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オーマンディ |ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」より「秋」
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」より「秋」
オーマンディ指揮 (Vn)アンシェル・ブラッシロウ フィラデルフィア管弦楽団のメンバー 1960年録音 Vivaldi:Concerto for Violin,Strings and Continuo RV293 "The Four Seasons - Autumn" [1st movement]
Vivaldi:Concerto for Violin,Strings and Continuo RV293 "The Four Seasons - Autumn" [2nd movement]
Vivaldi:Concerto for Violin,Strings and Continuo RV293 "The Four Seasons - Autumn" [3rd movement]
「四季」と言った方が通りがいいですね(^^;
ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」と言うよりは、「四季」と言った方がはるかに通りがいいですね。
ただヴィヴァルディは12曲からなる協奏曲集として作品をまとめており、その中に「春」「夏」「秋」「冬」という表題がつけられている4曲が存在するわけです。
それにしてもこの4曲をセットにして「四季」と名付けられた作品のポピュラリティには驚くべきものがあります。特に、「春」の第1楽章のメロディは誰もが知っています。
まさに四季といえばヴィヴァルディであり、ヴィヴァルディといえば四季です。
そして、その功績は何と言ってもイ・ムジチ合奏団によるものです。
ある一つの作品が、これほど一人の作曲家、一つの演奏団体に結びつけられている例は他には思い当たりません。(試しに、ヴィヴァルディの作品を四季以外に一つあげてください。あげられる人はほとんどいないはずです。)
そのような有名作品の中でが一番好きなのが「冬」です。
それは明らかに北イタリアの冬です。ローマやナポリの冬ではありませんし、ましてや絶対にドイツの冬ではありません。
ヴィヴァルディが生まれ育ったヴェネチアは北イタリアに位置します。その冬は、冬と言っても陽光のふりそそぐ南イタリアと比べればはるかに厳しいものですが、ドイツの冬と比べればはるかに人間的です。
厳しく、凛としたものを感じさせてくれながらも、その中に人間的な甘さも感じさせてくれるそんな冬の情景です。
四季といえば「春」と思いこんでいる人も、少しは他の季節にも手を伸ばしてくれればと思います。(^^
なお、「四季」と呼ばれる4曲には以下のようなソネットがそえられています。
協奏曲第1番ホ長調、RV.269「春」
アレグロ
春がやってきた、小鳥は喜び囀りながら戻って来て祝っている、水の流れと風に吹かれて雷が響く。小川のざわめき、風が優しく撫でる。春を告げる雷が轟音を立て黒い雲が空を覆う、そして嵐は去り小鳥は素晴らしい声で歌う。鳥の声をソロヴァイオリンが高らかにそして華やかにうたいあげる。みな、和やかに
ラルゴ
牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉はガサガサ音を立てる。ヤギ飼は眠り、忠実な猟犬は(私の)そばにいる。弦楽器の静かな旋律にソロヴァイオリンがのどかなメロディを奏でる。ヴィオラの低いCis音が吠える犬を表現している。
アレグロ(田園曲のダンス)
陽気な田舎のバグパイプがニンフと羊飼いを明るい春の空で踊る。
協奏曲第2番ト短調、RV.315「夏」
アレグロ・ノン・モルト?アレグロ
かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と家畜の群れはぐったりしている。松の木は枯れた。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトとスズメの囀りが聞える。柔らかい風が空でかき回される。しかし、荒れた北風がそれらを突然脇へ追い払う。乱暴な嵐とつんのめるかも知れない怖さで慄く。原譜には「暑さで疲れたように弾く」と指示がある。ヴァイオリンの一瞬一瞬の“間”に続いての絶え間ない音の連続が荒れる嵐を表現している。
アレグロ・プレスト・アダージョ
彼の手足は稲妻と雷鳴の轟きで目を覚まし、ブヨやハエが周りにすさまじくブンブン音を立てる。それは甲高い音でソロヴァイオリンによって奏でられる。
