊張感ではなくて、どこか親密で寛いだ雰囲気がただようのが実に素敵です。
[2010-01-02 追加]・・・
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ集 (P)ハスキル (Vn)グリュミオー 1958年10月16~17日録音
まず何と言っても、グリュミオーのヴァイオリンの音が美しい!!
そして、録音の方も申し分なしで、その美音を実に見事にすくい取っていて不満は全く感じません。もちろん、ただ音が美しいだけでなく、グリュミオーのヴァイオリンはモーツァルトの音楽にこめられた「歌心」を見事に描ききっています。
この録音から既に半世紀以上が経過したのですが、これよりも美しいモーツァルトのヴァイオリンソナタは未だに生まれていないように思います。
[2009-10-26 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集…クレンペラー 1956年〜1957年録音
超スローテンポになる前の、極めて真っ当でスタンダードな演奏をしていた頃のクレンペラーを代表する演奏です。
[2009-08-13 追加]・・・
モーツァルト:弦楽五重奏曲 バルヒェット四重奏団 1950年代初めの録音
演奏の特徴はお聞きいただければ分かるように、昨今のハイテクカルテットとは対極にあるものです。ひと言で言えば鄙びた演奏ですが、その鄙びた素朴さの中にえもいわれぬロマンと気品が漂ってくるのが魅力なのでしょう。
[2009-05-04 追加]・・・
モーツァルト:ピアノソナタ全集・・・(P)リリー・クラウス 1956年録音
リリーの演奏はモーツァルトの書いた音符を正確にバランスよく響かせることに意を注ぐのではなくて、モーツァルトが音符を使って書いた「心のドラマ」を再現しようと言うものです。ですから、モーツァルトがこの音楽にこめた深い感情がリリーの演奏からはヒシヒシと伝わってきます。
[2009-04-23 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 (P)ハスキル (Vn)グリュミュオー 1956年9月〜1957年9月録音
このコンビによるソナタと言えばモーツァルトがまず第一に思いかびますが、ベートーベンにおいても優れた業績を残しました。ハスキルのピアノはやや控えめで、グリュミュオーの豊かで溌剌としたヴァイオリンを引き立てているように聞こえます。
[2009-04-14 追加]・・・
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ・・・(Vn)メニューイン 1956〜57年録音
録音に関しては、モノラル最後の時期ですから、実に立派なものです。こういうヴァイオリン一挺の録音だと、ステレオでないと言うことはほとんどハンデになっていないように思えます。
[2009-04-11 追加]・・・
ベートーベン:ピアノソナタ全集・・・(P)ケンプ 1951年〜1956年録音
伸びやかで自然体のベートーベンです。堅くなったり、重くなったり、ましてや力ずくで押し切るようなところが微塵もありません。とにかく耳にしたときの心地よさは他に例を見ません。
[2009-04-04 追加]・・・
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ・・・(Vn)ヨハンナ・マルティ 1954年6月〜1955年3月録音
なんという流麗なバッハでしょう。横への流れを至るところでぶつ切りにして、この上もなく厳しく、ゴツゴツしたバッハを造形したシゲティとは180度対極にあるバッハ演奏です。
[2009-03-20 追加]・・・
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ・・・(Vn)シゲティ 1955〜56年録音
いつまでもシゲティでもないだろうと思います。しかし、この演奏は二つの大戦を経験した20世紀と言う時代の「声」であったことも事実であり、その事には 深い敬意を感じざるを得ません。おそらく、シゲティにとってバッハとはこのように厳しい音楽としてしか「歌う」事が出来なかったのであり、その「厳しさ」 と向き合うことは決して「苦行」ではないはずです。
[2008-10-18 追加]・・・
ベートーベン:チェロソナタ全集・・・(Vc)フルニエ (P)シュナーベル 1947〜48年録音
とにかく、フルニエのチェロはいつも伸びやかでよく歌います。そんなフルニエがこれまたよく歌うシュナーベルと組んだこの録音は、名曲喫茶ご用達の暗さよりは、よく歌う伸びやかさが前面に出ています。
[2008-04-29 追加]・・・
モーツァルト:ピアノソナタ全集・・・(P)ペルルミュテール 1956年録音
