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パウル・バドゥラ=スコダ(Paul Badura-Skoda)|モーツァルト:ピアノ三重奏曲第6番 ト長調, K.564(Mozart:Piano Trio in G major, K.564)
モーツァルト:ピアノ三重奏曲第6番 ト長調, K.564(Mozart:Piano Trio in G major, K.564)
Antonio Janigro:(P)Paul Badura-Skoda (Violine)Jean Fournier Released on 1956
Mozart:Piano Trio in G major, K.564 [1.Allegro]
Mozart:Piano Trio in G major, K.564 [2.Andante]
Mozart:Piano Trio in G major, K.564 [3.Allegrotto]
ハイドンからさらに前へ一歩薦めた作品

ヴァイオリンソナタがヴァイオリン助奏つきのピアノソナタであったように、ピアノ三重奏曲という形式であても基本は伴奏つきのピアノソナタでした。それは何もモーツァルトだけに限ったことではなく、同時代のハイドンやその他の作曲においても同様でした。
しかし、モーツァルトは自分自身もその様にとらえていながら、出来上がった作品を見ればピアノとヴァイオリンは同等のパートナーとして旋律と伴奏を分け合っています。さすがに、チェロはバス楽器として低声部を支えることに徹していますが、それでも時々ハッとするような重要なメロディラインを担当したりもします。
ピアノ三重奏曲 ト長調 第6番 K.564
この最後の作品は、もとはピアノソナタとして作曲されたのではないかと言われています。それほどに、弦楽器は従属的な地位に貶められています。ですから、アインシュタイン先生の評価も至って低いものとなっています。
「プフベルクのための比類のない弦楽三重奏曲(K.563)からちょうど1カ月後に完成されたが、元来はピアノ・ソナタだったもので、明らかに「初心者用」である。 モーツァルト自身の「標準」に従えば、3つの楽器が一つの論証的役割を果さなければならないはずのピアノ三重奏曲の枠を、これは全然満たしていない。」
ただし、この作品はかなりの確率で、仲間内で演奏を楽しむために急遽作られた可能性が高いです。その場限りの楽しみのために作った音楽を演奏会のために本気で作曲した作品と較べて、後世の人間があれこれ言うのは間違っているのかもしれません。
しかし、そうであっても、やはりモーツァルトはモーツァルトです。
アンダンテ楽章では魅力的な主題を三つの楽器が交互に演奏していくのですが、実に楽しげではないですか。
準常設のピアノ・トリオ
ピアノ・トリオと言うものはなかなか難しいものです。パスキエ・トリオみたいな弦楽トリオよりは作品のレパートリーは多いのでしょうが、それでも常設で活動するとなるとなかなか難しいものがあるようです。
ボザール・トリオの様な存在は珍しくて、古いところではカザルス・トリオとか100万ドルトリオ等に代表されるようにリストの寄せ集めみたいなもスタイルが一般的でした。レーベルにしても作品が地味なだけに、ソリストのネームヴァリューでレコードを売るというのが一つの戦略だったのでしょう。
その意味では、このヤニグロ、スコダ、フルニエという組み合わせは常設ではないにしても、ソリストの寄せ集めというレベルをこえた準常設(そんな言葉はありませんが・・・)に近い存在だったような気がします。
有名な100万ドルトリオではハイフェッツとルービンシュタインの折り合いが悪くて争いが絶えず、その間にはさまれたチェロのフォイアマンが仲裁にはいるというのが良くあったというのはよく知られた話です。
まあ、それがソリストとしての意地みたいなものなのですから、争いが絶えないのは当然と言えば当然であり、そう言うぶつかり合いの中で生まれる音楽もまた楽しではあります。
しかし、落ちついた端正な佇まいで純度の高い演奏を聞きたいときにはいささか灰汁が強すぎます。
一人、一人にソリストとしての器量がありながら、その3人が常設のトリオのように息がピッタリ合った組み合わせとしてはヤニグロ、スコダ、フルニエという組み合わせは理想に近いのかもしれません。
おそらくこの3人を並べてみればこんな感じでしょうか。
スコダは若くしてカラヤンに見いだされて世に出て、イェルク・デームスやフリードリヒ・グルダとともに「ウィーン三羽烏」と呼ばれて人気を博しそれに相応しい実力を持っていたが、未だ若造。
ヴァイオリンのフルニエと言えば兄のチェリストであるピエール・フルニエの弟と言われることが多くていささか影の薄い存在です。そのためか世間ではソリストとしてもすこしばかり柔な雰囲気は否定できず等と言われるのですが、この組み合わせで聞かせる彼の演奏は十分に引き締まったものです。
そして、ヤニグロは当時「世界最高のチェリスト」と呼ばれるほどの実力と人気を持っていました。
位置関係から見れば誰がどう見てもヤニグロがリーダーなのです。しかしながら面白いのは、ピアノ・トリオというのは、モーツァルトなどが典型ですが、ピアノが主でありとりわけチェロは縁の下の力持ちという作品が多いのですが、ヤニグロはそう言う作品でも嫌な顔一つ見せず地味な仕事に徹していることです。
もちろん、それがシューベルトやブラームスのようにチェロが存分に活躍するような作品になっても、ヤニグロという人はトリオとしてのアンサンブルを優先して自分だけが目立とうという意志は全くなかったようなのです。
そして、この顔合わせで、ハイドン、モーツァルト、ベートーベンという古典派のピアノ・トリオから始まって、シューベルト、ブラームスからドヴォルザークあたりまで数多くの録音を残してくれているというのは有り難い話です。
この残された録音の多さがソリストの寄せ集めではなくて準常設のピアノ・トリオと言いたくなる所以なのです。
そのおかげで、このトリオの演奏は安心して聞いていることができます。そしかしながら、そう言う安心感は裏返してみれば突出した魅力には欠けると言うことでもあり、結果として圧倒的な支持を集めることは難しいと言うことでもあります。
例えばハイフェッツが仕切った50年代のピアノ・トリオの録音があまりにもザッハリヒカイトの方に傾いていたのとは好対照を成しています。もちろん、どちらが良いかなどと言う話はするつもりはありませんが、それでもこういう落ちついたゆったりとした佇まいの音楽が聞けるというのは有り難いことです。
彼らの演奏はどれをとっても端正でありながらも、録音も50年代初頭としては十分に優秀であり、ロマンティックなヨーロピアンテイストを堪能することが出来ます。
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