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ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1961年3月15日録音

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [1.Allegro con brio]

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [2.Adagio]

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [3.Allegretto grazioso ? Molto Vivace]

Dvorak:Symphony No.8 in G major, Op.88 (B.163) [4.Allegro ma non troppo]




一度聞けば絶対に忘れないほどの美しいメロディーです

メロディーメーカーと言われるドヴォルザークですが、ここで聞くことのできるメロディーの美しさは出色です。
おそらく一度聞けば、絶対に忘れることのできない素晴らしいメロディーです。

私がこのメロディーに初めてであったのは、車を運転しているときでした。
いつものようにNHKのFM放送を聞きながら車を走らせていました。おそらく何かのライヴ録音だったと思います。

第2楽章が終わり、お決まりのように観客席の咳払いやざわめきが少し静まったころを見計らって、第3楽章の冒頭のメロディーが流れはじめました。
その瞬間、ラジオから流れる貧弱な音でしたが耳が釘付けになりました。

それは、今まで聞いたことがない、この上もなく美しくメランコリックなメロディーでした。
その頃は、クラシック音楽などと言うものを聞き始めて間もない頃で、次々と新しい音楽に出会い、その素晴らしさに心を奪われると言う本当に素晴らしい時期でした。
そんな中にあっても、この出会いは格別でした。

実は、車を運転しながら何気なく聞いていたので、流れている音楽の曲名すら意識していなかったのです。
第4楽章が終わり、盛大な拍手が次第にフェイドアウトしていき、その後アナウンサーが「ドヴォルザーク作曲、交響曲第8番」と読み上げてくれて初めて曲名が分かったような次第です。

翌日、すぐにレコード屋さんにとんでいったのですが、田舎の小さなお店ですから、「えぇ、ドヴォルザークって9番じゃなかったですか?」等とあほみたいな事を言われたのが今も記憶に残っています。
クラシック音楽を聴き始めた頃の、幸せな「黄金の時代」の思い出です。

ミュンシュの持ち味はガツーンと鳴らす部分にあるのでドヴォルザークのような音楽は不向きかもしれません


ミュンシュのドヴォルザークというのは非常に珍しいです。序曲のような小品まではチェックしていませんが、基本的にはこの第8番の交響曲とピアティゴルスキーをソリストにむかえたチェロ協奏曲くらいしか録音をしていないのではないでしょうか。
そして、そのチェロ協奏曲はそれなりに名演という評価が高いのですが、私はあまり好きにはなれない演奏でした。

ピアティゴルスキーと言う人はどちらかと言えば「大人の音楽」をやりたい人であるのに対して、ミュンシュの方はあまりそう言うソリストの意向を忖度することなくシンフォニックに煽り立てています。

ミュンシュはオケが主役になる部分にくると、実に嬉しそうにガツーンと鳴らしていまうのですが、そう言うのを聞くと、ミュンシュという人は、年を取ってもそう言う子どもみたいな無邪気さを失わなかった人なんだなと感心させられます。
そして、結果としてその協奏曲の演奏は大人と子どもの組み合わせみたいなドヴォルザークになっていて、それが意外なほどに面白いと感じる部分もあるのですが、どこかミスマッチな感じが拭いきれない部分もあったりするのです。

おそらく、ミュンシュの持ち味は、この「ガツーンと鳴らしてしまう」部分にあるのでしょう。
ですから、どう考えてもドヴォルザークのような音楽は不向きなのかもしれません。

しかし、同じように不向きと思えるシューベルトにおいて「ここまでやるか」と言うほど剛直に鳴らしきって、他のどこでも聞けないような「グレイト」を作ってくれたので、それと同じようなドヴォルザークを期待したのですが、残念ながら、不完全燃焼で終わってしまったようです。

冒頭の部分は驚くほど叙情的に出始めるので、一瞬方向性を変えたのかなと思うのですが、すぐにオケをガツーンと鳴らして縦割りの雰囲気が出てきます。
「オー、さすがはミュンシュだ!」と思うのですが、しばらくするとドヴォルザークの音楽の持つ旋律線に足を絡め取られてしまうのか、また音楽は大人しく横へ流れ出します。

それはドヴォルザークなのですから、それはそれで全く問題はないのですが、へそ曲がりの聞き手は最初からそう言う「常識的」なドヴォルザークを期待していないので、いささか物足りなく思ってしまうのです。

例えば、一番の聞かせどころである第3楽章のあの美しい旋律も燃焼度高く描ききっているので、それはそれで何の不満もないのです。
しかし、いつものミュンシュのようにザクザクと楔を打ち込むような縦割り構造でこの部分を演奏すればどんな感じの音楽になるのか、一度は聞いてみたかったと贅沢な思いが頭をよぎるのです。

ですから、結論から言えば、通常の指揮者よりは燃焼度の高い真っ当な演奏だと言えるのでしょうが、それならば何もミュンシュでなくてもいいという話にもなってしまうのです。

と言うことで、ミュンシュにとって自分の持ち味を存分に発揮するには、ドヴォルザークの音楽はそれほど相性のいい音楽ではなかったようです。

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2017-10-25:Joshua


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