幻の名盤と呼ばれ、中古市場で6枚セットのLP全集が100万円!!で取引されていた録音も、パブリックドメインになったおかげで広く世間に流通するようになりました。パブリックドメイン万歳です。 おかげで神秘のベールもはがれて、実態に見合った評価が定着することでしょう。 もちろん、悪くない演奏です。
[2008-02-23 追加]・・・
シベリウス:交響曲全集 アンソニー・コリンズ指揮 ロンドン交響楽団 1952年〜1955年録音
エールリンクに次ぐ世界で2番目のシベリウスの交響曲全集です。しかし、録音をジョン・カルショーとのコンビでデッカの黄金時代を築いたケネス・ウィルキンスンが担当と言うことで、モノラル録音ながら実に聞きやすい音質に仕上がっているのが大きなメリットです。 快速テンポと豪快なダイナミズムを基調とした男性的なシベリウスを描き出した演奏です。
[2007-12-17 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・ワインガルトナー指揮 ウィーンフィル他 1927〜38年録音
世界最初のベートーベンの交響曲全集です。今では省みられることも少ない録音ですが、ベートーベンの演奏史を考える上では原点とも言うべき歴史的価値を持っています。
[2007-10-07 追加]・・・
レスピーギ:ローマ三部作 トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1949年~1953年録音
数ある「ローマ三部作」の中での最高の録音としての地位を未だに失っていない演奏です。
そして、その魅力は「アッピア街道の松」の圧倒的な迫力に集約されているのですが、聞き落としてほしくないのは弱音部おける緊張感に満ちた凄味です。
下手なオケと指揮者にかかるとこういう弱音部はただ単に音量を落としているだけで、音楽のテンションまで下がってしまっています。ところが、トスカニーニとNBC交響楽団のような凄腕にかかると、音量は小さくなっても緊張感は全く途切れることなく、逆にその静けさの背後から「凄味」のようなモノさえ浮かび上がってきます。
ですから、その弱音部が次第次第に盛り上がっていってオケが爆発してもそこには強い必然性が感じられます。おそらくは、この必然性がトータルとしてこの演奏にただようある種の上品さや気品のようなモノの下支えになっているのでしょう。
[2007-07-31 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1951〜55年録音
カラヤン最初の交響曲全集ですが、この全集がもっとも正統的でスタンダードなベートーベン像を描き出しています。
[2007-05-27 追加]・・・
バルトーク:弦楽四重奏曲全集 ジュリアード弦楽四重奏団 1950年録音
ジュリアード弦楽四重奏団は、「ベート−ベン以降最大の業績」と呼ばれるこの作品の全曲録音を3度も行っていますが、これはその一番最初のものです。後年の研ぎ澄まされた演奏もいいのですが、こういう「人肌のぬくもり」を残した演奏もまた魅力的です。
[2007-02-17 追加]・・・
ベートーベン:ピアノソナタ全集・・・(P)ナット 1952年〜1955年録音
淡々とした演奏の中に繊細で微妙な感情が交錯していく様が手に取るように浮かび上がって来る、明晰きわまりないベートーベンです。
[2006-10-14 追加]・・・
ベートーベン:弦楽四重奏曲全集 ブダペスト弦楽四重奏団 1951〜1952年録音
ブダペスト弦楽四重奏団は、戦前にほぼ全曲を、そして戦後にモノラルとステレオで2度全集を完成させています。その中でも50年代の初頭に完成されたこのモノラルによる全集は新即物主義によるベートーベン像を確立したという意味で録音史に残る金字塔です。
[2006-09-17 追加]・・・
ベートーベン:ピアノソナタ全集・・・(P)バックハウス 1950年〜1954年録音
バックハウス全盛期の録音です。今もって、後年のステレオ録音よりもこちらのモノラル録音の方を高く評価する人が多いようです。
[2006-08-10 追加]・・・
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集 (Vn)シモン・ゴールドベルグ (P)バルサム 1953年録音
ゴールドベルグとバルサムによる全集はマニアの間では幻の名盤とされてきたものです。演奏家が己というものを前面に押し出すことなく、それでいながら作品の本質はしっかりとつかまえて過不足なく表現しているという点で実にすぐれた演奏だと評価できます。
[2006-07-18 追加]・・・
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ・・・(Vn)ハイフェッツ 1952年録音
どんなに難しいところでも、何事でもないかのように淡々と、しかし正確に弾ききっています。ところによっては勢いが余って弾きとばしているように感じられるところもありますが、それでも凄いものです。
