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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名演奏を聴く~今週の一枚(一覧表示)



モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515

バリリ弦楽四重奏団 (2nd Va)Wilhelm Huebner 1953年録音

この録音は流れからみるとウェストミンスターレーベルのカタログの欠落をうめていく仕事のようであり、バリリたちにとってははそれほど楽しいものとは思えないのですが、それでも決してクオリティが落ちないのがバリリという人間の偉いところですた。しかし、あらためて聞き直してみれば、クオリティが落ちないどころか、これほどまでにこの作品に溢れている「モーツァルトならではのファンタジー」を見事に描き出した演奏は他には思い当たりません。
本当に、バリリって偉い人でした。


ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38

(Vc)ヤーノシュ・シュタルケル (P)ジェルジ・シェベック 1964年6月録音(?)

この作品はピアニストに対して伴奏者としての技量ではなくソリストとしての技量を求めます。しかし、ソリストであれば、何もチェリストとつきあわなくても自分をアピールできる作品はいくらでもあります。つまりは、ソリストとしての技量を持つピアニストであれば、こういう作品はチェロと合わせなければいけない分だけ面倒くさい作品なのです。それ故に、素晴らしいチェリストピアニストがこのように出会うというのは稀なことであり、それ故に幸せなことだったのです。


ホロヴィッツ/カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート

(P)ウラディミール・ホロヴィッツ 1965年5月9日録音

レコードというのは、その言葉通り歴史的な瞬間を「記録」するという役割があります。ですから、この録音はその様な歴史的証言者としての意義は途轍もなく大きいのです。
しかしながら、忘れてはいけないのはそう言う歴史的価値だけでなく、この「ヒストリック・コンサート」はホロヴィッツによる第一級の音楽が聴ける演奏であることも見逃してはいけないのです。


ブラームス:ホルン三重奏変 ホ長調 Op.40

(Vn)アドルフ・ブッシュ:(P)ルドルフ・ゼルキン (Hr)オーブリー・ブレイン 1933年11月13日録音

アドルフ・ブッシュとルドルフ・ゼルキンという黄金のコンビに、あの不世出のホルン奏者のデニス・ブレインの父親であったオーブリー・ブレインが参加するのですから、それだけでも貴重な録音です。それに、ロマンティストとしてのブラームスの姿が古典派の枠の中で見事に解け合っている演奏はそうあるものではありません。


ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1953年2月2日録音

トスカニーニにとって「新世界より」は若い時代から積極的に取り上げていた作品でもあり、NBC交響楽団ともコンサートでも何回も取り上げている(識者によると5回とか・・・)得意レパートリーだったからです。
この録音には土の香りは全く存在しません。その意味ではセルなどに代表されるコスモポリタンな演奏なのですが、その徹底ぶりはセル以上です。そして、何よりも一番の違いは、オケの響きがセルは陶磁器だとすればこれはまさに鋼鉄だと言うことです。
非情な近代社会としての「新世界より」の便りは聞きたくないという人にとってはお気に召さないかもしれませんが、この時代のオケのアンサンブルとしては奇蹟に近いといえます。


ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

イシュトヴァン・ケルテス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年録音

この録音については、今さら何も付けくわえる必要はないでしょう。
基本的には、非常にシンフォニックなスタイルで仕上げているのですが、鳴らすところは結構荒々しく鳴らし切っているのです。特に、ティンパニなどは「叩きまくっている」という感じですね。また、テンポに関しても結構大きく動かしているようなのですが、オケが豪快に鳴っているのでナヨッとした雰囲気は全くありません。
一言で言えば、はち切れんばかりの覇気が詰まった演奏だと言えるのでしょうか。


ブルックナー:交響曲第8番ハ短調

カール・シューリヒト指揮 ウィーンフィル 1963年12月9~12日録音

多くの巨匠が君臨した50年代から60年代の初め頃までは、どの指揮者もこのシューリヒトとのような、いや、このシューリヒト以上に強い個性というか主張というか、そう言う一筋縄ではないかない灰汁みたいなものをみんな持っていました。そして、人々はそう言う巨匠の「灰汁」を愛し、そう言う「灰汁」を楽しむために演奏会に足を運んだのです。
おそらく、このシューリヒトの演奏をブルックナー本人が聴けば「誰の音楽なんだ??!」と訝しく思うかもしれません。でも、そう言う音楽がクラシック音楽の表通りを堂々と闊歩していた時代の象徴とも言えるのがこの演奏でしょう。


モーツァルト:ピアノソナタ第8番 イ短調 K 310

(P)ディヌ・リパッティ:1950年録音

安っぽい叙情などは寄せ付けないストイックな演奏スタイルの中からこの上もなく澄み切ったロマンが香りだします。モーツァルトの孤独な魂を、これほどまでに澄み切った水晶のような響きで歌い上げた演奏は二度とあらわれないでしょう。


ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21

(P)サンソン・フランソワ パウル・クレツキ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1958年6月23日~4日録音

フランソワの魅力は作品と向き合って感情が揺らいだり、爆発したりすれば、そのテクニックも含めてその感情にあおられて揺らいでしまいます。しかし、その揺らぎは作品の形をゆがめてしまう一歩手前のところで踏みとどまります。そして、それがフランソワならではの豊かなファンタジーの世界を紡ぎ出しています。そんなフランソワの真骨頂が発揮されているのがこのショパンのコンチェルトです。


R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35

レオポルド・ストコフスキー指揮 ロンドン交響楽団 (vn)エリック・グリュエンバーグ 1964年9月22日録音

これを名演と言えばお叱りをうけるかもしれません。スコアは勝手に改変していてまさに「ストコ節」全開の演奏です。
それ故に、ここにあるのはストコフスキーという男の目に映った千夜一夜物語であり、お姫様は見事なまでにグラマラスな妖艶な美女です。
指揮者によっては、「こんな辛気くさい話を続けてたら王様に殺されちゃうんじゃない!」と言いたくなるようなお姫様もいるのですが、このお姫様のお話は見事としか言いようがありません。


ビゼー:交響曲 ハ長調

トーマス・ビーチャム指揮:フランス国立放送管弦楽団 1959年10月&11月録音

ビーチャムが実にゆったりと呼吸しながら音楽を作り出していることが手に取るように分かります。さらに、フランス国立放送管弦楽団のホルンもオーボエもその響きはこの上もなく生々しく、ビーチャムが作り出すゆったりとした世界は聞くものの心をその芯からゆったりさせてくれます。
ビーチャムはこの翌年には指揮者を引退し、61年にはこの世を去るのですが、そのような老人の手になる音楽とは信じがたいほどの若さと潤いを感じさせてくれる演奏です。


モーツァルト:セレナード第13番 ト長調 K.525 「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:(コントラバス)ヨーゼフ・ヘルマン 1954年録音

これを名演奏と言うには躊躇いを持つ人もいると思います。しかし、この四重奏団のリーダーであるカンパーのことを「彼はムジカー(音楽家)だったが、同時にムジカント(楽士)でもあった」と評していました。もちろん、この「ムジカント」という言葉は否定的な意味合いで使われたのではなくて、演奏する方も聞く方も楽しい気分にさせてくれる芸人魂の持ち主であったことを肯定的に表現したものでした。残念なのは、みんな賢くなって、こういう楽士がいなくなったことです。


モーツァルト:ヴァイオリンソナタ第28番 ホ短調 K.304

(P)クララ・ハスキル (Vn)アルテュール・グリュミオー 1958年10月16~17日録音

一つの世界を築き上げた老人(ハスキル63歳)が、才能あふれる若者(グリュミオー37最))を引き立てようとした演奏は、実にしみじみとココロ穏やかにさせてくれて、これまた耳福であります。
弱肉強食を是とし、その中で他人を出し抜いてでも前に出ることを賛美してきた社会が醜くも崩壊する様を見せつけられた後では、こういう音楽はまさに(あまり使いたくない言葉ですが・・・)、一つの「救い」であるのかもしれません。


ベートーベン:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131

ブダペスト弦楽四重奏団:1961年録音

このブダペスト弦楽四重奏団によるベートーベン演奏も弦楽四重奏の演奏史における一つの結節点であったことは疑いようもない事実です。この演奏の登場によって、ファースト・ヴァイオリンが主導的な役割を果たすようなスタイルは過去の遺物となりました。その意味で、弦楽四重奏の演奏の歴史はこのブダペストの演奏に全て流れ込み、そして、ここを水源地として新たな演奏の歴史が流れ出していったと言えます。


ショーソン:詩曲 作品25

(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1946年録音

冒頭の短いオーケストラの序奏に続いて独奏ヴァイオリンがピアニッシモで入ってきます。そして、オーケストラが沈黙する中を、そのヴァイオリンが単音で一本の旋律線を描き出していき、それが次第に音量を増していって一つの頂点に達したところで再びオーケストラが伴奏をはじめます。これは、ヴァイオリンのソリストとしては極限状態といえるほどの怖さでしょう。しかし、ヌヴーはその怖さの中を、これまた極限とも言えるほどの緊張感を維持してその一本のラインを描いていきます。そこに私は、開くはずのない壁に血を流しながら爪を立てているような姿を感じ取ってしまいます。


バッハ:音楽の捧げもの

(Con & Cemb)リヒター:(Cemb)ヘトヴィヒ・ビルグラム (fl)オーレール・ニコレ (vn)オットー・ビュヒナー・クルト・グントナー (va)ジークフリート・マイネッケ (vc)フリッツ・キスカルト 1963年録音

