クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|ヴィトルト・マウツジンスキ(Witold Malcuzynski)|リスト:ピアノ協奏曲第2番イ長調 S.125

リスト:ピアノ協奏曲第2番イ長調 S.125

(P)ヴィトルト・マウツジンスキ:ワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1959年3月2日&4日録音



Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125


ある意味ではリストが求めたものがもっともはっきりと具現化された作品

19世紀においてはピアノの王者としてヨーロッパに君臨したリストですが、その評価は下がる一方であり、現在では「ラ・カンパネラ」とか「愛の夢」のようなごく限られたピアノ曲しかレパートリーにあがらなくなってしまいました。

ただし、この傾向は今に始まったことではなくて、20世紀に入った頃にはすでに演奏される作品の範囲は限られたものとなっていたようです。
そのことは、一部の方からリストに対するリクエストをいただいて、何かいい音源はないものかと探してみて、あまりの数の少なさに驚かされたことからも、その不人気ぶりを確認することができました。

このピアノ協奏曲の第2番も今ではほとんど演奏される機会のないマイナーな作品となっています。

第1番に関してはそれでもときおりレパートリーにあがることもあるのですが、この2番に関しては1番のカップリングとして埋め合わせ的に収録されるような風情は否定し切れません。

しかし、あのバルトークがリストを高く評価していたことはあまり知られていない事実です。
砂糖菓子のようにひたすら甘くてロマンティックなピアノ音楽ばかりを書いたと思われがちなリストですが、バルトークはその中にドビュッシーや新ウィーン学派の音楽につながるような先見性を見つけていたようです。

今後、リストに対する再評価が進むのかどうかは分かりませんが、今のような「ラ・カンパネラ」とか「愛の夢」だけの作曲家みたいな認識のされ方はいささかひどすぎるかもしれません。

この第2番とナンバーリングされたピアノ協奏曲は1839年に創作をされているのですが、その後何度も補筆が加えられ、1848年には「交響的協奏曲」という名称を与えられています。
たしかに、単一楽章で構成されたこの作品はピアノ付きの交響詩という雰囲気をもっています。

その後も、この作品は楽譜として出版される1863年まで、事あるごとにリストが手を加えつづけたようで、ある意味ではリストが求めたものがもっともはっきりと具現化された作品だといえます。
それぞれに好みはあるでしょうが、完成度という点では第1番の協奏曲よりも頭一つ抜けているのではないでしょうか。


  1. 第1楽章:Adagio sostenuto assai - Allegro agitato assai - Un poco piu mosso - Tempo del andante -

  2. 第2楽章:Allegro moderato -

  3. 第3楽章:Allegro deciso - Marziale un poco meno allegro - Un poco animato - Un poco meno mosso -

  4. 第4楽章:Allegro animato




響きの美しさを決して失わない

前回紹介したブラームスの協奏曲と同じく、1953年の録音であり、共演しているオーケストラはロンドン響です。
ブラームスの時は指揮者のリーガーが結構泥臭くオケを鳴らしていたので、マウツジンスキも結構それに対抗してピアノをガンガン鳴らしていました。しかし、今回の指揮者はまさに伴奏の名手とも言うべき(これが誉め言葉になるのかどうかは分かりませんが)ワルター・ジュスキントなので、ここではそれほどの無理はしていません。

そして、気づかされるのは、やはりマウツジンスキはヨーロッパのピアニストであり、同じヴィルトゥオーゾ・スタイルのピアニストであってもホロヴィッツやカペルなどのようなアメリカンスタイルとは本質的に違うと言うことです。
ホロヴィッツの特長はピアノを思いっきり叩いていわゆる下部雑音も含めて豪快な音楽を聞かせることでした。しかしここでもマウツジンスキはそう言う豪快さでではなくて、響きの美しさを決して失わないようにしています。そういえば、ニキタ・マガロフも「ピアノを叩くのではなく音をすくい上げる」と語っていました。

そして、誰が言い出したのかは知りませんが「鍵盤の獅子王」などと言われたバックハウスのピアノもまた、その響きは「獅子王」という言葉から受けるイメージとは異なって、実に美しいものでした。
つまりは、ヨーロッパのピアニストは、ヴィルトゥオーゾ・スタイルと言われても、響きの美しさを犠牲にすることはなかったのです。

そして、このリストの協奏曲を聞けば、マウツジンスキもまたそう言うヨーロッパの正統的なスタイルの継承者であったことを教えられます。もっとも、これより時代が下がるにつれてヨーロッパの若手ピアニストたちもまたガンガン叩きはじめるので、そうなってみるとこういう演奏はとても貴重なもののように思えるのです。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



4536 Rating: 4.6/10 (75 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください。
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-09-26]

モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」{エクスルターテ・ユビラーテ), K.165(Mozart:Exsultate, Jubilate, K.165/K.158A)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1947年5月26日,28日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(con)Walter Susskind Philharmonia Orchestra Recorded on May 26,28, 1947)

[2026-09-24]

マラン・マレー:組曲第4番 ニ長調(Marin Marais:Suite No. 4 In D Major)
アウグスト・ヴェンツィンガー:(Vdg)ハンネロレ・ミュラー (harpsichord)フリッツ・ノイマイヤー 1956年4月4日~5日録音(August Wenzinger:(Vdg)Hannelore Mulle (harpsichord)Fritz Neumeyer Recorded on April 4-5, 1956)

[2026-09-22]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068(J.S.Bach:Orchestral Suite No.3 in D major, BWV 1068)
クルト・レーデル指揮:(Fl)クルト・レーデル ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:(Fl)Kurt Redel The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)

[2026-09-20]

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調, Op.92(Beethoven:Symphony No.7 in A major, Op.92)
エーリッヒ・クライバー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1950年5月録音(Erich Kleiber:Royal Concertgebouw Orchestrar Recorded on May, 1950)

[2026-09-18]

ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 作品55 「英雄」(Beethoven:Symphony No.3 in E flat major , Op.55 "Eroica")
エーリッヒ・クライバー指揮 ウィーン・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Erich Kleiber:Vienna Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2026-09-16]

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 「海の嵐」Op. 8, No. 5, RV 253(Vivald:Violin Concerto in E-Flat Major, Op. 8, No. 5, RV 253, "La tempesta di mare")
(Vn)フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団 1961年9月20日~28日録音(Felix Ayo:Musici, I Recorded on September 20-28, 1961)

[2026-09-13]

アルビノーニ:ソナタ イ長調(Albinoni:Sonata In A Major, Op. 2, No. 3)
レナート・ファッサーノ指揮:ローマ合奏団 1958年発行(Renato Fasano:Virtuosi Di Roma Published in 1958)

[2026-09-11]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV1067(J.S.Bach:Orchestral Suite No.2 in B minor, BWV 1067)
クルト・レーデル指揮:(Fl)クルト・レーデル ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:(Fl)Kurt Redel The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)

[2026-09-08]

サンティーノ・ガルシ:リュート曲集(Santino Garsi:Pieces For Lute)
(Lute)ヴァルター・ゲルヴィッヒ:1953年4月7日~8日録音(Walter Gerwig:Recorded on April 7-8, 1953)

[2026-09-06]

オーランド・ギボンズ:幻想曲(Gibbons:Fantasies)
スコラ・カントゥルム・バジリエンシス・ヴィオール属合奏団:1954年4月29日~5月3日録音(Gambenconsortder Schola Cantorum Basiliensis:Recorded on April 29-May 3,1954)