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<ノルウェー:1843〜1907>

経歴


1843年6月15日、ノルウェーのベルゲンに生まれる。母はピアニストであり、その影響もあって幼い頃からピアノに親しむ。そして、15才で才能を認められてライプチヒ音楽院に4年間の留学を行う。
 彼はそこで、作曲法やピアノ奏法のみでなく、ドイツ方式の堅固な音楽語法を学び取る。
 1862年に音楽院を卒業したグリーグは、ベルゲンにおいてピアニストおよび作曲家として正式にデビューを行う。その後、ノルウェー音楽の確立と普及に意欲を燃やすノルドラークと親交を結び、二人が中心となってオイテルペ協会を設立してノルウェーの作品を活発に演奏するようになる。しかし、その活動も1866年のノルドラークの死で終わりを迎え、その後はオスロを活動の拠点として音楽院副院長や指揮者としての活動を行う。
 このオスロ時代に、声楽家のニーナと結婚、またピアノ協奏曲などの作品がリストから賞賛され作曲家としての自信も深めていく。
 1873年、オスロを離れた後も、外国への演奏旅行がしばしば行われて国際的な名声は高まっていく。しかし、生来病弱だった彼は、この頃から体調を崩すことが多くなり、夏はベルゲンの奥地にあるフィヨルド沿いに小屋を建てて作曲活動を行うようになる。
 1885年にはベルゲンの校外に永住のための家を建て移り住み、98年にはベルゲンで音楽祭を行い(今日のベルゲン音楽祭の前身)その中心的な人物として活躍するも、体調はますます悪化していく。
 そして、1905年にはほとんどが病院での生活なり、1907年9月4日にベルゲンの病院で生涯を閉じる。

ユング君の一言


グリーグは専門家筋からはあまり高く評価されない人です。その辺はほぼ同じ時代を生きたリムスキー・コルサコフ(1844〜1908)などともよく似ています。
「いつまでもシェエラザードでもないだろう」と言われるとよく似て、「いつまでもグリーグのピアノ協奏曲でもばいだろう」と言うわけです。つまり、華やかで耳あたりはいいのだが、どうも中味的に今ひとつの感があるという訳なのでしょう。ユング君も、このような言い方はそれほど不当なものだとは思いませんが、たまに彼の作品を聞くとやはり気分がいいのも事実です。

 グリーグと言えば、このピアノ協奏曲とペール・ギュント(それも組曲の方)がダントツで有名ですが、その次となるととたんに詰まってしまいます。
 ピアノ協奏曲は、第1楽章の出だしの部分を聴けば、それがグリーグのピアノ協奏曲だと知らない人でも、「あぁ、あの曲か!」とピントくるほどポピュラーです。ペール・ギュントも、その全曲を聴いた人はほとんどいないでしょうが、「朝」は小学校の音楽の鑑賞曲にもなっていただけにほとんどの人が知っているメロディーです。しかし、それ以外のグリーグの作品となるとすぐに思い出すのは困難です。

 また、北欧の音楽家という看板も、後にシベリウスが現れると何となく影が薄くなります。
 どこか中途半端なところが否定しきれないのがグリーグという人です。
 しかし、近年になって彼の膨大なピアノ曲が録音され、また歌曲集なども活発に取り上げられるようになってきましたおかげで、ペール・ギュントとピアノ協奏曲だけの人でない、グリーグの全貌が少しずつ一般の人にも明らかになってきました。もしかしたら、そのような動きのなかで彼への評価もいくらかは変わってくるのかもしれません。

 しかし、そのような新しい動きにあまり敏感に反応し切れていないユング君には、これ以上何も言う資格がありません。
 現代音楽が全く不調ななかでそれなりに元気さを保っているのが北欧圏です。そう言う北欧圏での活発な動きのなかで、シベリウス以降の多くの作曲家に光が当てられ、その流れのなかでグリーグやニールセンなどの有名ではあっても「限定的な評価」しかされてこなかった人々をもう一度全面的に見なそうという動きがあるようです。
 しかし、そのような動きの持つ幅の広さと厚みにユング君自身がたじろいでしまっているのも事実で、今は意識的に回避しているようなところがあります。
 でも、いつまでも逃げているわけにもいかず、どこかで腹をくくって踏み込まなくっちゃいけないんだろうな、と思いつつも入り口でぐずぐずしているのが今のユング君ですから、言えるのはここまでです。

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