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生涯


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オリョーリ県オリョーリ出身。イワン・ツルゲーネフと同郷である。貧しく倹しい下級官吏の家庭に生まれる。後に典礼音楽や合唱曲の作曲家となった弟ヴィクトルとともに、少年時代から楽才を顕し、14歳で地元の聖歌隊の指揮者を務めるまでになる。

その後モスクワ音楽院に進むが、学費を納入できずに退学せられ、その後に奨学金を得て、モスクワ楽友協会音楽学校でファゴットを学ぶかたわら、アレクサンドル・イリインスキーに作曲を師事。劇場の楽団でファゴットやティンパニ、ヴァイオリンを演奏するかたわら、写譜家としても働いて生計を立てた。この時期に親友のクルグリノフと出会った。

1892年にチャイコフスキーに認められ、マールイ劇場の指揮者に推薦され、それから同年にモスクワのイタリア歌劇団の指揮者も務める。以前からの過労が祟って健康が悪化し、結核に罹患したために、やむなく劇場での活動を断念し、温暖な気候のもとでの転地療養を余儀なくされてクリミア南部に向かう。生涯の終わりをヤルタで過ごした。2つの交響曲とトルストイの《皇帝ボリス》のための劇付随音楽は、同地で作曲されている。

ラフマニノフが楽譜出版社ユルゲンソンにかけ合ったおかげで、3つの歌曲が120ルーブルで買い取られ、その後《交響曲 第2番》も売れた。循環形式を用いた《交響曲 第1番 ト短調》は、作曲者の存命中にモスクワのほかベルリンやウィーン、パリでも演奏されたが、病が悪化していたため1897年の初演にも立ち会うこともかなわなかった。《交響曲 第1番》の出版と35才の誕生日を目前にして世を去った。

作風と作品


カリンニーコフの作風は、おおむねチャイコフスキーに倣った西欧的な楽曲構成法を採ってはいるものの、旋律や和声法に民謡や民族音楽の影響が自明であるように、国民楽派(「五人組」)からの影響も無視できない。このようにカリンニーコフは、モスクワ楽派とペテルブルク楽派のいずれかに与するのではなく、その両方の伝統の美点を折衷した作曲家であった。折衷的という点においてグラズノフに似ていなくもないが、よりアカデミックで、洗練された作曲技法と緻密な構成を追究し続けた点でグラズノフはカリンニーコフと異なっている。1899年からオペラの作曲にも着手したが、未完に終わった。

代表作は2曲の交響曲である。この2曲に見られるように、美しい民族的な旋律と、色彩的な管弦楽法が特徴的である。

交響曲

2曲の完成された交響曲があり、特に第1番は旧ソ連時代から録音・上演の機会が多い。どちらの曲もほとんど病床で作曲されたものであるが、生への希望に満ちた明るさが感じられる。おそらく、作曲者は、これらの曲を実際に聴くことはなかったはずである。

* 交響曲第1番ト短調 (1894-95)
親友であったクルグリノフに献呈された。金銭的な援助を仰ぐため、演奏前にリムスキー=コルサコフに楽譜を送ったが、批判的であった。第一楽章の印象的な旋律が終楽章で再現される。
* 交響曲第2番イ長調 (1895-97)
旋律もやや印象が薄く、第1番ほど有名ではないが、構成・内容ともに充実している。第二楽章のアンダンテ・カンタービレは聴き応え十分。

管弦楽曲

英語版によると、初期の序曲『ブイリーナ』の後半部分に現れる旋律は、アレクサンドル・アレクサンドロフ作曲のソ連国歌と同一であるという。

* 弦楽のためのセレナード ト短調(1891)
* 序曲『ブイリーナ』(1892)
* 組曲 ロ短調 (1892)
* 間奏曲第1番 イ長調 (1896)
* 間奏曲第2番 ト長調 (1897)
* 交響的絵画『杉と棕櫚』 (1897-98)
* 劇付随音楽『皇帝ボリス』 (1898)
* 交響的絵画『妖精』 (1899)

その他

* ピアノ曲『悲しい歌 ト短調』 (1892-93) - 5(3+2)拍子のロシア風旋律が歌われる、簡素な美しさを持った小品。
* ピアノ曲『エレジー 変ロ短調』 (1894)
* 無伴奏合唱曲『ヘルヴィムの歌』(1885,86)
* 声楽曲


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