プレスト(夏の嵐)
嗚呼、彼の心配は現実となってしまった。上空の雷鳴と巨大な雹(ひょう)が誇らしげに伸びている穀物を打ち倒した。
協奏曲第3番ヘ長調、RV.293「秋」
アレグロ(小作農のダンスと歌)
小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。
アダージョ・モルト(よっぱらいの居眠り)
大騒ぎは次第に弱まり、冷たいそよ風が心地良い空気を運んで来てすべての者を無意識のうちに眠りに誘う。チェンバロのアルペジオに支えられてソロヴァイオリンは眠くなるような長音を弾く。
アレグロ(狩り)
夜明けに、狩猟者が狩猟の準備の為にホルンを携え、犬を伴って叫んで現れる。獲物は彼らが追跡している間逃げる。やがて傷つき獲物は犬と奮闘して息絶える。
協奏曲第4番ヘ短調、RV.297「冬 」
アレグロ・ノン・モルト
身震いして真ん中で凍えている。噛み付くような雪。足の冷たさを振り解くために歩き回る。辛さから歯が鳴る。ソロヴァイオリンの重音で歯のガチガチを表現している。
ラルゴ
外は大雨が降っている、中で暖炉で満足そうに休息。ゆっくりしたテンポで平和な時間が流れる。
アレグロ
私たちは、ゆっくりとそして用心深くつまづいて倒れないようにして氷の上を歩く。ソロヴァイオリンは弓を長く使ってここの旋律を弾きゆっくりとそして静かな旋律に続く。しかし突然、滑って氷に叩きつけられた。氷が裂けて割れない様、そこから逃げた。私たちは、粗末な家なのでかんぬきでドアを閉めていても北風で寒く感じる。そんな冬であるがそれもまた、楽しい。
驀進する弦楽器群
いやはや、この顔ぶれから期待されるものを遙かに凌駕する演奏を聴かせてくれました。
これぞまさしく、ピリオド演奏という悪霊を退散させるための「護符」のような演奏です。
もしも私のように、ピリオド演奏がどうしても好きになれない、いやもっと積極的に嫌いだ!!という人がいれば、是非とも手もとに置いて大切にしてほしい演奏です。(^^v
「オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団のメンバー」と言うだけでワクワクします。あのピリオドオケ特有の青白い病気のような響きではなくて、薔薇色の頬を持った響きが想像されるではないですか!
独奏ヴァイオリンは「Anshel Brusilow」とクレジットされています。
そんなヴァイオリニストは聴いたことがありません。しかし、演奏を聴いてみて、その雰囲気からピンときました!
きっと、フィラデルフィア管弦楽団のコン・マスだ!!
調べてみたら、まさにビンゴでした。
「Anshel Brusilow」は「アンシェル・ブラッシロウ」と読むようです。
詳しい経歴は
こちら にあります。
1955年から59年にかけて、ジョージ・セルのもとで「associate concertmaster」をつとめていたんですね。その後、59年から66年までフィラデルフィアの「concertmaster」をつとめたようです。
その時に、オーマンディ指揮の下でソリストを務めた録音として「Vivaldi's Four Seasons, Rimsky-Korsakov's Scheherazade, and Strauss' Ein Heldenleben.」と列挙されています。
ですから、彼にとってはこの「四季」の録音は大切なものだったのでしょう。
しかし、実際に聴いてみると、ソリストが身内だという気安さがあるのか、弦楽器群が凄いことになっています。ソリストのことなんか殆ど気にしないで好き勝手に力の限り弾いています。
低弦楽器がこれほど分厚く響くバロック音楽というのは他に聴いたことがありません。
そして、そのベースに支えられて、弦楽オーケストラがまさに地響きがするように驀進していきます。
独奏ヴァイオリンは爆走する弦楽オーケストラに負けないように、必死でその合間からが抜け出そうともがいています。
聴いていると、ちょっとアンシェルが可哀想な気がするのですが、本人はフィラデルフィアのコンマス時代の記憶に残る演奏の一つとして己の「BIOGRAPHY」に記しているのですから、これはこれで結構楽しんでいたのかもしれません。
それにしても、この時代のフィラデルフィアは凄いです。バロックのスコアから、まるでアッピア街道を驀進していくレスピーギの影が見えたような気がするのですから・・・。
最初はもっと大まかで緩い演奏をイメージしたのですが、全く真逆の演奏でした。
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