クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|ルネ・レイボヴィッツ(Rene Leibowitz)|グノー:バレエ音楽(歌劇「ファウスト」より)&あやつり人形の葬送行進曲

グノー:バレエ音楽(歌劇「ファウスト」より)&あやつり人形の葬送行進曲

ルネ・レイボヴィッツ指揮 パリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団 1960年録音



Charles Gounod:Ballet Music(from Faust)

Charles Gounod:Funeral March of a Marionette in D minor


美しい旋律をつくり出す能力の一端はうかがい知ることが出来る

グノーは「フランス近代歌曲の父」とも言われるそうですが、日本ではそれほど認知度は高くないようで、かろうじてオペラ「ファウスト」で知られる程度でしょうか。ただし、その中には「宝石の歌」などをはじめとする有名なアリアが含まれていて、さらには第5幕のバレエ音楽は単独の作品として演奏会でもよく取り上げられます。
オペラの中では以下の7曲が切れ目なしに演奏されて華麗なバレエが披露されるのですが、演奏会などでは指揮者の意向で適当に編曲やカットなどが施されて演奏される事が多いようです。

  1. 第1曲 ヌビアの踊り

  2. 第2曲 クレオパトラと黄金の杯

  3. 第3曲 ヌビア奴隷の踊り

  4. 第4曲 クレオパトラとその奴隷たちの踊り

  5. 第5曲 トロイの娘の踊り

  6. 第6曲 鏡の踊り

  7. 第7曲 フリネの踊り


また、「操り人形の葬送行進曲」はそれほど有名な作品ではなかったようなのですが、スリラー映画の巨匠ヒッチコック監督がテレビ番組「Alfred Hitchcock Presents」の中でこの曲をテーマ曲として採用することで突然有名になりました。
日本でもこの番組は「ヒッチコック劇場」として何度も放送され、このグノーの「操り人形の葬送行進曲」は「ヒッチコックのテーマ」として多くの人に知られるようになったようです。

とはいえ、その「ヒッチコック劇場」が放送された時からすでに半世紀以上の時時間が過ぎているのですから、この作品を聞いて「ヒッチコック劇場」を思い出す人は殆どいなくなっているのかもしれません。

とは言え、この2作品を聞くだけで、グノーという人が持っていた美しい旋律をつくり出す能力の一端はうかがい知ることが出来るでしょう。


高い分析力と良い意味での「緩さ」が上手くマッチして実に良い雰囲気に仕上がっている

レイボヴィッツの演奏を聞くと、どうしてもマルケヴィッチの演奏が比較の対象として浮かび上がってきます。両者の共通点はともに「作曲家」でもあったと言うことです。
レイボヴィッツは「十二音技法の使徒」と呼ばれるほどに新ウィーン楽派の音楽の普及につとめ、あわせてその技法に関しても多くの著書(「現代音楽への道」「十二音技法とは何か」「シェーンベルクとその楽派」など)を残し、自らもその理論の上に立った作品を多く残しています。
マルケヴィッチもまた、第二次世界大戦開戦までは「恐るべき子供たち」の1人として「現代音楽では最も驚異的な人物」であると評されていました。しかし、結果として振り返ってみれば、同じく「恐るべき子供たち」であったストラヴィンスキーやプロコフィエフと較べてみれば、その差は歴然としています。

つまり、気楽な物言いを許してもらうならば、レイボヴィッツが「指揮活動もする作曲家」であったのに対して、マルケヴィッチの場合は「作曲もしていた指揮者」という捉え方をされるようになったのです。
ただし、両者ともに作品を分析する能力に関しては卓越したものを持っていまし。しかし、その分析したものをオーケストラに明確に伝え、統率する能力に関しては大きな差があったと言わざるをえません。もっとも、指揮者稼業だけで飯を食っている連中の中でもマルケヴィッチと肩を並べられるほどの指揮の能力を持っていた人は殆どいないでしょうから、それは仕方のないことだったのかもしれません。

しかし、マルケヴィッチの場合は自分が納得できる表現に辿りつくまでは容赦なくオーケストラのメンバーを絞り上げるので、どの録音をとっても強い緊張感に満ちた引き締まった姿が呈示されるのですが、時にはそれが行き過ぎて息苦しさを感じてしまう場合もありました。
それと比べると、レイボヴィッツの指揮には良い意味での緩さがありました。おそらくは、本意としてはマルケヴィッチのように追い込みたかったのかもしれませんが、自分にはそこまでの指揮のスキルがないことも十分に承知していたのでしょう。

そして、素言う「緩さ」のようなものが、時にシューマンの交響曲第3番「ライン」の第1楽章ようにとんでもないことになってしまうこともあるのですが、対象が多くの人が聞きなじんだことがあるような「小品」になると、その高い分析力と良い意味での「緩さ」が上手くマッチして実に良い雰囲気に仕上がっていたりします。

調べてみると、レイボヴィッツは「リーダーズ・ダイジェスト」からの依頼で膨大な数の小品を録音しています。
おそらく、レイボヴィッツにとってはそれほど楽しい仕事ではなかったのかもしれませんが、食っていくためには必要な仕事だったのでしょう。あてがわれたオーケストラも「インターナショナル交響楽団」とか「ロンドン音楽祭管弦楽団」「パリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団」などと言う「怪しげ」なものばかりです。

