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シュナーベル(Artur Schnabel)|ベートーベン:ピアノ協奏曲第1番
ベートーベン:ピアノ協奏曲第1番
シュナーベル サージェント指揮 ロンドン交響楽団 1932年録音
Beethoven:ピアノ協奏曲第1番「第1楽章」
Beethoven:ピアノ協奏曲第1番「第2楽章」
Beethoven:ピアノ協奏曲第1番「第3楽章」
若きベートーベンの自信作・・・大協奏曲!!
この作品は番号は1番ですが、作曲されたのは2番よりも後です。現行の2番は完成した後に筆を加えたり出版が遅れたりして番号が入れ替わってしまったわけです。
ベートーベンは第2番の協奏曲の方にはたんに「協奏曲」として出版していますが、この第1番の方は「大協奏曲」としています。それはこの作品に寄せる並々ならぬ自信の表明でもあったわけですが、大編成の管弦楽とそれに張り合うピアノの扱いなどを見ると、当時としては大協奏曲と銘打っても不思議ではない作品となっています。
この作品はベートーベンがウィーンに出てきて間もない頃に書かれたと言われています。当時のベートーベンは作曲家としてよりもピアニストとして認められていたわけですから、モーツァルトと同様に、自らの演奏会のためにこのような作品は必要不可欠だったわけです。
演奏効果満点の第1楽章と、将来のベートーベンを予想させるに十分な激しさを内包した最終楽章、そしてもこれもまたベートーベンを特徴づける詩的な美しさをもったラルゴの第2楽章。どれをとっても演奏会用のピースとして求められるあらゆる要素をもったすぐれモノの協奏曲です。
なお、この作品の第1楽章にはベートーベン自身による3種類のカデンツァが残されていますが、これらは作曲当時に書かれたものではなくて、かなり後になってからルドルフ大公のために書かれたものだと言われています。
ロマンティックなベートーベンです。
シュナーベルに対する歴史的評価の一つとして、「ベートーベンをロマン主義的歪曲から救い出したピアニスト」というのがあります。
ところがこの演奏を聞いてみると、とりわけ第2楽章などは入念に歌い込んでいて、今の私たちの耳からするとこの上もなくロマンティックなベートーベンに聞こえます。それは、同時にアップしたギーゼキングの演奏と聞き比べてみるとその違いは一目瞭然(一聴瞭然?)です。
だとすると、シュナーベル以前のピアニストはいったいどんな風にベートーベンを演奏していたのかと興味がわきますが、資料はきわめて少ないようです。
パチパチというノイズはかなり気になるかもしれませんが、中音域の音楽的においしい部分はしっかりとすくい取っているので、音楽として楽しむには十分な音質だとは思いますし、第2楽章の深い歌心に接すると「これぞシュナーベル!」と拍手を送りたくなります。
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