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バックハウス|ベートーベン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 作品27の2
ベートーベン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 作品27の2
(P)バックハウス 1958年録音
Beethoven:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 作品27の2 「第1楽章」
Beethoven:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 作品27の2 「第2楽章」
Beethoven:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 作品27の2 「第3楽章」
おそらくはもっとも有名なピアノ曲の一つでしょうね。

幻想曲風ソナタと題したのはベートーベン自身であり、そこからはっきりと彼がこの作品にあたえようとした音楽的な方向性を見て取ることができます。
当時のベートーベンはこのピアノソナタという形式を使って様々なチャレンジを繰り返していましたが、これもまたそのようなチャレンジの一つであることは明らかです。
とりわけ作品1の方はソナタと言いながら一つもソナタ楽章を持たない作品で、どちらかと言えば即興曲のような雰囲気を持っています。またスコアを見てみると終結の縦線がないことから全曲が通して演奏されることを想定していたとも言えます。
その意味でも、この二つの作品が「二つの幻想ソナタ」ではなくて「幻想風ソナタ」となっていることも納得がいきます。
なお、あまりにも有名な月光ソナタですが、このネーミングはベートーベンが与えた物ではありません。後世ににとある詩人がこの作品の第1楽章を評して「ルツェルン湖の月光の波にゆらぐ小舟のようだ」と語ったことに由来します。
第1楽章
アダージョ・ソステヌート 嬰ハ短調 2分の2拍子 三部形式
第2楽章
アレグレット 変ニ長調 4分の3拍子 三部形式
第3楽章
プレスト・アジタート 嬰ハ短調 4分の4拍子 ソナタ形式
私の友人はこの楽章を評して「月を見て狂った」と言いました。言い得て妙です。
評価の分かれる演奏
随分と評価の割れるバックハウス二度目のソナタ全集です。
私自身も、以前にモノラルによる旧全集をアップしたときにこんな事を書いていました。
「面白いのが、音質的には劣るモノラル録音の方がステレオ録音よりも高く値段が設定されていることです。・・・こういう古い録音は最終的には需要と供給の関係で決まるようですから、多くの人が音質的には劣ることは分かっているのにモノラル録音を求めることをこの事実は示しています。
理由はいうまでもありません、演奏そのものが圧倒的にモノラル録音の方が優れているからです。」
この評価は、今も私のなかでは変わっていません。
ですから、このステレオ録音による新全集もアップしようかどうかいささか悩みました。(初期に録音したものはパブリックドメインの仲間入りをしはじめました。)
しかし、世間的には、今もってこのステレオ録音はベートーベン演奏の一つのスタンダードとして位置づけられているのですから、その評価は多くの聞き手にゆだねるべきだろうと思って、アップすることにしました。
私がこのステレオ録音に不満を感じるのは、モノラルの時代にはみなぎっていた「覇気」が、ここでは随分おとなしくなってしまっていることです。
もちろん、悪い演奏ではないと思います。
なかには、絶対的権威への反発からかこの演奏をぼろくそに貶す人がいますし、その事をもって己の見る目の高さを誇る向きもあります。しかし、そこまで言われるほどに「酷い演奏」ではないと思います。
しかし、ベートーベン演奏の絶対的権威とも言うべき演奏なのかと言われれば、それもまた首をかしげざるを得ません。
つまりは、数ある優れたベートーベン演奏の一つ、としてあるがままに受け入れればいいのではないかと思います。
確かに、この一連の演奏を聴いて随分とぞんざいな弾き方だと思う人もいるでしょう。逆に、私が「覇気」が乏しいと批判しても「淡々と流れ行く音楽のエネルギーの底に、何か静かな瞑想的な静けさを感じます。」という人もいるでしょう。
さらに言えば、「モノラルの録音なんか聞いていられるか、聞くならステレオでしょう!」という方もおられるでしょう。
ただ、やはりバックハウスほどの人でも年を取れば衰えるんだな、という全く当たり前のことを感じつつ、心静かに聞くことの出来る年寄りには相応しい音楽なのかもしれません。
私も、そう言う年になってしまいました。
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よせられたコメント
2012-11-25:マオ
- 「月光」という呼び名が先入観になってしまって、音楽的に真正面から評価できていませんでしたが、バックハウスの演奏を聴くとロマン性ももつ古典的ソナタの傑作であることが分かります。ほかのソナタより自由で幻想曲風ですが、ベートーヴェンらしい堅実な曲想も基調にあり、そこをバランスよく表現している演奏に感心します。決してかたぐるしくなく、感傷的にならない前で、自然な自発性のようなものを感じる演奏で繰り返し聴いても新鮮さがあります。20世紀半ばを代表する名演奏と呼んでいいと思います。