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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名演奏を聴く~今週の一枚(一覧表示)



シェーンベルク:ピアノ組曲 Op.25

(P)グレン・グールド 1965年11月16日&18日録音

古典派からロマン派の作品を中心に聞いてきた耳には、シェーンベルクのピアノ作品は聞きやすい音楽とは言えません。
しかし、グールドのピアノは、一つ一つの音の境界線がホールトーンによって抱きすくめられています。結果として、一つ一つの音はそれほどの強い自己主張をすることもなく、言ってみれば「一つの雰囲気」として存在しています。
その意味では、明らかにロマン派小品の延長線上に位置するようなグールドのピアノはシェーンベルクへのファーストコンタクトとしては相応しいかもしれません。


ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」

(P)ウラディミール・ホロヴィッツ:1947年11月7日&12月22日録音

ピアノという楽器はかくも容易く軽々と演奏できるものなのかという驚き、そして自由奔放に弾きこなしているだけなのにそこから紡ぎ出される音楽はたとえようもなく美しい。
何よりも、その音楽から発散される爽快感と開放感は他のどのピアニストからも感じ取れないものです。
まさに、ホロヴィッツ全盛期の録音と演奏です。


モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 k.550

ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1967年8月25日録音

おそらく、モダン楽器を使ってここまで精緻にモーツァルトの世界を描き出した演奏は他には思い当たりません。それどころか、逆説的に言えば、モダン楽器でここまでの精度と透明感で演奏されてしまったがゆえに、ピリオド楽器による演奏という方法論に多くの人を追いやったのではないかとすら思えるのです。

吉田秀和はセルの演奏を宋時代の白磁にたとえましたが、その喩えがもっとも相応しいのがモーツァルトの録音であり、そのモーツァルト録音の中でももっとも硬質な透明感に貫かれているのはこのト短調シンフォニーの録音です。
まさに、ここには一点の卑俗なところもない、極度に純化された透明感に貫かれた美しいモーツァルトが存在しています。


シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調, Op.47

(Vn)ダヴィッド・オイストラフ:ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1959年12月21日,24日録音

オーマンディの伴奏も悪くないと思うのですが、どうもオケの音色に違和感があります。つまり、この演奏からはシベリウスには絶対必要だと思われる、「ヒンヤリ感」みたいなものは皆無です。
しかし、そう言う面はありながらも、オイストラフのヴァイオリンには幻想性の向こうに何とも言えない寂しさのようなものが見事に表現されています。まさにヴァイオリンという楽器の可能性を思い知らされ録音音と演奏だと言えます。


All-Time Popular Favourites

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年2月15日~17日録音

音楽を大づかみにして誰にも真似の出来ない音楽に仕上げています。
おそらくは、基本的に好きではなかったスタジオ録音なのですが、この時は奇跡的に全てが機嫌良く進んだようなのです。
「ウィンザーの陽気な女房だち」の最後で大きく盛り上がっていくところ等を聞かされると流石はクナッパーツブッシュと思わせられるのですが、同時に「音楽って楽しいぜ!!」というクナ自身の声も聞こえてきそうな気がするのです。


フォーレ:レクイエム 作品48

アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 エリザベート・ブラッスール合唱団 (S)ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス (BR)ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ (Org)アンリエット・ピュイ・ロジェ 1962年2月4~5日 & 5月25~26日録音

曲がりなりにもこの録音は、フォーレのレクイエムに関しては歴史的名演として決定盤とも言うべき地位にあったのですから、「取り上げないのは忘れているんじゃないの?」と言うことにもなります。
しかし、取り上げれば一言二言、何かを言わざるを得なくなるので困ってしまうのです。
気に入らなければ「取り上げない」というのがもっとも正しいスタンスだとは・・・思うのですが、最終的な判断は聞き手にゆだねるしかないでしょう。


フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ (P)アルトゥール・ルービンシュタイン 1937年4月3日録音録音

寸分の狂いもみせない端然たるハイフェッツのヴァイオリンが素晴らしいのはいつものことですが、それと十分に対抗しているルービンシュタインのピアノもなかなかのものです。この二人のアンサンブルの精度の高さは耳の至福です。
たまにはこういう古き良き時代の録音に身を浸すのもいいものだとは思いませんか。録音もまたSP盤の真価を知らしめるには十分すぎるほどのクオリティです。


