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チャイコフスキー:「眠れる森の美女」op.66a(ハイライト)

カレル・アンチェル指揮:ウィーン交響楽団 1959年2月録音



Tchaikovsky:The Sleeping Beauty, Op.66(Excerpts) [1.Introduction.La Fee des Lilas]

Tchaikovsky:The Sleeping Beauty, Op.66(Excerpts) [2.Adagio.Pas daction]

Tchaikovsky:The Sleeping Beauty, Op.66(Excerpts) [3.Pas de caractere.Le Chat Botte et la Chatte Blanche]

Tchaikovsky:The Sleeping Beauty, Op.66(Excerpts) [4.Panorama]

Tchaikovsky:The Sleeping Beauty, Op.66(Excerpts) [5.Valse]


バレエ・クラシックの頂点を築いた作品

「白鳥の湖」の大失敗で、二度とバレエ音楽は書かないと心に決めていたチャイコフスキーにもう一度バレエ音楽を書かせたのは、マリンスキー劇場の監督官だったウセヴォロジェスキーなる人物でした。

この見識あふれる監督官は、口当たりのいい伴奏音楽しか書かない座付きの作曲家がロシアバレエを堕落させている原因だと断定し、チャイコフスキーに作曲の依頼をすることにしたのです。
彼は、この「眠れる森の美女」の台本でチャイコフスキーの興味と意欲をかきたて、さらには「くるみ割り人形」も依頼し、さらには「白鳥の湖」の復活にも尽力したのですから、私たちは彼に多大なる感謝の念を捧げるべきでしょう。

チャイコフスキーはこの監督官の情熱に押し切られるような形で「眠れる森の美女」の作曲を承諾し、大変な多忙の中でスケッチをはじめます。
そして、草稿が完成したときに彼は手紙の中で「この作品は私の生涯でもっともすぐれた作品の一つになると思います。」と述べています。

その後オーケストレーションも完成して、総譜は振り付け師のプティパの手に渡り、入念な稽古の末に皇帝臨席のもとに初演が行われました。
しかし、結果は予想外に芳しくなく、皇帝は「結構でした。」と一言述べただけだったと伝えられています。

原因としては、未だにバレエというものは踊り手の妙技を楽しむものであって、音楽はあくまでも添え物としての伴奏にすぎないという従来からのスタイルに慣れきった宮廷に人々には「難しすぎた」と言うこともあるでしょう。
当時の新聞には「チャイコフスキーの音楽は演奏会用作品でまじめすぎ、重厚すぎた」と書かれています。

さらに言えば、振り付け師のプティパ自身も、音楽が持っている全体的な統一感よりは、個々の小さなシーンを一つずつ完結するようにする従来からのやり方を踏襲したために、両者の間に不調和が生じたためだとも言われています。
しかし、後に「ロシア芸術の祭典」とも讃えられることになる魅力的な旋律ときらびやかな響きは少なくない人々の心をとらえたことは間違いなかったようです。

やがて、音楽と演出の不整合な部分も次第に修正が加えられて、ついにはバレエ・クラシックの頂点を築いた作品としての評価を築き上げていくことになります。
最後に全くの余談となりますが、今から20年ほど前、とあるコンサートに行ったときに入り口でもらったチラシの中に「眠れぬ森の美女」というのが入っていました。

今から思えば、記念として保存しておくべきでした。

<お話のあらすじ>
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プロローグ
フロレスタン14世の娘、オーロラ姫の誕生により、盛大な洗礼の式典が行われている。6人の妖精たちの一行が招待を受けて、彼女の名付け親となるべくやってくる。夾竹桃の精、三色ヒルガオの精、パンくずの精、歌うカナリアの精、激しさの精、そして一番偉い善の精、リラの精である。まず国王が妖精たちに贈り物をし、妖精たちがそれぞれオーロラ姫に授け物をする(正直さ、優雅さ、繁栄、美声、および寛大さなどを授けた、とする改訂版もある)。

その時、邪悪な妖精カラボスがやってくる。カラボスは自分が洗礼に招待されなかったことに怒り狂い、オーロラ姫に次のような呪いをかける。

「オーロラ姫は、20回目(改訂版では16回目)の誕生日に彼女の指を刺して、死ぬでしょう。」

しかし幸運にも、リラの精だけはまだ姫に何も授けていなかったため、次のように宣言する。

「カラボスの呪いの力は強すぎて、完全に取り払うことはできません。したがって姫は指を刺すでしょうが、死ぬことはありません。100年間の眠りについたあと、いつか王子様がやってきて、彼の口づけによって目を覚ますでしょう。」

第1幕
オーロラ姫はすくすくと成長し、20歳(16歳)の誕生日を迎えた。その誕生日に編み物をしている娘たちを見て国王は激怒する。オーロラ姫を守るために編み物・縫い物は禁止していたためだ。めでたい祝いの日なので国王は怒りを鎮めて祝宴をはじめる。

オーロラ姫には4人の求婚者がおり、彼らがバラを姫に手渡したそのすぐ後、姫は何者かからつむを贈られる。彼女は尖ったものに気をつけるようにという両親の忠告にも関わらず、それを持ったまま楽しそうに踊る。そして誤って指を刺してしまう。

カラボスは、すぐに邪悪な本性を明かしながら、勝ち誇り、驚く賓客の前で姿を消す。同時にリラの精が約束通りやってきて、王と王妃、そして賓客たちに、オーロラ姫は死ぬのではなく眠りにつくのだということを思い出させる。リラの精は城にいた全員に眠りの魔法をかける。オーロラ姫が目覚めるその時に、目を覚ますように、と。

