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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名演奏を聴く~今週の一枚(一覧表示)



ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

(Cello)ピエール・フルニエ:ジョージ・セル指揮 ベルリンフィル 1961年6月1~3日録音

セルとフルニエの演奏は繰り返し聞かれることを宿命づけられた「レコード」というものをの本質と宿命を考え合わせれば、おそらくは最上のパフォーマンスの一つでしょう。
初めて聞いたときにはその強い個性に魅了されても、繰り返し聞くと、その個性が「灰汁」となってしまう演奏は意外と多いものです。この録音は、そう言う類の演奏とは最も隔たったところにある演奏です。


メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 作品56 「スコットランド」

クレンペラー指揮 フィルハーモニア管 1960年1月22,25,27&28日録音

誰が何と言おうと、私は断言します。数あるクレンペラーの録音の中で、このメンデルスゾーンの「スコットランド」こそが最上のものです。敢えて、「最上のものの一つ」ではなくて、「最上のもの」と言い切ります。
もちろん、異論は山ほどあるでしょうが、私にとってはもっとも愛すべきレコードの一枚です。


ショパン:ワルツ集(第1番~14番)

(P)ディヌ・リパッティ:1950年7月録音

これは疑いもなく20世紀におけるショパン演奏の一つの頂点をなすものだといえます。そして、若くしてこの世を去ったリパッティというピアニストの実力を改めて私たちに認識させてくれる演奏です。
リパッティはこの一連のワルツを順番に演奏するのではなく、彼なりの配列で、まさに全体で一つの作品であるかのように再構成をして私たちに提示してくれています。
ショパンのワルツの最大の特徴である叙情性がこれほどまでに見事に表現された演奏はそうあるものではありません。


バッハ:ゴルドベルグ変奏曲, BWV 988

(P)グレン・グールド:1955年録音

バッハ演奏の歴史はグールド以前とグールド以後に別れるという人もいます。
グールドのデビュー盤となったこの録音が発売されたときは多くの人に衝撃を与えました。しかし、多様なバッハへのアプローチを経験した今日の私たちは、残念ながらこの録音を初めて聴いた人々の衝撃を想像することはかなり困難となっています。それだけに、時にはこれを採りだして聞き直してみることには大きな意味があるのです。


シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D.810「死と乙女」

ブッシュ弦楽四重奏団:1936年録音

第1楽章から悲しみにあふれた演奏であり、とりわけ第2楽章では、未だかつて聞いたことがないほどの痛切な悲しみに彩られていて、完全な金縛り状態になってしまいます。
それにしても、これはなんという演奏でしょう。なんの気負いもてらいもなく、淡々と歌い上げているだけなのに言いようのない深い悲しみと絶望感が聞き手に迫ってきます。
冬蜂の死にどころなく歩きけり
唐突に村上鬼城のそんな句が頭に浮かんでくるような演奏でした。


ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op. 115

(Cl)レオポルド・ウラッハ :ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1952年録音

ウラッハは戦後間もない1950年代に、ウェストミンスターレーベルでモーツァルトとブラームスのクラリネット作品を全て録音してくれました。そして、その全ての演奏が半世紀以上経過した今日でもその存在価値を失っていないと言うのは、考えてみればすごい話です。
いや、存在価値を失っていないどころか、未だにこれをもってベスト盤と主張する人も少なくありません。
ウラッハの演奏の特徴は洗練されたテクニックや響きとは縁遠いものであり、そういうものとは対極にある典雅で暖かみのある鄙びた響きが特徴です。


フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調

(Vn)ジャック・ティボー (P)アルフレッド・コルトー 1929年5月28日録音

あまりこういう言い方は好きではないのですが、これをこえるようなフランクのヴァイオリンソナタは思い浮かびません。
この演奏の特徴は何と言ってもステキなポルタメント奏法にあります。今では「時代遅れ」のレッテルを貼られてこんな弾き方をする人は絶滅に瀕しているようです。確かに、下手がやると「下品」そのものになってしまうポルタメント奏法ですが、ティボーの手に掛かると何と上品で粋に聞こえることでしょう。
なお、録音は1929年という事で、「超絶的」に古いのですが、SP盤による録音がいかにすぐれたものだったのかを再認識させてくれるだけの素晴らしさを持っています。
必聴の一枚です!!


チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1957年4月19日録音

ライナーとハイフェッツというのは、端から見ていてもその目指すべきベクトルが同じように見えますから、かなり相性がよかったのではないかと思ってしまいます。しかし、調べてみると、この両者による協奏曲の録音は、今回紹介したブラースとチャイコフスキーの2曲だけなのです。不思議な話です。
演奏の方を聞いてみると、これは明らかにハイフェッツ主導です。好き勝手弾いているとは言いませんが、ハイフェッツのやりたいように弾かせておいて、それにライナーが実に素敵に伴奏をつけているという風情です。
いつもの聞き慣れた「チャイコン」とはずいぶん違う音が聞こえてくるような気がします。
でも、素晴らしい!!


メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品90 「イタリア」

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1954年2月26~28日

レスピーギの「ローマの松」の録音と並んで、この歴史的金字塔とも言うべきこの録音を前にして今さらつけくわえる言葉はありません。
ただ、蛇足を承知で一言つけ加えれば、この録音はトスカニーニ引退の引き金となったあの歴史的事件のわずか1ヶ月前だと言うことは知っておいていいことでしょう。老いゆえに崩れ落ちようとする自分を鼓舞しながら最後の最後までこのように指揮活動を続けた事に、トスカニーニという男の凄味と執念を感じます。


エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品38

(Cello)ジャクリーヌ・デュ・プレ:ジョン・バルビローリ指揮 ロンドン交響楽団 1965年8月19日録音

20世紀の録音史に燦然と輝く金字塔ですから、今さら何も付け加える必要がありません。
それこそ、本当にたくさんの人がこの演奏に関しては賛辞を呈していますから、その上に一体何を付け加えればいいのでしょう、という感じです。
デュ・プレはこのエルガーの協奏曲で、小さい頃から積み上げてきたありとあらゆるテクニックを無心になってつぎ込んでいることに気づかされます。それ故に、少女時代のデュ・プレがチェロという楽器と向かい合った過酷さに気づかされて粛然となるのです。


プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 Op.83 「戦争ソナタ」

(P)ホロヴィッツ: 1945年9月22日&10月6録音

「戦争ソナタ」とも呼ばれる3曲のソナタなかでも、この第7番は華やかな演奏効果を持つために腕自慢のピアニストには好まれています。
それをホロヴィッツが演奏すればどうなるかは容易に想像がつくところです。
聞き所は、ピアノを打楽器的に扱う第3楽章であり、とりわけ猛烈な勢いで突進していく終結部です。まあ、凄いものです。


ヴィターリ:シャコンヌ

(Vn)ハイフェッツ(Or)Richard Ellsasser 1950年8月4日録音

ハイフェッツとは何者だったかと聞かれれば、まずは聞いてほしいのがこの録音です。
甘い感傷などに寄りかかることもなく、完璧なテクニックによって完璧なプロポーションを削りだしています。それは、例えてみるならば、全てのものを一刀両断にしてしまうような抜き身の真剣をひっさげての剣舞のごとき凄まじさがあります


マーラー:交響曲第9番

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1964年1月10,11,14&18日録音

当時のベルリンフィルのレパートリーにマーラーは存在していませんでした。
その理由を遡ればいささか剣呑な話になるのですが、そう言うベルリンフィルを相手にマーラー演奏の金字塔とも言うべき録音が為されたことはある種の「奇蹟」とも言えます。
さらに着目すべきは、その驚くべき録音クオリティの高さです。「TAS Super LP List」の最高評価である「BEST OF THE BUNCH」を与えられている一枚でもあります。


マーラー:交響曲「大地の歌」 イ短調

ワルター指揮 ウィーンフィル (A)キャスリーン・フェリア (T)ユーリウス・パツァーク 1952年5月15~16日録音

ワルター&ウィーンフィルという黄金の組み合わせに、キャスリーン・フェリアーが名前を連ねているのですから、今もって一つのスタンダードとなりうる録音です。
ワルターは言うまでもなくこの作品の初演者です。それだけに、この作品への思い入れは強かったようで、その生涯に3度録音しています。
戦前に一度(1936年)、戦後にモノラルで一度(ここで紹介している録音です)、そして、ステレオで一度録音(1960年)しています。


ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1958年1月13日,15日,17日録音

いろいろと言われるコロンビア響との録音ですが、その特徴をひと言で言ってみれば、「サラサラ流れる」音楽だと言っていいでしょう。
このコンビによる録音の中でも名盤の誉れの高いこの「田園」もその例外ではありません。実に端正に気持ちよく横へ横へと音楽は流れていきます。そして、歌わせるべきところは品良く歌わせています。弦楽器群の美しさも特筆ものです。
しかし、私たちはこれ以後、様々な「田園」を持つようになりました。ですから、今もってこれを決定盤と主張する気はありませんが、それもこの作品の演奏史において決して忘れてはいけない録音であることは事実です。


モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

(Cl)レオポルド・ウラッハ ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1951年4月25日録音

何という情緒の濃い演奏、そして悠然たるテンポ。
今の時代から見ればまさに時代遅れの象徴みたいな演奏です。しかしながら、その時代遅れの中からこそモーツァルトの悲しみが浮かび上がり、その悲しみがヨーロッパの没落と二重写しになっているような演奏です。
やはりモーツァルトはこうでなくっちゃいけません。


バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1955年10月22日録音

これよりも精緻な演奏は今では珍しくありません。カラヤンとBPOやショルティとシカゴ響などのコンビは、おそらくこれが人間の限界かと思われるレベルにまで達しています。そして、この作品はそう言う演奏において「真価」が発揮されることも事実です。
しかし、このライナーとシカゴ響による演奏には、そのような精緻さだけでなく、細かい強弱や表情の付け方などが実にしっくりといっていて、これを一度聞いてしまうと、昨今のハイテクオケのハイテクだけの演奏が実に薄味に聞こえてしまって困ってしまいます。
もちろん、シカゴ響が誇る管楽器群も実に表情豊かに素敵なソロを披露してくれています。





[2019-05-19]

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
(Cell)ザラ・ネルソヴァ:ヨーゼフ・クリップス指揮、ロンドン交響楽団 1951年12月録音録音

[2019-05-18]

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 Op.92
カレル・アンチェル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1961年11月17日録音

[2019-05-17]

グルック:オルフェオとエウリディーチェより「メロディー」
(Vn)エリカ・モリーニ (P)レオン・ポマーズ 1956年録音

[2019-05-16]

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
ヨーゼフ・クリップス指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 1957年4月録音

[2019-05-15]

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82
(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:ワルター・ヘンドル指揮 RCAビクター交響楽団 1963年6月3日~4日録音

[2019-05-14]

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82
(Vn)エリカ・モリーニ:フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団 1958年10月14日~17日録音

[2019-05-13]

スッペ:「スペードの女王」序曲
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1959年5月録音

[2019-05-12]

シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 Op. 39
ロベルト・カヤヌス指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1930年5月21日~23日録音

[2019-05-11]

シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 Op.43
ロベルト・カヤヌス指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1930年5月27日~28日録音

[2019-05-10]

バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012
(Cell)ガスパール・カサド 1957年録音