おそらく、それらは実在するオーケストラが契約上の関係で名前を出せないための変名である場合もあるのですが、明らかに録音用に臨時編成されたオーケストラも混じっていたようです。
そんなわけで、音楽そのものはレイボヴィッツが本来指向する方よりはどんどん緩くなっていくのですが、聞き手からするとその「緩さ」みたいなものが妙に魅力的に聞こえるのです。

たとえば「パリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団」と録音したラヴェルの「ボレロ」などは絶対に聞き物です。シューマンの「ライン」でもそうだったのですが。よくぞこれで「O.K」を出したものだと思うのですが、それが指揮者としてのレイボヴィッツの姿を如実にあらわしているのかもしれません。
しかし、結果として、ほかではぜったに聞けないユニークな「ボレロ」が仕上がっているのですから、聞き手からすればそれを楽しめばいいだけです。

「パリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団」とは、おそらく「パリ音楽院管弦楽団」の変名と思われるのですが、そう考えれば実にコンセルヴァトワールのオケらしい演奏です。このオケと若きショルティのバトルは有名なのエピソードですが、もしもこの時の指揮者がマルケヴィッチだったらきっと血を見たことでしょう。(^^;。

また、リストのメフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」とか、グノーの「あやつり人形の葬送行進曲」「バレエ音楽」などは、そう言う「緩さ」が「それ行けどんどん」の華やかさに昇華していて聴き応え満点です。
サン=サーンスの「交響詩「死の舞踏」とかオッフェンバックの「「天国と地獄」のように聞き飽きるほどに聞いている音楽にしても実にユニークな表現に仕上がっています。
そして、これがドビュッシーになると、「もう少しオレが言うように明晰に演奏してほしいんだけど、まあ仕方がないかと」いう声が聞こえてきそうなのです。

そんなこんなで、こういう一連の小品の録音はレイボヴィッツという「指揮者」のもう一つの側面を明らかにしてくれているのかもしれません。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



4118 Rating: 4.9/10 (193 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください。
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2023-07-13:アドラー


2023-07-14:小林正樹





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-10-21]

リリ・ブーランジェ:古い仏教の祈り(Boulanger:Vieille Priere Bouddhique)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (T)レイモンド・アマデ 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (T)Alain Fauqueur Recorded on 1958)

[2026-10-19]

エマヌエル・ポンセ:イ短調組曲(Poncw:Suite In A minor)
(Gt)アンドレス・セゴビア:1930年録音(Andres Segovia:Recorded on 1930)

[2026-10-17]

ベートーベン:ヴィンターの歌劇「妨げられた奉納式」より四重唱「子供よ、静かにお休み」の主題による7つの変奏曲 WoO 75(Beethoven:7 Variations on the Quartet Kind, willst du ruhig schlafen from Winter's Das unterbrochene Opferfest, WoO 75)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)

[2026-10-15]

メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番 ト短調, Op.25(Mendelssohn:Piano Concerto No.1 in G minor, Op.25)
(P)モーラ・リンパニー:ラファエル・クーベリック指揮、フィルハーモニア管弦楽団 1952年録音(Moura Lympany:(Con)Rafael Kubelik The Philharmonia Orchestra Recorded on 1952)

[2026-10-13]

ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2集 作品72(Dvorak:Slavonic Dances Op.72)
クルト・ザンデルリング指揮 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1952年&1954年録音(Kurt Sanderling:Leningrad Philharmonic Orchestra Recorded on, 1952 & 1954)

[2026-10-11]

ヴィオッティ:ヴァイオリン二重奏曲 ト長調(Viotti:Duet for Violin Solo in G minor)
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:(Vn)イェフディ・メニューイン 1955年12月4日&6日録音(Gioconda de Vito:(Vn)Yehudi Menuhin Recorded on Decembr 4&6, 1955)

[2026-10-09]

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 「喜び」 Op. 8, No. 6, RV 180(Vivald:Violin Concerto in C Major, Op. 8, No. 6, RV 180, "Il piacere")
(Vn)フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団 1961年9月20日~28日録音(Felix Ayo:Musici, I Recorded on September 20-28, 1961)

[2026-10-07]

J.S.バッハ:カンタータ第51番「全地よ、神を向かえて歓呼せよ」,BWV 51(J.S.Bach:Cantata: "Jauchzet Gott in Allen Landen", BWV 51)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ペーター・ゲルホルン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1950年10月6日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(cpn)Peter Gellhorn Philharmonia Orchestra Recorded on October 6, 1950)

[2026-10-05]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV1069(J.S.Bach:Orchestral Suite No.4 in D major, BWV 1069)
クルト・レーデル指揮:ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)

[2026-10-02]

ルイス・デ・ミラン:「エル・マエストロ」からのファンタジア、舞曲、そしてロマンセ(Luys Milan:Fantasias, Dances And Romances From El Maestro)
(Lute)ヴァルター・ゲルヴィッヒ:(T)ベルンハルト・ミヒャエリス 1956年11月30日~12月1日録音(Walter Gerwig:(T)Bernhard Michaelis Recorded on Novembar 30~December 1, 1956)