ベートーベン:ピアノソナタ第32番 ハ短調 作品111

(P)バックハウス 1961年11月録音

今さらという感じの一枚ですが、個人的には彼が残した晩年のステレオ録音の全集の中ではこれが一番好きかもしれません。世間では彼のゴツゴツとした響きがベートーベンに相応しいなどと言われるのですが、それは明らかに誤解です。彼の響きはゴツゴツしてるどころか非常に美しいと思うのですがいかがなものでしょうか。
そして、大袈裟な身振りなどは一切排除しながら、ベートーベンがこの作品に託した人生への肯定をこれほど強く感じさせてくれる演奏は滅多に出会うことが出来ません。


バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068

エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1956年4月3日録音

今の耳からすればあまりにも鈍重なバッハに聞こえるかもしれません。しかし、いわゆるピリオド演奏なるものに違和感を感じる人にとっては幸福な時代の古き良きバッハがここにはあります。
細かい学問的考証などにとらわれることなく、自信を持って自分の信じるバッハの姿を歌い上げる事が出来た幸福な時代のバッハです。
そして、ベイヌムが信じたバッハの姿はこの上もなくノーブルで上品でした。そんなベイヌムを支えるコンセルトヘボウの響きの美しさも秀逸です。


マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」

ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1961年1月14、21日&2月4、6日録音

ワルターは、この新しい時代を感じさせる響きを作り出す若者たち(きっと、このオケのメンバーの多くは若者だと思います・・・何の根拠もありませんが^^;)に、次第に深い愛着を感じていったのかもしれません。そして、最後は自らの「遺言」とも言うべき音楽への「思い」をこの若者たちに託したのではないでしょうか。
このミスマッチとも思える「老人と若者(だと思うのですが・・・)の出会い」が、言葉をかえれば、「ワルターの伝統的な美意識とオケの現在的な感覚との絶妙なる融合」によって、実に希有な音楽が出来上がりました。
そう言う希有な世界を楽しむのも、また楽しからずや・・・です。


J.S.バッハ:パルティータ 第6番 ホ短調 BWV830

(P)グレン・グールド:1957年7月29日&31日録音

グールドが残したバッハの鍵盤楽器の作品はどれも素晴らしいものですが、個人的には一連のパルティータ、とりわけ第6番の美しさにはこの上もない魅力を感じます。
いわゆる組曲でありながらもかなり自由な形式を持ったこのパルティータを、グールドはさらに新鮮な感覚で蘇らせています。その絶妙の呼吸と美しい響きこそがグールドならではの音楽を生み出しています。


ハイドン:交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

オットー・クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1964年10月録音

時代様式を考えれば、これは「勘違い」以外の何ものでもないのかもしれません。しかし、ハイドンが、自らが書いた交響曲をクレンペラーという頑固爺の手によってまるでベートーベンのように再現されるのを聞けば、大いに気をよくして感謝の意を表したのではないかと想像するのです。
まあ、感謝はしなくても、少なくともニヤリとして腹をたてたりはしなかったはずです。


ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調

(P)サンソン・フランソワ:アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 1959年7月録音

この作品に「ファンタジーやポエジー」を求め、「濃密な情念」に浸りたい人にとっては、このフランソワの演奏は素敵なものとして受け入れることができるのでしょう。しかし、私のように、スイスの精密時計みたいな精巧な折り目正しさをラヴェルに求めたいものにとっては、いささか相性が悪い演奏と感じるかもしれません。


モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調, k466

クララ・ハスキル(P) マルケヴィッチ指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団 1960年11月14&18日録音

淡々としたピアノの響きから何とも言えないモーツァルトの悲しみが浮かび上がってきます。
大きな叫び声はありませんが、何気ないちょっとした身振りの中から悲しみが匂い立ちます。そして、そんな何気ない振る舞いの中から、時々ぞっとするような怖さみたいなものに出会うこともあったりします。

せめてあと5年の時間を神がハスキルに与えてくれたならば、私たちはどれほど多くの恵みを手に入れることができたことでしょう。


スメタナ:「我が祖国」

カレル・アンチェル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1963年1月7,10,13&14日録音

深い感情と緊張感を失わぬピアニシモの美しさは言うまでもなく、どれほどのフォルテシモでも一切の乱れや混濁を見せない強さにも驚かされます。そのレベルに到達するために積み上げたトレーニングは厳しいものだった想像されますが、その厳しさにオケのメンバーが耐えられたのは、それが音楽のために絶対に必要だというアンチェルの求めの真摯さを共有できたからでしょう。


モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515

バリリ弦楽四重奏団 (2nd Va)Wilhelm Huebner 1953年録音

この録音は流れからみるとウェストミンスターレーベルのカタログの欠落をうめていく仕事のようであり、バリリたちにとってははそれほど楽しいものとは思えないのですが、それでも決してクオリティが落ちないのがバリリという人間の偉いところです。しかし、あらためて聞き直してみれば、クオリティが落ちないどころか、これほどまでにこの作品に溢れている「モーツァルトならではのファンタジー」を見事に描き出した演奏は他には思い当たりません。
本当に、バリリって偉い人でした。


ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38

(Vc)ヤーノシュ・シュタルケル (P)ジェルジ・シェベック 1964年6月録音(?)

この作品はピアニストに対して伴奏者としての技量ではなくソリストとしての技量を求めます。しかし、ソリストであれば、何もチェリストとつきあわなくても自分をアピールできる作品はいくらでもあります。つまりは、ソリストとしての技量を持つピアニストであれば、こういう作品はチェロと合わせなければいけない分だけ面倒くさい作品なのです。それ故に、素晴らしいチェリストピアニストがこのように出会うというのは稀なことであり、それ故に幸せなことだったのです。


ホロヴィッツ/カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート

(P)ウラディミール・ホロヴィッツ 1965年5月9日録音

レコードというのは、その言葉通り歴史的な瞬間を「記録」するという役割があります。ですから、この録音はその様な歴史的証言者としての意義は途轍もなく大きいのです。
しかしながら、忘れてはいけないのはそう言う歴史的価値だけでなく、この「ヒストリック・コンサート」はホロヴィッツによる第一級の音楽が聴ける演奏であることも見逃してはいけないのです。


ブラームス:ホルン三重奏変 ホ長調 Op.40

(Vn)アドルフ・ブッシュ:(P)ルドルフ・ゼルキン (Hr)オーブリー・ブレイン 1933年11月13日録音

アドルフ・ブッシュとルドルフ・ゼルキンという黄金のコンビに、あの不世出のホルン奏者のデニス・ブレインの父親であったオーブリー・ブレインが参加するのですから、それだけでも貴重な録音です。それに、ロマンティストとしてのブラームスの姿が古典派の枠の中で見事に解け合っている演奏はそうあるものではありません。


ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1953年2月2日録音

トスカニーニにとって「新世界より」は若い時代から積極的に取り上げていた作品でもあり、NBC交響楽団ともコンサートでも何回も取り上げている(識者によると5回とか・・・)得意レパートリーだったからです。
この録音には土の香りは全く存在しません。その意味ではセルなどに代表されるコスモポリタンな演奏なのですが、その徹底ぶりはセル以上です。そして、何よりも一番の違いは、オケの響きがセルは陶磁器だとすればこれはまさに鋼鉄だと言うことです。
非情な近代社会としての「新世界より」の便りは聞きたくないという人にとってはお気に召さないかもしれませんが、この時代のオケのアンサンブルとしては奇蹟に近いといえます。





[2021-01-22]

ベートーベン:交響曲第4番 変ロ長調 作品60
ウィリアム・スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1962年4月30日~5月2日録音

[2021-01-21]

シューマン:謝肉祭 作品9
(P)ニキタ・マガロフ:1961年録音

[2021-01-20]

ハイドン:交響曲第57番 ニ長調 Hob.I:57
シモン・ゴールドベルク指揮:オランダ室内管弦楽団 1958年10月13日~15日録音

[2021-01-19]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV1069
アドルフ・ブッシュ指揮 ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ 1936年9月27日~28日録音

[2021-01-18]

ショーソン:詩曲 作品25
(Vn)ナタン・ミルシテイン:アナトール・フィストゥラーリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1963年4月1日&3日~4日録音

[2021-01-17]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調, K.466
(P)エリック・ハイドシェック:アンドレ・ヴァンデルノート パリ音楽院管弦楽団 1960年6月3日&8日録音

[2021-01-16]

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調, Op.83
(P)アルトゥール・ルービンシュタイン:シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1952年8月11日録音

[2021-01-15]

ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
ウィリアム・スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1963年4月29日~5月1日録音

[2021-01-14]

ドヴォルザーク:交響詩「水の精」 Op. 107
ヴァーツラフ・ターリヒ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1954年5月4日録音

[2021-01-14]

ドヴォルザーク:交響詩「水の精」 Op. 107
ヴァーツラフ・ターリヒ指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1949年7月14日録音