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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

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バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団1957年4月9&10日録音

フリッチャイはバルトークが内包している複雑さを鏡のように映し出して見せます。
ですから、どうか冒頭の部分だけを聞いて「こりゃ、駄目だ」と聞くのをやめるのではなく、出来れば一度は最後までおつきあいください。

セルやライナーのようなスタイリッシュで近代的なたたずまいとは異なる、もう一つのバルトーク像を体験することが出来るはずです。


パッヘルベル:カノンとジーグ

ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団 1954年8月21日録音

名演というと違和感があるかもしれませんが、こういう演奏こそが古い時代の録音を聞く楽しみでもあります。
最近の演奏になれた耳からすると、冒頭のあまりにも悠然とした分厚い低声部の響きには仰天させられるというか、度肝を抜かれるというか(^^;、まあ、吃驚の演奏です。

しかし、ジーグに続いて再びカノンが帰ってくる時の深い感情には心が動かされます。
やはり名演というべきなのでしょうか。


ブラームス:弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1951年録音

この四重奏団の演奏には芸術的に突き詰めたの緊張感ではなくてどこか親密で寛いだ雰囲気がただよいます。
ある人が、この四重奏団のリーダーであるカンパーのことを「彼はムジカー(音楽家)だったが、同時にムジカント(楽士)でもあった」と評していました。もちろん、この「ムジカント」という言葉は否定的な意味合いで使われたのではなくて、演奏する方も聞く方も楽しい気分にさせてくれる芸人魂の持ち主であったことを肯定的に表現したものでした。

そして、そう言う彼らの美質が炸裂したのがこのブラームスの弦楽六重奏曲でしょう。とりわけ、若きブラームスの青春の歌とも言うべき第一番の第二楽章はポルタメントを多用した「泣き節」が炸裂しています。
まさに、ドイツ版ド演歌です。


ヴェーベルン:夏風の中で

ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1963年2月17日録音

ウェーベルンなんてやめてくれ!!という声が聞こえてきそうです。
しかし、大丈夫、おそらく、この作品を聞いてまさかこれがウェーベルンの作品だと思う人は殆どいないでしょう。
この作品はどこからどう見ても大編成オーケストラによる後期ロマン派の音楽です。ウェーベルンと言えば、新ウィーン楽派を代表する3人(シェーンベルク・ベルク・ウェーベルン)の中でも、もっとも凝縮度の高い作品を書いた人として認知されています。そんなウェーベルンにもこんな音楽を書いていた時期があったというのは驚きです。
ぜひ聞いてみてください。


バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番

(Vn)ヨハンナ・マルツィ 1954年6月~1955年3月録音

「ヨハンナ・マルティ」は知る人ぞ知るヴァイオリニストで、一部の好事家の間では高く評価され、そのレコードには驚くほどの高値がついていました。しかし、隣接権が切れることでCDの復刻がなされて、ようやく広く知られるようになりました。
それにしても、なんという流麗なバッハでしょう。横への流れを至るところでぶつ切りにして、この上もなく厳しく、ゴツゴツしたバッハを造形したシゲティとは180度対極にあるバッハ演奏です。
シゲティのようなバッハがいいという人には絶対に受け入れられない演奏です。
逆説になりますが、だからこそ、価値のある演奏だとも言えます。(立ち位置がはっきりしている!!)


