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モーツァルト:管楽器のための協奏交響曲 変ホ長調, K.297b

カール・ベーム指揮 (Ob)カール・シュタインス (Cl)カール・ライスター (Hr)ゲルト・ザイフェルト (Fagott)ギュンター・ピースク ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年2月録音



Mozart:Sinfonia concertante in E-Flat Major, K.297b [1.Allegro]

Mozart:Sinfonia concertante in E-Flat Major, K.297b [2.Adagio]

Mozart:Sinfonia concertante in E-Flat Major, K.297b [3.Andantino con variazioni]


失われた作品

この作品はモーツァルトが母を伴って12年ぶりにパリを訪れたときに作曲されたことは、彼の手紙から明らかです。そこで、彼は「フルートのヴェンドリング、オーボエのラム、ヴァルトホルンのプント、ファゴットのリッターのためにサンフォニー・コンセルタント(協奏交響曲)を1曲作曲しようとしている」と伝えているからです。
作曲を依頼したのは パリのコンセール・スピリチュエルの監督ル・グロという人物です。

しかし、何かの手違いがあったのか、その作品が演奏される予定の演奏会に譜面が届かず演奏されませんでした。
モーツァルトは、それは依頼者の陰謀であり、彼がその素晴らしい作品を独占しようとしたためだと怒りをぶちまけていますが、真相は謎です。

しかし、ザルツブルグに帰郷してから彼はその作品をもう一度思い出して書き起こそうとしたようなのですが、結果として多忙のために放棄されました。
つまり、この「管楽器のための協奏交響曲」は作曲されたことは間違いないものの失われた作品となっていたのです。

ところが、20世紀初頭に、モーツァルトの伝記を書き残したオットー・ヤーンの遺品からこの作品の写譜が発見されたのです。そして、モーツァルトが手紙の中で示唆した楽器編成とは異なる(オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)ものの、失われた作品と推定され、旧全集でに収録されました。
しかしながら、その後の研究によってその写譜はモーツァルトの真作ではなく、他人の手が加えられているもの(改作)であることが判明してきました。つまりは「偽作」に分類されたのです。
もちろん、今でもこれを真作とする学者も少なくないのですが、とにかく「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット」ではなくて、「フルート、クラリネット、ホルン、ファゴット」という編成の楽譜が発見されない限り決定的なことは言えないと言うことです。

とは言え、多くの部分にモーツァルトの息吹が感じられることは事実なので、現在も統計的手法などを使って作品を復元しようとする動き(ロバート・レヴィン版)があります。
もちろん、この「改作(もちろん真作の可能性も捨てきれない)」された作品であっても美しいですし、十分にモーツァルトを感じ取れる音楽なので、私などはそれで十分だともうのですが、いかがなものでしょうか。、


こんなに立派な音楽だったかしら

協奏交響曲というのは一般的に「交響曲」ではなく「協奏曲」に分類されます。それは複数のソロ奏者とオーケストラとの協演を目的とした楽曲を意味しているからです。
しかし、こういう作品を演奏するときは特別にソリストを招いて演奏することは少なく、オーケストラの当該パートの首席奏者がソロをつとめることが多いようです。例えば、最近紹介したレーデル指揮の録音ではヴァイオリンにヨゼフ・スーク 、ヴィオラにミラン・シュカンバを起用していたのですが、そう言う例は少ないようです。

スークやシュカンバの味のある独奏を聴いていると、そのようにソリストを招いた方が面白い演奏になることが多いなと思わざるを得ません。
しかし、それとは別にこのベームとベルリンフィルのように、トマス・ブランディスやジュスト・カッポーネを起用した「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」や、カール・シュタインス、カール・ライスター、ゲルト・ザイフェルト、ギュンター・ピースクを起用した「管楽器のための協奏交響曲」のようにオケの首席奏者をソリストに起用すると、ソロパートの多い管弦楽曲の様に聞こえてしまいます。

その極端な例がセルとクリーブランド管による「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」の録音でしょう。あそこでは、ソリストは完全に指揮者の統制下に組み込まれていました。

それと比べれば、このベームの演奏はそこまで厳しい統制下にはおいてはいませんが、それでも、協奏曲と言うよりはなんだか妙に立派な管弦楽曲を聴かされたような気になります。
特に、あまり聞かれる機会の少ない「管楽器のための協奏交響曲」などは、こんなに立派な音楽だったかしらと思ってしまいます。

さらに言えば、それぞれの管楽器奏者の腕前は申し分ないので、その部分もまた十分に楽しめます。
「複数のソロ奏者とオーケストラとの協演」と言うことならば面白味には欠けるかもしれませんが、まあここまで立派な構えの音楽にしてくれるならば、それはそれで十分に良しとすべきなのでしょう。

この演奏を評価してください。

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