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ブルックナー:交響曲第2番 ハ短調 WAB 102 (1877年稿・ノヴァーク版)

オイゲン・ヨッフム指揮 バイエルン放送交響楽団 1966年12月録音



Bruckner:Symphony No.2 in C minor, WAB 102 [1.Moderato]

Bruckner:Symphony No.2 in C minor, WAB 102 [2.Andante]

Bruckner:Symphony No.2 in C minor, WAB 102 [3.Scherzo: Masig schnell - Trio: Gleiches Tempo]

Bruckner:Symphony No.2 in C minor, WAB 102 [4.Finale: Ziemlich schnell]


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過渡的な色合いが濃い交響曲

習作という位置にある0番の交響曲をのぞけば、ブルックナーの交響曲の中では最も取り上げられる機会の少ない作品です。
それは、「過渡的」という性格に起因しているようです。

1番の交響曲は、最晩年に徹底的な改訂が施されて構成は基本的には変わらないものの、響きという点ではほとんど別の作品になっています。
この改訂された方を「ウィーン稿」、最初のものを「リンツ稿」とよぶのですが、それはブルックナーの交響曲の入り口と出口を示すような作品になっています。

そして、その入り口にあたる「リンツ稿」の交響曲をブルックナーは「生意気な浮浪児」と呼んでいたのです。
つまりは、ブルックナーにとってはこの交響曲は、自分が生み出した作品群の中においては異質な存在と感じていたのであって、それ故に最晩年に、第9番の交響曲の創作の筆を止めてまでも改訂に時間を費やしてしまったのです。
そして、おかしな話ですが、そう言う「異端」であるところに他の交響曲にはない魅力があるのです。

それに対して、この第2番の交響曲は、いかにも過渡的な音楽になっています。
確かに、ブルックナーの言葉を借りるならば、これは「浮浪児」ではありませんが、3番以降の作品群と較べれば充分には育ち切れていません。
しかし、育ち切れていないがゆえに、ある意味ではブルックナーの素の表情が浮かび上がってくる場面がたくさんあります。

その最たるものが、後に「ブルックナー休止」と呼ばれる事になる「突然の場面転換」の多用です。
すったもんだの末にこぎ着けたウィーンフィルとの初演において、楽団員がこの作品に奉ったあだ名が「休止交響曲」でした。

一つの主題が終わると管弦楽全体を一度全休止させて(いわゆる、「ゲネラル・パウゼ」ですね)、おもむろに次のテーマに移っていくという手法はこの後のブルックナーの専売特許になるのですが、その手法がここでは徹底的に活用されているのです。
さらに言えば、フォルティシモの進行が突然ピアニッシモになると言うような形での場面転換も多用されています。

しかし、管弦楽の響きはブルックナー的な雄大さを身にまとうまでには至っていませんし、構成的にもコンパクトにまとまっているので、基本的には「過渡的」という印象は拭いきれません。

演奏する側からすれば、頻出する「ブルックナー休止」の扱いには苦慮するでしょうし(有り体に言えば「わけ分からんがなぁ」)、それを何とか頑張って処理してもブルックナー的な雄大さも出にくいと言うことで、どうしても取り上げられる機会が少なくなるようです。

しかし、そういう事情で脇に追いやってしまうには惜しい部分もたくさんなります。
とりわけ、教会のオルガニストであったブルックナーの宗教的感情が最もあふれ出しているアダージョ(ノヴァーク版ではではアンダンテ)楽章は非常に美しい音楽です。

弦楽器によるオルガン的な響きから開始されるこの楽章には、彼がかつて書いた合唱音楽から「アヴェ・マリアの動機」や「ベネディクトゥスの動機」などが使われています。
ブルックナーが書いた最も美しい音楽の一つであることは間違いありません。

また、第3楽書のスケルツォは「野人」と呼ばれることもあったブルックナーらしい音楽になっています。
暗から明への転換という分かりやすい構造で、最後はハ長調で輝かしく締めくくられ最終楽章も十分に魅力的です。このハ長調が神への確固たる信頼と信仰の表明であることは言うまでもありません。

ただし、この最終楽章は至るところに長い全休止が登場します。
例えば、中間部のクライマックスが突然2小節半にわたる全休止で絶ちきられます。
これは、オルガンを演奏するときに、一つのクライマックスを終えるとそこで手を休めてお祈りを捧げたというブルックナーの習慣が反映しているとも言われています。

そして、最後のフィナーレに突入していく中でも2小節の休止とフェルマータのついた休止が登場するのです。
まさに「休止交響曲」なのです。暗から明への転換と言っても、なかなか一筋縄ではいかないのです。


オケがバイエルンにかわることによってヨッフムの持ち味である乱暴さが上手くはまりこむことになりました

ヨッフムは生涯に二度、ブルックナーの交響曲全集を完成させています。最初の全集は以下のような順番で録音されています。いうまでもないことです2度目の全集は1975年から1980年にかけてシュターツカペレ・ドレスデンとのコンビで録音されています。


