Home|
モントゥー(Pierre Monteux)|ヴァンサン・ダンディ:交響的変奏曲「イスタール」 作品42
ヴァンサン・ダンディ:交響的変奏曲「イスタール」 作品42
ピエール・モントゥー指揮 サンフランシスコ交響楽団 1945年1月27日録音
d'Indy:Istar, Op.42
古代アッシリアの叙事詩に基づく音楽

これもまた珍しいダンディの作品です。
そして、この作品について調べていて気づいたのですが、2015年に録音されたジャン=リュック・タンゴー指揮 ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団によるCDの内容が、モントゥーの初期録音とピッタリ重なるのです。
- 交響曲第2番変ロ長調 作品57
- 交響的変奏曲「イスタール」 作品42
- 歌劇「フェルヴァル」第1幕への序奏
つまりは、モントゥーが最初期に録音したダンディのマイナー作品がそっくりそのままこの一枚に収められているのです。
おそらくは偶然だと思うのですが、それがモントゥーへのオマージュだとすれば随分と粋な行いだと言えます。
なお、この「イスタール」とは古代アッシリアの叙事詩に基づく音楽のようで、古代メソポタミアで崇拝された豊穣・性愛・戦争の女神イシュタールを標題化しています。
とは言え、聞けば分かるように標題性をもった交響詩ではなくて、タイトルのように変奏曲として構成されています。
実際に聞いてみれば、実に美しい旋律と響きにあふれた音楽なので、もっと聞かれてもいいのではないかと思います。
フランス音楽をこのように指揮できる指揮者は貴重だったのでしょう
ピエール・モントゥーと言えばこのサンフランシスコ交響楽団と強く結びついています。
ヨーロッパ時代にはディアギレフのロシア・バレエ団で指揮を担当し、その後はパリ交響楽団の創立時の常任指揮者を務めたりもするのですが、腰を据えて指揮活動に取り組めたのは1935年にサンフランシスコ交響楽団の常任指揮者になってからでした。
そして、私の知る限りでは、1941年からRCAでの録音活動が開始されます。
おそらく、メジャー・レーベルからこういう形で録音のオファーが来るというのは、それなりにこの両者の名声が高まってきたからでしょう。そして、その録音クレジットを眺めていると、その名声はフランス音楽によって形づくられてきたことが分かります。
当時のアメリカにおいては、フランス音楽をこのように指揮できる指揮者は貴重だったのでしょうし、カタログ的にも補充したい作品が多かったのかも知れません
面白いのは、今日でも殆ど録音される機会の少ないヴァンサン・ダンディの作品をこの最初期に数多く取り上げていることです。ちなみに、この機会にモントゥはダンディの以下の4作品を取り上げて録音しています。
- フランスの山人の歌による交響曲 作品25
- 交響曲第2番変ロ長調 作品57
- 交響的変奏曲「イスタール」 作品42
- 歌劇「フェルヴァル」第1幕への序奏
ダンディと言えば「フランスの山人の歌による交響曲」くらいいしか思い浮かびませんから、この時期にこのようにまとめて取り上げたことは画期的といるでしょう。
ただ、驚くのは、40年年代とは信じがたいほどに録音のクオリティが高いことです。
このクオリティの高さは保存状態のよいSP盤が残っていたというレベルではないので、おそらくは金属原盤そのものが残っていたのでしょう。
改めてSP盤のクオリティがいかなるものであったかを思い知らされます。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
4722 Rating: 5.0/10 (68 votes cast)
よせられたコメント
2021-10-23:コタロー
- 今年初めてのモントゥーのアップですね。それもあまり聴かれない作品のモノラル録音を取り上げていますね。
ここに取り上げられた作品は私も初めて聴きます。それでもモントゥーの練達の指揮棒で、この無名な作品をそれなりに聴かせてしまうのは、モントゥーの手腕のたまものだと思います。
それほど偉大な指揮者の演奏を年に1,2回しか取り上げてくれないのは、とても残念なことだと思います。
【最近の更新(10件)】
[2025-07-30]

エルガー:行進曲「威風堂々」第3番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 3 in C Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)
[2025-07-28]

バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.545(Bach:Prelude and Fugue in C major, BWV 545)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)
[2025-07-26]

ベートーベン:交響曲第7番 イ長調 作品92(Beethoven:Symphony No.7 in A major ,Op.92)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 ベルリン・フィルハーモニ管弦楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on 1959)
[2025-07-24]

コダーイ: ガランタ舞曲(Zoltan Kodaly:Dances of Galanta)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1962年12月9日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 9, 1962)
[2025-07-22]

エルガー:行進曲「威風堂々」第2番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 2 in A Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)
[2025-07-20]

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調, Op.53「英雄」(管弦楽編曲)(Chopin:Polonaize in A flat major "Heroique", Op.53)
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン新交響楽団 1961年録音(Rene Leibowitz:New Symphony Orchestra Of London Recorded 1961)
[2025-07-18]

バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565(Bach:Toccata and Fugue in D Minor, BWV 565)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)
[2025-07-16]

ワーグナー:ローエングリン第3幕への前奏曲(Wagner:Lohengrin Act3 Prelude)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1959年12月30日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 30, 1959)
[2025-07-15]

ワーグナー:「タンホイザー」序曲(Wagner:Tannhauser Overture)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1964年12月7日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 7, 1964)
[2025-07-11]

ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」(Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral")
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1960年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1960)