[2006-07-17 追加]・・・
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ・・・(Vn)エネスコ 1948〜49年録音
エネスコはここではもはやバッハを演奏していません。彼は、バッハのスコアを借りて、己の人生を演奏しています。その様に複雑に屈折した構造の中でバッハの凄さを描き出したというのならば、その意味では異形の演奏といえるのかもしれません。
[2006-04-15 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集・・・(P)ケンプ 1953年5月録音
ケンプの最も脂ののりきった時期の演奏を聴くことが出来ます。音質もモノラルとしては良好な部類に属しますから、少しでもよい音で聴きたいという人にはおすすめです。
[2006-03-26 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 (P)ケンプ (Vn)シュナイダーハン 1952年9月録音
二人の演奏家の全盛期とも言うべき時期になんという幸運な出会いがあったことでしょう。神に感謝あるのみです。
[2005-09-27 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・フルトヴェングラー指揮 ウィーンフィル(ストックホルムフィル) 1948年~1954年録音
EMIが全集としてリリースした録音をまとめておきます。ただし、これらをまとめて「全集」とする意思はフルトヴェングラーには全くなかったことだけは確認しておきましょう。
そのことは、2番と8番が極めて残念な形でしか録音が残っていないことにも伺われます。しかし、それを割り引いても、これこそは不滅の歴史的録音といえるでしょう。
[2005-09-25 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1949年~1952年録音
トスカニーニがその最晩年に手兵のNBC交響楽団を率いて完成させた全集です。 かつては楽譜に忠実な新即物主義を代表する演奏と言われたものですが、現在の目から見ればロマン的とも言えるほどの自由な解釈がなされています。ですから、この演奏の最大の価値はそのような「忠実」さにあるのではなく、みなぎるような生命力と「休止符まで歌え」といったカンタービレにこそ存在します。 そして、その意味において、この録音は80を超えた老人の手になるものであり、必ずしも最良のトスカニーニの姿が刻印されたものでないことも事実です。(30年代の録音を聞くべし!!) しかし、録音の質の問題を考えて天秤にかければ、やはりこの50年代の録音を選ばざるを得ません。
[2005-09-24 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・トスカニーニ 1951年〜1952年録音
とても80才をこえた老人の手になる演奏とは信じがたいほどに、一点の緩みもない、そしてしなやかさとみずみずしさを失わないブラームスです。 あらためてトスカニーニの偉大さを教えられる録音です。
[2005-09-23 追加]・・・
ベートーベン:交響曲全集・・・メンゲルベルグ 1940年録音
ナチス侵攻前に行われたベートーベン・チクルス。 1・2・7・9番はこの時代のものとして音質は良好。4番は冒頭の音質が不安定、5・6・8番はややこもり気味。3番は一部のマニアのみ意味のあるような音質(^^;
[2005-08-20 追加]・・・
ハイドン:交響曲選集(全19曲)・・・シェルヘン 1950~1958年録音
ハイドン最晩年のザロモン交響曲の全曲録音としてはこれが世界最初のものです。世間一般にはあまり知られていなかったこれらの作品の紹介としては実に端正でスタンダードとしての役割を十分に果たした演奏だと言えます。
[2005-03-27 追加]・・・
モーツァルト:ピアノソナタ全集・・・(P)ギーゼキング 1953年録音
ギーゼキングといえば即物主義の代表選手のように言われます。彼こそはモーツァルトをロマン主義的歪曲から救い出して、現在のモーツァルト演奏への道を切り開いた存在として、とりわけこのソナタの全曲録音は長くスタンダードな位置にありました。 それにしても、これは何という「音」でしょう。 それは同じように音色の魅力をふりまくホロヴィッツやミケランジェリたちの音色とも違います。とんでもなく透明感に満ちていながらガラスのようなもろさとは全く無縁の強靱と言っていいほどの硬質な響きです。そして、ピアノからこのような音色を紡ぎだした人は他には思い当たりません。 この「音」で、シンプルな上にもシンプルにモーツァルトが演奏されるとき、それは他に変えがたい魅力を21世紀になっても保持していることを否定できません。 今もってこれはモーツァルト演奏の一つのスタンダードとしてのポジションを失っていません。