  1. 交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版) バイエルン放送交響楽団 録音時期:1958年2月

  2. 交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音時期:1964年1月

  3. 交響曲第7番ホ長調 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音時期:1964年10月

  4. 交響曲第9番二短調(ノヴァーク版)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音時期:1964年12月

  5. 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1886年稿ノヴァーク版) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音時期:1965年7月

  6. 交響曲第1番ハ短調 (リンツ稿ノヴァーク版): ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音時期:1965年10月

  7. 交響曲第6番イ長調(ノヴァーク版) バイエルン放送交響楽団 録音時期:1966年7月

  8. 交響曲第2番ハ短調(ノヴァーク版) バイエルン放送交響楽団 録音時期:1966年12月

  9. 交響曲第3番二短調(1889年稿ノヴァーク版) バイエルン放送交響楽団 録音時期:1967年1月



1958年に第5番を録音したときは、それが全集になると言うことは全く想定していなかったでしょう。おそらくは、自分が得意とする作品を単発で世に問うという録音だったと思われます。
その後の録音のスケジュールを眺めてみれば、7,8,9番が64年、4,1番が65年、そして6,2番が66年、3番が67年に録音されて全集として完成していますから、64年1月に8番を録音した時点では全集が視野に入っていた事は間違いないでしょう。

そして、この全集はベルリンフィルを使って完成させるつもりだったのでしょうが、66年からはオケが手兵のバイエルン放送交響楽団に変わっています。
これもまた、想像の域を出ませんが、おそらくはカラヤン&ベルリンフィルの活動が忙しくなって、ヨッフム相手にブルックナーのマイナー作品なんかは録音している暇がなくなったのかもしれません。

しかし、結果的に見れば、オケがここで変わったことはよかったようです。

ヨッフムは64年からベルリンフィルとブルックナーの録音をはじめるのですが、64年と言えばすでにベルリンフィルはカラヤンの色に染め上げられていました。
ベルリンフィルはすでにドイツの田舎オケの風情は失ってしまい、完全にカラヤンのオケになってしまっていたのです。

こういう書き方をすると顰蹙を買いそうなのですが、ヨッフムという指揮者の魅力は乱暴さにあると思われます。ついでながら、我らが朝比奈隆も随分と乱暴な指揮者であって、そう言う乱暴さというのは何故かブルックナーとは相性がいいのです。
そして、そう言う乱暴さが持つ美質というものは、「レガート・カラヤン」の色がしみ込みはじめていたベルリンフィルとは相性がいいとは思えなかったのです。

さらに言えば、ベルリンフィルはあまりヨッフムの指示に従っていないようにも思えます。
それもまた、ヨッフムは基本的に乱暴な指揮者であって、カラヤンのような技巧的な指揮者ではないことに原因があります。カラヤンのもとで、ベルリンフィルは指揮者が出す適切な指示に対して機敏に反応する「機能的なオケ」に変身していました。
ですから、ヨッフムのような乱暴な指揮者のもとでは曖昧な部分は適当に演奏するしかなかったのかも知れません。

まあ私ごときがヨッフムに対して偉そうなことが言えた話ではないのですが、それでもヨッフムというのは余所のオーケストラに乗り込んで、短時間で掌握して的確に指示を出せるようなタイプの指揮者でなかったことだけは事実です。

もちろん、そういうオケの響きのような繊細な問題を録音だけで判断するのは危険であることは承知しています。
しかし、66年からのバイエルンとの録音から聞くことが出来る響きと、それ以前のベルリンフィルの響きとでは異質であることは間違いありません。

例えば、この全集の最後を締めくくる第3番の録音から聞こえてくるオケの響きは、カラヤンの色に染まったベルリンフィルの響きとは全く異質です。
そのおかげで、ブルックナーの資質がぶっきらぼうなまでの率直さで投げ出された第2番の交響曲などは、オケがバイエルンにかわることによってヨッフムの持ち味である乱暴さが上手くはまりこむことになりました。

もしも、これが「レガート・カラヤン」色のベルリンフィルで録音をしていれば、素朴で野性的な田舎娘に厚化粧を施したような、けっこう気持ちの悪いブルックナーになっていたかもしれません。

そう考えてみれば、8番、7番、9番、4番という有名どころが全てベルリンフィルで録音されてしまったというのは残念な話です。
ドイツグラモフォンにしてみればベルリンフィルと組んだ方が売れると判断したのでしょうが、出来れば手兵のバイエルン放送交響楽団だけで全集を完成させてほしかったと思ってしまうのです。

ただし、私が軟体動物のようだと感じた8番の録音に対してヨッフムらしい剛毅さが現れた演奏と絶賛する向きもあるのですから、もしかしたら私の聴き方が悪いのかもしれませんが・・・。

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