リムスキー・コルサコフ:交響組曲(交響曲第2番) 「アンタール」 作品9

エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団 1954年6月録音

残された記録によると、「Decca」が始めてステレオ録音を行ったのが、エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団によるリムスキー・コルサコフの交響組曲(交響曲第2番)「アンタール」でした。
録音会場は言うまでもなく、ジュネーブのビクトリア・ホールで、録音の指揮を執ったのは「Decca」でステレオ録音推進の中心メンバーだったRoy Wallaceでした。

その意味では、これはまさに「歴史的意義」のある録音だと言えます。
そして、ステレオ録音の幕開けの時に、既にこのレベルの録音クオリティを実現していたことには驚かざるを得ません。


ガーシュイン:パリのアメリカ人

スタンリー・ブラック指揮 ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団 1966年発行

1927年にガーシュインがピアノのソロを担当した録音があります。あまりのアクの強さに驚かされ、同時に作曲者がイメージした「ラプソディー・イン・ブルー」がこんなものなら、いわゆるクラシック音楽として演奏される大部分の「ラプソディー・イン・ブルー」はあまりにもお行儀がよすぎるのではないかという思いがしたものです。
そんな時に出会ったのがこの一枚でした。
最初の音が出たとたんに仰け反ってしまいます。
そして、こういう演奏を聞きたかったんだと叫びたくなります。ただし間違ってもスタンダードにはなりません。

これは、そう言うクラシック音楽としての枠の中におさまったガーシュインを散々聞いてみた人にとって、思わず拍手をしたくなる演奏なのです。


チャイコフスキー:くるみ割り人形 組曲 Op.71a

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年10月録音

カラヤンが多くの人々から受け入れられた最大の魅力は、ベルリン・フィルというオーケストラを徹底的に鍛えて、未だ誰も耳にしたことがなかったような希有の響きを実現したことであり、その希有の響きによってきわめて「完成度」の高い「録音」を作りあげたことでしょう。
とりわけ、「録音」という行為に関して言えば、それがもっている「価値」をはじめて明らかにした指揮者でした。


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30

(P)バイロン・ジャニス シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1957年12月29日録音

冒頭の出だしから尋常ではなくて、かつて「肉体的限界に挑むような怒涛の迫力」と言われたアルゲリッチ&シャイー盤(82年ライブ録音)よりも凄まじいような気がするのです。
基本的には歌うよりはひたすら前に突き進んでいくような演奏なので、その辺りのバランスをもう少し欲する人は後年のドラティ&ロンドン響との録音をとる方がいいかもしれません。
しかしながら、ジャニスならではの強靱な打鍵から繰り出されるパワープレイの世界がもたらす爽快感は他では変えがたいものなので、個人的にはこのミュンシュ盤をおしたいなとは思います。


ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ短調

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ アイズラー・ソロモン指揮 RCA ビクター交響楽団 1954年11月5日録音

ハイフェッツによる有名な54年盤を久しぶりに聞いてみました。録音がモノラルであることなど何の問題もありません。唖然とするほど上手い・・・等という言葉にも何の意味もありません。そこにあるのは、上で述べたような「俺こそが正解だ!!」という不遜なまでの傲岸さです。ただし、その傲岸さの何と心地よいことか!!


ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー

(P)バイロン・ジャニス ユーゴ・ウィンターハルター指揮、ユーゴ・ウィンターハルター・オーケストラ 1953年4月3日録音

こういう録音を聞くと、Mercuryレーベルの録音が凄かったのはモノラル録音の時代からだったのだと再認識させられます。
というか、この鮮烈にして高解像度の音がスピーカーから飛び出すと、これがモノラル録音であるという事実がにわかに信じがたくなるほどなのです。


サン=サーンス:クラリネットソナタ 変ホ長調 OP.167

(Cl)レジナルド・ケル (P)ブロック・スミス 1957年5月27日録音

レジナルド・ケルと言えばすでに過去の人となっていますが、そのほんわかとした響きは今もってなかなかに魅力的です。モーツァルトやブラームスのクラリネット作品だけでなく、いろいろなクラリネット小品も録音していて、そう言う小品を次々と聞いていると、「仕事に行くのが嫌になってしまうような魅力」を持っています。
そんなわけですから、このイタリアの映画音楽を思わせるようなサン=サーンスの作品もどこか飄々とした風情がただよう演奏に仕上がっていて実に魅力的です。


ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68

ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1966年10月7日録音

この録音にはモノラルの時代に感じたような厳しい緊張感はありません。
それを人によってはセルが完成したクリーブランド管に包摂されてしまったとも言うのですが、それでもセルの意志は隅々にまで行き届いています。

このブラームスの1番もボンヤリと聞いていると素っ気なく構築しているように見えます。しかし、細部では結構細かいニュアンスがちりばめられています。


チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品74「悲愴(Pathetique)」

ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 1960年9月&11月録音

ムラヴィンスキーという男はチャイコフスキーのシンフォニーをベートーベンの不滅の9曲にも匹敵する偉大な音楽だと心の底から信じた男でした。その事は、私の思いつきの言葉ではなくて、ムラヴィンスキーが至るところで、繰り返し、繰り返し語っていることです。
とりわけ6番「悲愴」については暇さえあればスコアを眺めて、時には涙していたそうです。
あわせて、演奏の精緻さ、強力な低声部に支えられた鋼のような響き、そしてその鋼鉄の響きが一糸乱れることなく驀進していく強力なエネルギー感などなど、このコンビが放射する圧倒的なパワーに西側世界は呆然としたのです。


シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」 D.944

アタウルフォ・アルヘンタ指揮 チェント・ソリ管弦楽団 1957年11月8日録音

アルヘンタは1956年に大病を患い(結核という話が伝わっています)長期の活動休止を強いられました。しかし、体調が回復して1957年から活動を再開してからその音楽は大きく変わったと言われます。
その言葉に大いに納得させてくれるのがこのシューベルトの「ザ・グレート」です。
何よりも堂々たる響きと構えの大きさ、そして悠然たるテンポで繰り広げられる世界は、まさに「ザ・グレート」というタイトルに相応しい音楽に仕上がっています。


ビゼー:交響曲 ハ長調

エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1960年10月録音

実にあっさりと、そしてサラッとした感じで仕上げています。よく言えばラテン的な明晰さに溢れていると言えますが、悪く言えばいささか素っ気なくも聞こえます。
しかし、ここに、さらなる濃度と湿度を加えていけばよくなるのかと言えばそうとも思えませんから、若きビゼーの音楽にはこれくらいが丁度いいのかもしれません。


ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)

(P)マウリツィオ・ポリーニ・ポリーニ:パウル・クレツキ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1960年4月20日&21日録音(Maurizio Pollini:(Con)Paul Kletzki The Philharmonia Orchestra Recorded on April 20-21, 1960)

ポリーニが亡くなりました。彼が20世紀から21世紀にかけて、もっとも偉大なピアニストの一人、もしくはもっとも偉大なピアニストだったと言い切ることに異を唱える人はいないでしょう。
そんなポリーニの出発点ともいうべき演奏がこの録音です。後の彼から見ればあまりにも不満の多い演奏であり、それを名演奏として取り上げられることには大いに不満であろうことは容易に想像はつきます、しかし、最初の一歩は重要であり、ポリーニという偉大なピアニストのスタート地点を知ることは聞き手にとっては意味あることでしょう。
世界はまた大きな存在を失いました。


バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル 1959年11月30日録音

この演奏を名演奏といっていいのか、私自身もなんだか奥歯に物が挟まったような書き方もしているので躊躇いがないわけではないのですが、やはりここで取り上げておきましょう。
やはり少なくない人にとってバルトークというのはとっつきやすい作曲家ではないようです。
そんなバルトークの作品を最もエンターテイメント的に提示したのがバーンスタインでした。とっつきにくい面もあるバルトークへの入り口ということでは、やはり注目すべき一枚です。


モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調, K.364

フェリックス・プロハスカ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 (Vn)ワルター・バリリ (Va)パウル・ドクトール 1951年録音