[2005-02-11 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・ワインガルトナー 1938年〜1940年録音
一部、原盤に起因すると思われるノイズはありますが音質的にはこの時代のものとしてが最上に属するものです。最晩年のワインガルトナーを知るには絶好の録音だといえます。
[2004-01-13 追加]・・・
ブラームス:交響曲全集・・・フルトヴェングラー 1945〜1951年録音
当然のことですが、これはフルトヴェングラー自身が全集としてまとめようとして録音したものではありません。あくまでも、結果としてまとまっただけのことですので誤解のないようにしてください。
[2003-08-30 追加]・・・
ベートーベン:ヴァイオリンソナタ全集 (P)ルップ (Vn)クライスラー 1936年録音
ベートーベンのヴァイオリンソナタから深い情念を宿した人間の声を聞き取ろうとする人にとっては、今もってかけがえのない演奏だと言えます。
[2003-06-14 追加]・・・
ベートーベン:チェロソナタ全集・・・(Vc)カザルス (P)ホロショフスキー他 1930〜39年録音
カザルスは50年代にゼルキンとのコンビでも録音を残しています。録音の問題もあるので、一般的にはそちらの方を推薦盤とする評論家が多いのですが、演奏だけを比べるなら文句なくこの30年代の録音の方が優れていると言う人が多いようです。
[2003-04-03 追加]・・・
ベートーベン:ピアノ協奏曲全集・・・(P)シュナーベル 1932年〜1936年録音
シュナーベルによる歴史的な演奏です。音質は時代相応のものですが、ベートーベン演奏の原点の一つがここにあります。
[2002-05-23 追加]・・・
ベートーベン:ピアノソナタ全集・・・(P)シュナーベル 1932年〜1935年録音
「ベートーベンの発明者」・・・ホロヴィッツはシュナーベルのことをそう表現したそうです。昨今のハイテク演奏を聞き慣れた耳には物足りなさはあるかもしれませんが、現在のベートーベン演奏の源流がどこにあったかは確認しておいてもいいでしょう。
[2001-11-20 追加]・・・
バッハ:無伴奏チェロ組曲・・・(Vc)カザルス 1936〜39年録音
今風のハイテクチェリストたちの演奏を聞き慣れた耳には、まるで象のダンスを見るようなたどたどしさを感じるかもしれませんが、じっくりと耳を傾けてもらえば、いまもってこれを上回る録音はないことに気づかされます。
【リスニングルームの更新履歴】
[2019-12-10]
シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」 作品97
ルネ・レイボヴィッツ指揮 インターナショナル交響楽団 1960年録音
[2019-12-09]
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:アンソニー・バーナード指揮 ロンドン室内管弦楽団 1949年2月17日~18日録音
[2019-12-08]
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:ラファエル・クーベリック指揮 ロンドン室内管弦楽団 1959年6月24日~25日録音
[2019-12-07]
ベートーベン:ピアノ三重奏曲 変ホ長調 Op.44(第10番)
ボザール・トリオ 1964年録音
[2019-12-06]
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:サー・マルコム・サージェント指揮 ロンドン交響楽団 1951年11月5日&8日録音
[2019-12-05]
グリーグ:弦楽のための「2つの悲しき旋律」Op.34
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1951年6月4日録音
[2019-12-04]
ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135
ブダペスト弦楽四重奏団 1940年9月9日~10日録音
[2019-12-02]
モーツァルト:ピアノ協奏曲第5番ニ長調 , K.175
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1965年12月6日,8日,9日&12日録音
[2019-11-30]
ハイドン:交響曲第16番 変ロ長調 Hob.I:16
マックス・ゴバーマン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1960年~1962年録音
[2019-11-28]
モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月8日録音