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メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品90 「イタリア」

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1961年4月録音



Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian" [1.Allegro vivace]

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian" [2.Andante con moto]

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian" [3.Con moto moderato]

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian" [4.Saltarello. Presto]


弾むリズムとほの暗いメロディ

メンデルスゾーンが書いた交響曲の中で最も有名なのがこの「イタリア」でしょう。
この作品はその名の通り1830年から31年にかけてのイタリア旅行の最中にインスピレーションを得てイタリアの地で作曲されました。しかし、旅行中に完成することはなく、ロンドンのフィルハーモニア協会からの依頼を受けて1833年にようやく完成させています。
初演は同年の5月13日に自らの指揮で初演を行い大成功をおさめるのですが、メンデルスゾーン自身は不満を感じたようで、その後38年に大規模な改訂を行っています。ただ、その改訂もメンデルゾーン自身を満足させるものではなくて、結局彼は死ぬまでこの作品のスコアを手元に置いて改訂を続けました。そのため、現在では問題が残されたままの改訂版ではなくて、それなりに仕上がった33年版を用いることが一般的です。

作品の特徴は弾むようなリズムがもたらす躍動感と、短調のメロディが不思議な融合を見せている点にあります。
通常この作品は「イタリア」という名が示すように、明るい陽光を連想させる音楽をイメージするのですが、実態は第2楽章と最終楽章が短調で書かれていて、ほの暗い情感を醸し出しています。明るさ一辺倒のように見える第1楽章でも、中間部は短調で書かれています。
しかし、音楽は常に細かく揺れ動き、とりわけ最終楽章は「サルタレロ」と呼ばれるイタリア舞曲のリズムが全編を貫いていて、実に不思議な感覚を味わうことができます。


掘り出し物の一枚

久しぶりに中古レコード屋さんをまわってきました。もう1年半ほど大阪市内には出かけていなかったのですが、ワクチン接種も2回終えて2週間ほどたった7月の中旬に出かけてきました。
その頃はまだ感染者数も爆発的には拡大しておらず、デルタ株の広がりも限定的だったので思い切って出かけたしだいです。
しかし、8月に入ってからは再び自粛モードですね。それに、出かける気がなくなるほどの猛暑ですからしかたがありません。

今の時代ネットでも中古レコードは買えるのですが、私が好きなのは300円均一のコーナーを漁ることです。まさに盤質の良し悪しも運次第ですし、レコードの種類も玉石混淆です。
しかし、調べてみるとこれが意外と掘り出し物がまじっていたりして、それが盤質も上々だったりするとまさに「大当たり」と言うことになります。もちろん、「外れ」も多いのですが、それもまた一枚300円(税込み330円)ですから、外れでも仕方なしです、
私は買いませんが、まあ、宝くじみたいなものです。

そして、その7月にまわったときに見つけたのがこの一枚です。
まずはメンデルスゾーンの1番と4番というカップリングが珍しいですし、何よりもバルビローリのメンデルスゾーンというのはあまり記憶の中になかったのですぐにゲットすることにしました。
後で調べてみると、バルビローリはメンデルスゾーンの交響曲はこの4番しか録音していなくて、後は1948年のモノラルでしかセッション録音はないようなのです。そして、そのモノラル録音は手もとにあったのですが、この61年のステレオ録音はなかったので、個人的には「大当たり」の一枚でした。もしかしたらこの録音は未だにCD化されていないのかもしれません。(英バルビローリ協会からのCD、「JSB 1069-70」で発売されているとの情報をいただきました。)

ただし、盤質はいささか難有りで、かなり丁寧にクリーニングしたのですがパチパチ・ノイズは取り切れませんでした。
しかし、48年のモノラル録音の音質はかなりしょぼいので、それと比べればバルビローリ&ハレ管の魅力ははるかに優れた形で収録されています。そして、この時代のバルビローリはドヴォルザークやチャイコフスキーの交響曲で非常に優れた録音を残しているのですが、これもまたそれらに匹敵するほどの優れものです。

バルビローリの特徴は、言うまでもなく弦楽器セクションの処理の仕方にあります。
彼は新しい作品と向き合うときは弦楽器のパートの奏法をすべて記入しながら進めていったと言われています。おそらく、このメンデルスゾーンでも同じ事をやったのでしょう。溌剌としたリズム感による疾走感を失うことなく、歌うべきところはバルビローリならではの歌心に溢れています。
そして、さらに驚いたのは、裏面に収録されているデヴィッド・ジョセフォヴィッツによるメンデルスゾーンの1番です。
「デヴィッド・ジョセフォヴィッツってだれ?」という感じだったのですが、これもまた調べてみて驚き、なんとコンサート・ホール・ソサエティ(Concert Hall Society)の創設者だったのです。このレーベルはデヴィッドとサミュエルの兄弟が1946年に創業したものでした。
そして、音楽面はこのデヴィッド・ジョセフォヴィッツが全面的に取り仕切っていたようなので、おそらく会社の経営面はサミュエルが取り仕切るという役割分担をしていたのでしょう。

1950年代に入って会社の経営が安定すると、ヨーロッパに進出するために子会社を設立し、オランダやスイスを拠点として独自の収録活動をはじめます。
このバルビローリの録音も地元のイギリスではなくて、スイスのベルンで行われたようです。おそらく、演奏旅行の途中にでも収録したのでしょう。

デヴィッドはヴァイオリニストとしても活動しており、優れた音楽家であると同時に優れたプロデューサーでもあったようです。
おそらく、このレーベルがなければ晩年のシューリヒトやモントゥーの貴重な演奏を聞くことができなかったでしょうから、それだけでも感謝あるのみです。

もちろん、指揮者としても悪くない存在で、ほとんど演奏される機会のないメンデルスゾーンの1番の姿を、オペラ座のオケを使って過不足なく描き出しています。
この作品はメンデルスゾーンが15才の時の作品で、そこには初のフル編成による交響曲に対する意気込みを感じさせるものがあります。デヴィッドの指揮は作品に内在するそのような意気込みからくる若々しい勢いを見事に表現しています。

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2021-08-10:めしむら





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