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クーベリック |ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調, Op.70
ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調, Op.70
ラファエル・クーベリック指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1951年11月1日~2日録音
Dvorak:Symphony No.7 In D Minor, Op.70 [1.Allegro maestoso]
Dvorak:Symphony No.7 In D Minor, Op.70 [2.Poco adagio]
Dvorak:Symphony No.7 In D Minor, Op.70 [3.Scherzo: Vivace - Poco meno mosso]
Dvorak:Symphony No.7 In D Minor, Op.70 [4.Finale: Allegro]
ブラームスの仮面をかぶったシンフォニー
1882年、ドヴォルザークはロンドン・フィルハーモニー協会から自作の指揮をするように招待を受けて、はじめてイギリスの地を踏みます。
演奏会は空前の大成功をおさめ、ドヴォルザークは協会の名誉会員に選ばれるとともに、協会のために新しい交響曲を書くように依頼されます。
ちょうど同じ頃に、ブラームスの交響曲3番を聞いて深く感動して新たな交響曲の創作に意欲を見せていたドヴォルザークはその依頼を即座に受け入れます。
1884年の2回目のイギリスへの演奏旅行も成功裏に終り、プラハに戻ったドヴォルザークはその年の暮れから創作に取りかかり、翌年の3月には完成させました。その新しい作品が、現在では「第7番」とナンバーリングされている交響曲です。(この交響曲は出版されたときは「第2番」とされていて、それで長らく通用していました。)
この作品は同年4月からの3回目のイギリス訪問で初演され過大にすぎるくらいの成功と評価を勝ち得ました。
一般的、ドヴォルザークとイギリスは相性が良かったようで、イギリスの評論家は常にドヴォルザークの作品に対して高い評価を与えてきました。
その中でも、この作品は特にお気に入りだったようで、シューベルトのハ長調交響曲やブラームスの最後の交響曲に匹敵する傑作とされ続けてきました。(さすがに、今はそんなことを言う人はいないでしょうが・・・)
この作品はドヴォルザークに特有なボヘミア的な憂愁よりは、どこかブラームスを思わせるような重厚さが作品を支配しています。
内省的でどこか内へ内へと沈み込んでいくような雰囲気があります。
ドヴォルザーク自身も出版業者のジムロックにあてて「新しい交響曲に取り組んでもう長期になるが、それは何か本格的なものになりそうだ」と述べています。
その「本格的なもの」とはブラームスの交響曲をさしていることは明らかです。
誤解を招くかもしれませんが、ドヴォルザークがブラームスの仮面をつけて書いたような音楽です。
信頼さえしてくれれば
クーベリックと言えば「中庸」と言うことがよく言われて、その評価に対しては微妙なところがあります。
しかし、こういう若い頃のフィルハーモニア管等との演奏を聞いてみると、そう言う雰囲気とは随分と異なる事に気づかされます。
クーベリックは世界的ヴァイオリニストだったヤン・クーベリック の長男として生まれ、読み書きができるようになるよりも先に楽譜が読めるようになったというエピソードが残されているほどに、音楽的に恵まれた環境のもとで育ちました。そして、わずか22歳でチェコ・フィルの常任指揮者となり、1942年にはターリッヒがナイスに睨まれて退任した後を受けて首席指揮者に就任しています。
考えてみれば、そう言う男がただの「中庸」だけの音楽家になるはずはなく、疑いもなくその中には確固とした彼ならではの音楽の姿を築き上げていたはずです。
そして、それがただの想像ではないことを、このフィルハーモニア管との演奏は証明しています。
とりわけ、ドヴォルザークの交響曲第8番ではクーベリックの意志が刻み込まれていないフレーズは一つもないだろうと思えるほどに、その全てに彼ならではの微妙なニュアンスが刻み込まれています。それは、己の意志がほとんど無視されて、その中でかろうじてバランスをとるだけに終始したウィーン・フィルとのDecca録音の時と較べれば全く別人です。
そして、最近になってもう一つ第7番もフィルハーモニア管と録音してたことに気づきました。
これもまた、すみずみまでクーベリックの意志が貫徹した演奏で、8番と同じように全てのフレーズにクーベリックの意志が刻み込まれています。
このフィルハーモニア管との演奏ではウィーン・フィルとのノッペリした音楽はどこを探しても見つけ出すことは出来ません。
そして、ここであらためて気づかされるのは、クーベリックという指揮者は自分を信頼してついてきてくれるオケならば存分に力を発揮できるのですが、そうでない性悪オーケストラだとそれをたたき直すという根性はなかったと言うことです。
おそらく、彼の指揮者としてのキャリアがチェコフィルという手足のような存在からスタートしたことが原因しているのかもしれません。そして、亡命後はフィルハーモニア管の様な極めてニュートラルで律儀なオケと演奏していたときまではよかったのですが、そこ後アメリカに渡ってシカゴ響の音楽監督になったのが悲劇の始まりで、その後、Deccaでウィーンフィルと録音したことなどはこの上もない苦難の経験だったことでしょう。
そう言う意味では、晩年にバイエルン放送交響楽団というオケを率いることが出来たのは幸せな事でした。
しかし、それは裏を返せば、潜在的には素晴らしい能力を持った指揮者であったと言うことです。しかし、その能力は、彼があまりにも紳士的な指揮者であったが故に、そっぽを向いたオケに対しては強く己を主張して自己の音楽を貫き通す事が出来ず、その中途半端さが「中庸の指揮者」という誉めているのか貶しているのか分からないような評価に繋がったのでしょう。。
しかしながら、オケとの相性がピッタリとあったときには素晴らしい音楽を聞かせてくれる事は間違いありません。
フィルハーモニア管と録音したこれらのドヴォルザークは「素晴らしい!!」の一言に尽きます。
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