演奏の素晴らしさはまずはフルートのニコレ、次いでヴァイオリンのビュヒナーに帰することが出来ます。
とりわけ、フルートのニコレが参加すると、音楽の雰囲気が一変します。それは、淡々と時間を流れていくだけだった世界に突然人の血が通うような雰囲気です。それは「厳しい精神性」の世界と「高貴で奥深い表現」という表看板の中に、人の血の通った、ある意味で言い切ってしまえばロマンティックな世界が現出することでこの演奏の価値wさらに高めているように思えるのです。


メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64

(Vn)ハイフェッツ:シャルル・ミンシュ指揮 ボストン交響楽団 1959年2月23日&25日録音

このハイフェッツの演奏には、少なくない人がこの作品に期待する「甘さ」や「ひとしずくの涙」などはひとかけらも存在しません。それどころか、ここに存在するのは、そんな甘っちょろさとは正反対の日本刀の切れ味であり、青白い炎が立ちあがるような切っ先の鋭さです。つまり、ロマンティックな雰囲気に浸って「癒されたいわ」などと言うフニャケタ気持ちでこの録音を聞くと、間違いなく脳天をたたっ切られます。


ラヴェル:ボレロ

クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 1961年11月録音

このコンビの録音を「オケの精度」という点だけで見てはいけません。
オケの精度などと言うものは練習で絞り上げればある程度のラインまではどこでも実現可能です。しかし、クリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団のコンビが醸し出すこの響きの素晴らしさは、いわゆる「訓練」によって実現できるレベルものではありません。
賛否両論渦巻く外しまくりの「ボレロ」ですが、気にならないと言えば嘘になりますが、それと引き替えに実現している管楽器群の響きの素晴らしさは出色です。


ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」

(P)バックハウス ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ウィーンフィル 1959年録音

バックハウスというピアニストを評してもっとも適切なる言葉は「mouthpiece of the composer」に尽きるのではないでしょうか。
まさに、作曲家の代弁者として歌を歌う人、それがバックハウスの本質だったのではないでしょうか。そして、そこに「高い精神性」を見る人がいても不思議には思いませんが、。彼にとってもっとも大切だったことは作曲家と心を合わせて、その代理人としてピアノを演奏することだったはずです。
ここでは第5番の「皇帝」を紹介しましたが、全5曲どれも素晴らしい名演なので、ジャケットは全集盤を掲載しました。


モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550

ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1959年1月13日&16日録音

この録音には、この時代の巨匠たちに共通する巨大で重厚な造形はありませんし、後の時代を席巻するピリオド演奏ほどにはクリアでもなければシャープでもありません。世間では、こういう世界を「中途半端」と切って捨ててしまうのですが、しかし、実際に演奏を耳にすると得も言われぬ魅力があることは否定できないので困ってしまいます。
そこで、しばし沈思黙考して気づかされたのが、テンポ設定の妙です。
こんな言い方をすると実にいい加減なので気が引けるのですが、ワルターの手にかかると、すべの部分が「これ以外にはない」と思えるようなテンポで音楽が進められているように思えるのです。それは、メトロノーム記号でいくつというような単純なものではなく、すべてのフレーズがこのような語り口で話されるべきだと得心がいくようなテンポ設定なのです。そして、このような「芸」を身につけていたのは、モーツァルトに関してはワルター以外には存在しなかったことに気づかされるのです。





[2020-08-13]

クララ・ハスキル リサイタル(1953年:ルートヴィヒスブルク城:1)
(P)クララ・ハスキル:1953年4月11日録音

[2020-08-12]

モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 "ハフナー" K.385
オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1960年10月録音

[2020-08-11]

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1963年1月11日~12日録音

[2020-08-10]

J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調 BWV1051
アドルフ・ブッシュ指揮 ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ 1935年9月9日~17日録音

[2020-08-09]

J.S.バッハ:教会カンタータ 「まじりけなき心」 BWV 24
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (Org)Hannes Kastner (A)Eva Fleischer (T)Gert Lutze (Bass)Hans Hauptmann 1952年6月20日録音

[2020-08-08]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)ハイメ・ラレード:シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1960年12月24,&26日録音

[2020-08-07]

サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付き」
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1952年11月15日録音

[2020-08-06]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北西ドイツ放送交響楽団 1950年ライヴ録音

[2020-08-05]

Pieces by Rene Leibowit(2)~ボロディン:歌劇「イーゴリ公」・だったん人の踊り」/モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
ルネ・レイボヴィッツ指揮 パリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団 1960年録音

[2020-08-04]

ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
ピエール・モントゥー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年録音