クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|ドラティ(Antal Dorati)|モーツァルト:メヌエット ハ長調, K.409

モーツァルト:メヌエット ハ長調, K.409

アンタル・ドラティ指揮 フェスティヴァル室内管弦楽団1965年8月4日録音



Mozart:Minuet in C major, K.409/383f


モーツァルトを聴く上では決して見逃してはいけないジャンル

モーツァルトにとって舞曲は彼がはじめた学んだ音楽形式でした。そして、彼の作品群の中では控えめな位置にあるのですが、それは常に彼とともにありました。
しかし、モーツァルトの生涯を俯瞰したときに、それは大きく3つの時期に区切られるようです。
まず最初は、ザルツブルグ時代の諸々の行事のために書かれた作品です。それは、簡素な楽器編成によって書かれた彼の少年期、青年期の作品です。

それに続く2つめのグループはバレエやオペラのために書かれた作品です。
そして、この分野に於いて最も重要なのが、彼がウィーンに移り住んでから書かれた有名な舞踏会場であるレドゥーテンザールの為に作曲された作品群です。レドゥーテンザールは皇帝主宰の舞踏会も行われる会場であり、それ故にモーツァルトが宮廷作曲家としての地位を得たために生まれたものでした。
それだけに、モーツァルトは小品であるにもかかわらず、そこには彼が持つあらゆる技術が駆使されていて、とりわけ精妙なオーケストラの響きには注目すべきものがあります。

それだけに、モーツァルトを聴く上では決して見逃してはいけないジャンルだと言えます。

モーツァルト:メヌエット ハ長調, K.409


この作品は交響曲第34番(K.338)のメヌエット楽章のために書かれたののではないかと考えられてきました。何しろ、あのアインシュタインがそのように書いていたからです。
しかし、このメヌエットはK.338の交響曲のメヌエットとしては規模も大きく長すぎます。

ですから、最近では舞曲音楽ではなくて、演奏会でのコンサート作品として書かれたのではないかという説が有力です。その複雑なテクスチャからは「踊る」ための音楽よりも「聞く」ための音楽だと思われるのです。
それ故に、モーツァルトが書いた最も優れたメヌエットだというアインシュタインの評価は覆ることはないでしょう。


優れた録音と整ったアンサンブルで聞く事が出来るというのは貴重な存在

フェスティヴァル室内管弦楽団と言うオケに関してはいろいろ調べたんですが、結局は正体は不明でした。ただし、基本的なレベルはよく分からないのですが、ドラティという人はどんなオケであってもそれなりのレベルの演奏に仕上げてしまうと言う技を持っています。
おそらく、この一連のモーツァルト演奏を聞いてもう少し「愉悦感」のようなものが欲しいと思う人もいるでしょう。とりわけ、行進曲や舞曲ならば、その整った佇まいと整然とした推進力に不満はないのですが、それが「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のような作品になると、あまりにも整いすぎていて、それはそれで決して不満ではないのですが、もう少し愛想みたいなものがあってもいいのにななどと欲深いことを思ってしまいます。

ただし、行進曲や舞曲などに関しては録音そのものが非常に少ないですから、そう言う作品をこのような優れた録音と整ったアンサンブルで聞く事が出来るというのは貴重な存在です。だいたいが、そう言う作品を依頼されても、それを真面目に取り上げて録音しようなどという指揮者は殆どいないでしょう。
何といっても、そう言う小品をこういう形で録音するのは二流以下の指揮者の仕事であり、それなりのポジションを獲得している指揮者からしてみれば、いくら頑張って優れた演奏に仕上げても、それは決して自分のプラス評価につながらないからです。いや、つながらないどころか、下手をすれば「金目当てで下らない仕事を引き受けやがって」と陰口を言われかねません。

それだけに、ドラティのようにこういう小品であっても真面目に取り組んでくれることで、例えば最晩年に書かれた舞曲が持つ豊かで精妙なオーケストレーションの素晴らしさを教えてもらうことが出来るのです。
そして、ザスロー先生も、モーツァルトを知るためには是非とも聞く必要のある音だと述べているのです。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



4936 Rating: 5.1/10 (70 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-11-21]

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)

[2024-11-19]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)

[2024-11-17]

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)

[2024-11-15]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-11-13]

ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)

[2024-11-11]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)

[2024-11-09]

ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2024-11-07]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)

[2024-11-04]

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

[2024-11-01]

ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)