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シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120

ヨーゼフ・クリップス指揮 ロンドン交響楽団 1956年10月録音



Schumann:Symphony No.4 in D minor Op.120 [1.Ziemlich langsam - Lebhaft]

Schumann:Symphony No.4 in D minor Op.120 [2.Romanze: Ziemlich langsam]

Schumann:Symphony No.4 in D minor Op.120 [3.Scherzo: Lebhaft]

Schumann:Symphony No.4 in D minor Op.120 [4.Langsam - Lebhaft]


マーラーへとつながっていく作品なのでしょうか?

シューマンのシンフォニーというのは年代的に見ればベートーベンとブラームスの中間に位置します。ですから、交響曲の系譜がベートーベン-シューマン-ブラームスと引き継がれてきたのかと言えば、それはちょっと違うようです。

ロマン派の時代にあってはメロディとそれをより豊かに彩る和声に重点が置かれていて、そのことは交響曲のような形式とはあまり相性がよいとは言い難いものでした。
そのことは、リストによる交響詩の創作にも見られるように、構築物として音楽を仕上げるよりは物語として仕上げることに向いた仕様だったといえます。

こういう書き方をすると誤解を招くかもしれませんが、シューマンの交響曲を聴いていると、それはベートーベンから受け継いだものをブラームスへと受け継いでいくような存在ではなくて、ベートーベンで行き着いた袋小路から枝分かれしていった一つの枝のような存在であり、それがリストに代表される交響詩へと成長していったと把握した方が実態に近いのではないかと思います。

とりわけこの第4番の交響曲を聴くと、それはベートーベン的な構築物よりは、交響詩の世界の方により近いことを実感させられます。
事実、シューマン自身もこの作品を当初は「交響的幻想曲」とよんでいました。

この作品は番号は4番となっていますが、作曲されたのは第1番と同じ1841年です。当初はその作曲順の通りに第2番とされていて、同じ年に初演もされています。
しかし、第1番と違って初演の評判は芳しくなく、そのためにシューマンは出版を見あわせてしまいます。
そのために、5年後に作曲された交響曲が第2番と名付けられることになりました。

その後この作品はシューマン自身によって金管楽器などの扱いに手直しが加えられて、1853年にようやくにして出版されることになります。

シューマンの音楽というのはどこか内へ内へと沈み込んでいくような雰囲気があるのですが、4曲ある交響曲の中でもその様な雰囲気がもっとも色濃く表面にでているのがこの第4番の交響曲です。
そして、こういう作品をフルトヴェングラーのような演奏で聞くと、「そうか、これはリストではなくてマーラーにつながっていくんだ」と気づかされたりする作品です。

第3楽章から第4楽章につながっていく部分は誰かが「まるでベートーベンの運命のパロディのようだ!」と書いていましたが、そういう部分にもシューマンの狂気のようなのぞいているような気がします。


シューマンの4番用の「生活雑器」

こうやって、とうの昔に死んじまった爺さんや婆さんたちの録音を取り上げてあれこれ書いていると、これはまさに音楽の骨董いじりだなと思う時があります。
言うまでもなく「骨董」と「観賞」は違います。

「骨董」はまずは買ってみて、そして自分の身の近くにおいていじり回すことでその良さがしみてきたり、時には偽物だったことが分かったりします。
それと比べてみれば、「観賞」というのはもう少し対象から身を置いた姿勢です。ですから、一度聞いたくらいで「分かったような気」になってしまう恐れを「観賞」という行為は内包しています。
「ドイツ的」であったり「即物主義」であったり、はたまた「カラヤン美学」とか「いぶし銀」とか「枯れた芸」等という怪しげな文言たちは、その様な「分かったような気になった価値評価」なのかもしれません。

もちろん、偉そうなことは言えません。
私自身がその様なレッテルで分かったようなつもりの文章を量産してきたことは自覚しています。
ですから、最近は出来る限り、「骨董いじり」のように聞くことを心がけているのです。

そうすると、例えばクリップスの指揮によるシューマンの1番などは、なんだか出始めはギクシャクしてるなぁ、ちょっと緊張してるのかな、等と思ってしまうものの、そのちょっとギクシャクした導入部が終わって第1主題が出てくると急に威勢がよくなって、それは骨董好きが茶碗を裏返して「よしよし」と呟くように、「よしよし」と頷いてしまうのです。
そして、威勢よく前進しながら、途中で思い切りためを作って見得を切るような場面に出会うと、それは思わず茶碗の中に面白い景色を発見したときのような気にさせてくれるのです。

しかしながら、同じシューマンでも4番の方は何ともあっさりとした仕上がりで、そう言う「景色」を感じる部分が希薄なことに気づいたりもします。あの4番のシンフォニーはもとは「交響的幻想曲」と呼ばれていた様に深い幻想性を持った音楽であり、その深い幻想性故に思わぬ「景色」があちこちにあらわれたりする音楽なのです。
しかし、クリップスはそう言う「景色」があらわれることを意図的に拒否してスッキリとした造形を心がけているのです。
そうなると、そこからは「骨董」にはなりきれない「生活雑器」のような雰囲気が漂ってきたりするのです。

つまりは、すべてがすべて骨董いじりの対象になるのかと言えば、それもまた難しい話なのです。

しかし、生活雑器には生活雑器としての使い勝手の良さもあって、シューマンの交響曲の4番ってどんな音楽だろうと確かめたいときには、変な景色に溢れているよりはうんと見通しがよいのです。
Deccaの1956年録音であるにもかかわらず「モノラル」だというのも不可解な話なのですが、それでもクリップスがつくり出すスッキリとした見通しの良い音楽の姿はすくい上げています。
ですから、これをシューマンの4番用の「生活雑器」だと割り切ってしまえば、演奏も録音も、それはそれなりに細部まで丁寧に作り込まれたいい仕事なのです。

もっとも、そう言う言われ方をされてもクリップスは喜ばないことは明らかです。
しかしながら、少なくとも、高直の「骨董品」だと売り込まれて、後で「偽物」だと分かるような「まがい物」よりははるかにましだと思うのですが、やはり、誉め言葉にはならないようですね。

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