演奏全体の主導権はバリリがをにぎっています。ウィーン、フィルのコンサート・マスターでもあったバリリですから当然といえば当然のことです。オーケストラのメンバーは気心の知れた相手なのですから、実に息のあった、そしてバリリの持つ魅力が存分に発揮されています。
そして、もう一人のソリスト、パウル・ドクトールの魅力も存分に発揮され、二人の掛け合いは息が合ったというレベルを超えたこの上もない親密感にあふれています。
そして、フェリックス・プロハスカという指揮者の控えめなスタンスもここでは大きな役割を果たしています。
指揮者が強力に統率力を発揮した演奏はいくつでも思い浮かべることはできますが、このような絶妙なバランスで成り立った演奏はほかには思い当たりません。


Great Tone Poems Of Sibelius

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1966年1月録音

このアルバムを貫く基本なイメージがはっきりと表れているのが「カレリア序曲」の第2曲「バラード」でしょう。イングリッシュ・ホルンによって延々と歌い継がれていく歌は、宇野功芳的に表現すれば「寂しさの限り」です。
そして、この寂しさはこのアルバムに収められている作品の至るところに顔を出すのです。その意味では、これはバルビローリという人の目に映った徹底的に主観的なシベリウスです。そして、その目に映ったシベリウスというのは「寂しい男」なのです。







[2025-01-22]

ハイドン:弦楽四重奏曲第46番 変ホ長調, Op.50, No.3, Hob.3:46(Haydn:String Quartet No.38 in E flat major, Op.50, No.3, Hob.3:46)
Pro Arte String Quartet]Recorded on November 15, 1937(プロ・アルテ弦楽四重奏団:1937年11月15日録音)

[2025-01-20]

ドビュッシー:海~管弦楽のための3つの交響的素描(Debussy:La Mer, trois esquisses symphoniques)
グイド・カンテッリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年9月録音(Guido Cantelli:NBC Symphony Orchestra Recorded on September, 1954)

[2025-01-18]

シューベルト:4つの即興曲 D.935 No.4(Schubert:Four Impromptus, D935 [4.Allegro Scherzando, F Minor])
(P)クリフォード・カーゾン 1952年12月9日~11日録音(Clifford Curzon:Recorded on December 9-11, 1952)

[2025-01-17]

シューベルト:4つの即興曲 D.935 No.3(Schubert:Four Impromptus, D935 [3.Theme and Variations, B Flat Major])
(P)クリフォード・カーゾン 1952年12月9日~11日録音(Clifford Curzon:Recorded on December 9-11, 1952)

[2025-01-15]

サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付」(Camille Saint-Saens:Symphony No.3 in C minor, Op.78 "Symphonie avec orgue")
シャルル・ミュンシュ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック (Org)エドゥアルド・ニース=ベルガー 1947年11月10日録音(Charles Munch:New York Philharmonic (Org)Edouard Nies-Berger Recorded on November 10, 1947)

[2025-01-12]

ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調, Op.35 「葬送」(Chopin:Piano Sonata No.2 in B-flat minor Op.35)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1952年発行(Guiomar Novaes:Published in 1952)

[2025-01-09]

ベートーベン:ピアノソナタ第26番 変ホ長調 作品81a 「告別」(Beethoven: Piano Sonata No.26 In E Flat, Op.81a "Les adieux")
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月4日~5日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 3-4, 1960)

[2025-01-06]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番「不協和音」 ハ長調 K.465(Mozart:String Quartet No.19 in C major, K.465 "Dissonance")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2025-01-04]

フランク:交響曲 ニ短調(Franck:Symphony in D Minor)
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1954年6月27~7月11日録音(Artur Rodzinski:Wiener Staatsoper Orchester Recorded on June 27-July 11, 1954)

[2025-01-02]

シューベルト:4つの即興曲 D.935 No.2(Schubert:Four Impromptus, D935 [2.Allegretto, a Flat Major])
(P)クリフォード・カーゾン 1952年12月9日~11日録音(Clifford Curzon:Recorded on December 9-11, 1952)