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バターワース:管弦楽のための狂詩曲「シュロップシャーの若者」(Butterworth:A Shropshire Lad)

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1956年6月20日録音(Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on June 20, 1956)

Butterworth:A Shropshire Lad


イギリスの牧歌的な風景を描いた寡作の作曲家

バターワースは、第一次世界大戦のソンムの戦いで31歳という若さで戦死した悲劇の作曲家です。短い生涯ながら、イギリスの牧歌的な風景や民謡を深く感じさせる作品を残しました。
歌手であった母から幼くして音楽の手ほどきを受けるのですが、父親の意向で弁護士となるべくイートン・カレッジに通わされ、さらにオックスフォード大学トリニティ・カレッジに進みました。

しかし、音楽への情熱は捨てきれず、民謡蒐集家のセシル・シャープや、民謡を熱愛する作曲家のヴォーン・ウィリアムズとの出逢いにより音楽に打ち込むようになります。
ヴォーン・ウィリアムズとはたびたびイングランドの田園地帯に民謡の採譜に出かけ、2人の作風はその時に出会った民謡に強く影響されるようになっていきました。

ちなみに、ヴォーン・ウィリアムズが作曲中の交響詩を「ロンドン交響曲」へと発展させようと提案したのがバターワースであり、作品のスケッチをまとめるのにも手を貸しています。

バターワースはもともとが寡作の作曲家だったのですが、気に入らない作品は出征に際して焼却処分したと伝えられているので、実に数少ない作品しか残っていません。
そうして残った数少ない作品の一つが「シュロップシャーの若者」です。
詩人A.E.ハウスマンの同名詩集に基づいた連作歌曲と、それを基にした管弦楽曲の2つの異なる作品を指します。

歌曲集は、バリトン独唱とピアノ(または管弦楽)で演奏されます。有名なのはそのうちの6曲なので、通常は「シュロップシャーの若者からの6つの歌」として演奏されます。

管弦楽のための狂詩曲「シュロップシャーの若者」は歌曲集の翌年に作曲され、歌曲集の主題を基盤とした作品です。
イギリスの田園風景を思わせる牧歌的なスタイルと繊細なオーケストレーションが特徴で、第一次世界大戦で失われた若者たちへの挽歌としても解釈されています。
現在でも頻繁に演奏されるバターワースの代表作です。


イギリスの指揮者の面白さ

生粋のイギリス人指揮者というのは、なんだかイギリスの作曲家の作品を演奏し録音する事が一つの義務になっているように見えてしまいます。
なかにはビーチャムとディーリアスとか、ボールトとヴォーン・ウィリアムズのように、分かちがたく結びついているような組み合わせもあります。
そして、イタリア系のイギリス人であったバルビローリにもそのことが言いえて、実に幅広くイギリスの作曲の作品を録音しています。とりわけエルガーの作品には強い愛着があったようで、同じ作品を何度も繰り返して録音をしています。

考えてみれば、イギリスは長く音楽の消費国でした。おそらく17世紀のパーセル以降、世界的に知られるような作曲家は長くあられませんでした。その空白は20世紀近くなってエルガーが表舞台に登場するまで続いたと言ってもいいでしょう。
もちろん、その間にヘンデルやハイドンもロンドンで活躍したのですが、彼らをイギリスの作曲家と呼ぶのはふさわしくないでしょう。

そして、エルガーが登場してから、ディーリアスやボーン・ウィリアムズ、ホルストなどが登場するのですが、やはり今一つマイナーです。その後登場したブリテンにしても「イギリス20世紀音楽の父」といわれたのですから、やはりどこか狭い範囲にとどまっています。
しかし、そういう音楽家の作品が私たちの耳に数多く届いているのは、ひとえにイギリスの偉大な指揮者たちが彼らを積極的にコンサートで取り上げ、録音し続けてくれたからでしょう。
そして、彼らのも白いところは、イギリスの指揮者が取り上げなくても大陸側の指揮者が取り上げてくれるような作品、典型はホルストの「惑星」でしょうが、そういう作品には熱心でないことです。
実にへそ曲がり!!

バルビローリにしても、熱心に取り上げたエルガーの録音を眺めてみれば、名刺代わりとも言うべき「威風堂々」などはおそらく一回だけしか録音していないはずです。
逆に、長大な二つの交響曲などは何度か録音していているのですから、ビジネス的には極めてアンバランスと言わねばなりません。

そして、イギリス以外では本当に認知度の低い作曲家はどんどん取り上げてるのです。恥ずかしながら、ジョージ・バターワース(George Butterworth)、アーノルド・バックス(Arnold Bax)、エドワード・ジャーマン(Edward German)あたりの作品は、今回バルビローリの録音を整理していて初めて知りました。

この妙な「祖国愛」みたいなものがイギリスの指揮者の面白さでしょうか。
しかし、その音楽的献身ゆえにグラモフォン誌が世紀末に行ったアンケートでも、20世紀の最も偉大な指揮者としてフルトヴェングラーに続いて堂々の2位に食い込んだのかもしれません。

そう考えれば、日本のオーケストラや指揮者はもう少し日本の作曲家の作品に理解があってもいいのではないかと思われます。

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