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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26

(vn)クリスチャン・フェラス ワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1958年7月25日録音

Bruch:Violin Concerto No.1 in G minor, Op.26 [1.Vorspiel: Allegro moderato]

Bruch:Violin Concerto No.1 in G minor, Op.26 [2.Adagio]

Bruch:Violin Concerto No.1 in G minor, Op.26 [3.Finale: Allegro energico]


ブルッフについて

今日ではヴァイオリン協奏曲とスコットランド幻想曲、そしてコル・ニドライぐらいしか演奏される機会のない人です。ただし、ヴァイオリニストにとってはこの協奏曲はある種の思い入れのある作品のようです。
と言うのは、ヴァイオリンのレッスンをはじめると必ずと言っていいほど取り上げるのがこの協奏曲であり、発表会などでは一度は演奏した経験を持っているからだそうです。ただし、プロのコンサートで演奏される機会は決して多くはありません。
しかし、ロマン派の協奏曲らしくメランコリックでありながら結構ゴージャスな雰囲気もただよい、メンデルスゾーンの協奏曲と比べてもそれほど遜色はないように思います。

第1楽章

序奏に続いて独奏ヴァイオリンの自由なカデンツァが始まるのですが、最低音Gから一気に駆け上がっていくので聴き応え満点、けれん味たっぷりのオープニングです。力強い第一主題と優美な第二主題が展開されながら音楽は進んでいき、いわゆる再現部にはいるところでそれは省略して経過的なフレーズで静かに第2楽章に入っていくという構成になっています。(・・・と、思います^^;)

第2楽章

ここが一番魅力的な楽章でしょう。主に3つの美しいメロディが組み合わされて音楽は展開していきます。息の長い優美なフレーズにいつまでも浸っていたいと思わせるような音楽です。

第3楽章

序奏に続いて,独奏ヴァイオリンが勇壮なメロディを聞かせてくれてこの楽章はスタートします。。前の楽章の対照的な出だしを持ってくるのは定番、そして、展開部・再現部と続いてプレストのコーダで壮麗に終わるというおきまりのエンディングですが良くできています。


聞いていて、十分楽しめる演奏

フェラスは58年の7月に二つのコンチェルトを続けて録音しています。


  1. ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26(58年7月25日録音)

  2. ラロ:スペイン交響曲 ニ短調 作品21(58年7月26日録音)



伴奏はワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団です。ジュスキントと言えば、この時代を代表する「便利な伴奏指揮者(^^;」というイメージが強いのですが、この録音でも、「取りあえずやるべき事はきちんとやってるからね」的な雰囲気が強いです。
ただし、その経歴を調べてみると、「ドイツ音楽アカデミーではセルに指揮を教わっている。1931年にピアニストとしてデビューしたが、1934年にはプラハ・ドイツ歌劇場でセルのアシスタントとして指揮者のキャリアを開始することになった。」と記されています。

ですから、その「やるべき事はやっている」というのは、音楽をきちんと縦割りにして一分の狂いもなく額縁の枠を作っている、と言う類のものです。そこには、独奏者の音楽に反応しながらしなやかに音楽を作っていくという気持ちはあまりないようですし、ましてやソリストと一つ勝負してやろうというような気は全くないように聞こえます。

ただし、ソリストがその持ち味を発揮する舞台だけはきちんと作らせていただきます・・・と言うスタンスです。
ですから、フェラスの方は最初は「やりにくさ」みたいなものを感じたのか妙に行儀がよくて、聴き始めは「あれ?」という感じがするのですが、音楽が進むにつれてそういうジュスキントの方向性を感じとったのか、そのしつらえた舞台の上で自由に振る舞いはじめます。そして、この「あれ?」感は、先に録音したブルッフの方が強いです。

確かに、これがブラームスやベートーベンのようなコンチェルトならば、オケにも頑張ってもらわないと独奏者だけではどうにもならない面があるのですが、ブルッフやラロのコンチェルトならばこういう演奏も十分に有りだなとは思います。
どちらも、いわゆる名演・名盤の類には入らないでしょうが、20代のフェラスの魅力が(ふりまく美音^^v)が十分楽しめる演奏だとは思います。

この演奏を評価してください。

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