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ベートーベン:ピアノソナタ第4番

(P)バックハウス 1953年11月録音



Beethoven:ピアノソナタ第4番 「第1楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第4番 「第2楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第4番 「第3楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第4番 「第4楽章」


愛する女 ”Die Verliebte”

 若きベートーベンの意気込みがつたわってくるような作品です。作品2の3つのピアノソナタと比べると明らかに規模の大きな作品であり、内容的にも深みを増しています。とりわけ第2楽章のラルゴは、響きの面でも情緒の面でもより充実したものとなっています。

 ベートーベンの初期のピアノソナタはあまり聞かれることの少ない作品ですが、聞いていて一番面白いのは緩徐楽章です。ユング君はどこかで”ベートーベンの緩徐楽章は美しい!”と書きました。順を追って、これら一連の初期ソナタを聞いていくと、その美しい緩徐楽章がより美しく、深みをましていく様子が手に取るように分かります。
 この第4番のソナタの第2楽章、”ラルゴ コン・グラン・エスプレッシオーネ”を聞くと、作品2のソナタより一段とグレードがアップしているのがはっきりと感じ取れます。そしてシュナーベルの演奏で聞くと、こういう緩徐楽章からこぼれてくる歌心が何とも言えず魅力的です。

 なお、「愛する女」というのは、このソナタの発表当時につけられたニックネームみたいなものです。全体に漂う優雅な雰囲気からその様な呼び方をされたのでしょう。

第1楽章
 アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオ 変ホ長調 8分の6拍子 ソナタ形式
第2楽章
 ラルゴ コン・グラン・エスプレッシオーネ ハ長調 4分の3拍子 3部形式
第3楽章
 アレグロ 変ホ長調 4分の3拍子 
第4楽章
 ポーコ・アレグレット・エ・グラッティオーソ 変ホ長調 4分の2拍子 ロンド

*第3楽章はメヌエットともスケルツォとも記されていません。曲想がどちらともつかないために、ベートーベン自身もあえて明記しなかったものと思われます。


バックハウス全盛期の演奏

バックハウスはモノラルの時代とステレオの時代にそれぞれ全集を録音しています。(ただし、29番「ハンマークラヴィーア」のみはステレオでの再録音がされなかったのでモノラル時代の録音が流用されています)
以前は随分と高価なボックスだったように記憶しているのですが、最近はどのような仕掛けがあるのか分かりませんが、イタリア・ユニーバーサルからかなり安価な値段で供給されるようになりました。

ところが、面白いのが、音質的には劣るモノラル録音の方がステレオ録音よりも高く値段が設定されていることです。
この手のものはお店によって価格設定が変わることが多いのですが、私がよく利用しているお店では

モノラル録音が10000円
ステレオ録音が6900円

に設定されています。
こういう古い録音は最終的には需要と供給の関係で決まるようですから、多くの人が音質的には劣ることは分かっているのにモノラル録音を求めることをこの事実は示しています。
理由はいうまでもありません、演奏そのものが圧倒的にモノラル録音の方が優れているからです。

日本では何故かシルバーシート優先で老大家の枯れた演奏を持ち上げる習慣があるのですが、いうまでもなく、その様な「枯れた演奏」よりは脂ののりきった全盛期の演奏の方が優れていることが多いのは自明の理です。とりわけ、この23番のような覇気満々たる作品であるならばそのアドバンテージは絶対的です。
ステレオ録音によるバックハウスしか聞いたことがない人には是非とも一度は聞いてもらいたい演奏です。

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