第2幕
それから100年が経った頃、デジレ王子が一行を率いて狩りを行っていた。王子は狩りが楽しくなかったため、一人になりたいと申し出て、一行から離れる。そこに突然リラの精が現れて、オーロラ姫の幻を見せられた王子はその美しさの虜となる。王子はリラの精にオーロラ姫の元へ連れて行くよう頼み込み、今や太いツルが伸び放題でからみついている城にたどり着く。リラの精はオーロラ姫の名づけ親だが、デジレ王子の名づけ親でもあった。

王子は城の中に入り、中で眠っているオーロラ姫を発見し、王子のキスによってオーロラ姫は目を覚ます(原作は非暴力的で愛すること・考えることを重視するが、改訂版では邪悪なカラボスを打ち負かす、といった展開もある)。彼女が目を覚ましたため、城にいた全員が目を覚ます。王子は姫への愛を告白し、結婚を申し込む。

第3幕
婚礼の仕度は整った。祝祭の日にさまざまな妖精たちが招かれている。結婚を祝福するのは、金の精、銀の精、サファイアの精、ダイヤモンドの精である。リラの精もカラボスも出席している。「長靴をはいた猫」や「白猫」などのおとぎ話の主人公たちも来賓として居合わせている。

華麗なダンスが次々に踊られる。4人の(宝石・貴金属の)妖精のパ・ド・カトル、2匹の猫のダンス、青い鳥とフロリナ王女のパ・ド・ドゥ、赤ずきんちゃんとおおかみの踊り、シンデレラ姫とチャーミング王子のダンスが披露され、(一般的には省略されるサラバンドの後を受けて、)オーロラ姫とデジレ王子のパ・ド・ドゥが続き、最後にマズルカで締め括られる。オーロラ姫と王子は結婚し、(リラの精が2人を祝福する、という改訂版もあるが、原作では)妖精たちを讃えるアポテオーズの中で人々は妖精たちに感謝を表し、リラの精やカラボスなどの妖精たちが人々を見守るうちにバレエは終わる。



純粋器楽の音楽として再構築してみれば

手兵のチェコフィルではないのが少しばかり残念ですが、アンチェルにとっては馴染みの深いウィーン交響楽団ですし、オケの能力としてはこちらの方が上のような気がしますからまあ文句のないところでしょう。
そして、アンチェルがこういうチャイコフスキーの作品を演奏すれば「甘く」なることは想像も出来ないのですが、その想像はほぼ100%的中しています。

「白鳥の湖」ではやや遅めかなと思えるテンポで始まって、リズムもややエッジを立て気味にして、バレエ音楽の伴奏と言うことは一切忘れて純粋器楽の作品として再構築していることがはっきりと分かります。しかしながら、オーボエやヴァイオリン、チェロのソロなどはさすがはウィーン交響楽団のメンバーと感心させられるほどの美しさで、それがアンチェルが築き上げようとする引き締まった世界観の中に見事にはまりこんでいます。
バレエの伴奏音楽から遠ざかる方法はいろいろあるのでしょうが、これはオーマンディ&フィラデルフィア管とは全く異なった方向性によるチャレンジだと言えます。
ただし、最後の「終曲」を省いているのがいささか(かなり^^;)残念です。

  1. 情景〔第2幕〕

  2. ワルツ〔第1幕〕

  3. 四羽の白鳥の踊り〔第2幕〕

  4. 王子とオデットのグラン・アダージョ〔第2幕〕

  5. ハンガリーの踊り(チャールダーシュ)〔第3幕〕


しかしながら、これが「くるみ割り人形」になると、3曲の中ではもっとも音楽的に充実しているために、それほど無理をしなくてもよいという結果になっています。
アンチェルは第1幕の導入部の後に第2幕でのお菓子の精たちの踊りを続けて、最後はお約束通りに(^^;、「花のワルツ」で締めくくっています。このお菓子の精たちの踊りは実によくできていて、それぞれで十分単独の小品として成り立つだけのクオリティを持っていますから、アンチェルもまたそれらをあるがままに演奏しています。

もちろん、それはそれで立派な音楽になっているのですが、これに関してはオーマンディのような遊び心があった方が好ましく思えます。ただし、アンチェルに「遊び心」というのは少しばかり無理でしょうから、出来ればもっと締め上げてくれれば面白かったのにと言う若干の不満は残ります。贅沢な話でアンチェルには申し訳ないのですが。

  1. 小序曲

  2. 行進曲

  3. 金平糖の精の踊り

  4. ロシアの踊り(トレパック)

  5. アラビアの踊り

  6. 中国の踊り

  7. 葦笛の踊り

  8. 花のワルツ


それから、これも仕方のないことなのですが、花のワルツの後に「パ・ド・ドゥ」が来ないのはいつも残念に思います。

しかしながら、「眠れる森の美女」ではアンチェルの狙いが見事にツボにはまっています。もう、冒頭の導入部から凄まじい迫力でオーケストラは鳴りきっています。これが、実際のバレエ公演ならばオーケストラが踊りを圧倒してしまうので何とも不都合なのですが、音だけの録音ならば何の不都合もありません。
また、その響きを聞いているとウィーンにある唯一の常設のコンサート・オーケストラであるというウィーン交響楽団の矜恃のようなものも感じ取れます。

確かに、この長大なバレエを踊りなしの録音でき聞き通すというのは些かしんどい話です。
それに対して、このアンチェルの演奏はハイライト版と言うよりは、多楽章からな管弦楽曲として再構築してるように聞こえます。ある意味ではアンチェルの狙いが一番はっきりと分かるのがこの「眠れる森の美女」かもしれません。

  1. 序奏とリラの精

  2. アダージョ: パ・ダクシオン

  3. パ・ド・カラクテール:長靴をはいた猫と白い猫

  4. パノラマ

  5. ワルツ


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