クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでワインガルトナーのCDをさがす
Home|ワインガルトナー|ブラームス:交響曲第1番

ブラームス:交響曲第1番

ワインガルトナー指揮 ロンドンフィル 1939年2月18日録音



Brahms:交響曲第1番「第1楽章」

Brahms:交響曲第1番「第2楽章」

Brahms:交響曲第1番「第3楽章」

Brahms:交響曲第1番「第4楽章」


ベートーヴェンの影を乗り越えて

 ブラームスにとって交響曲を作曲するということは、ベートーヴェンの影を乗り越えることを意味していました。それだけに、この第1番の完成までには大変な時間を要しています。

 彼がこの作品に着手してから完成までに要した20年の歳月は、言葉を変えればベートーヴェンの影がいかに大きかったかを示しています。そうして完成したこの第1交響曲は、古典的なたたずまいをみせながら、その内容においては疑いもなく新しい時代の音楽となっています。


 この交響曲は、初演のときから第4楽章のテーマが、ベートーヴェンの第9と似通っていることが指摘されていました。それに対して、ブラームスは、「そんなことは、聞けば豚でも分かる!」と言って、きわめて不機嫌だったようです。

 確かにこの作品には色濃くベートーヴェンの姿が影を落としています。最終楽章の音楽の流れなんかも第9とそっくりです。姿・形も古典派の交響曲によく似ています。
 しかし、ここに聞ける音楽は疑いもなくロマン派の音楽そのものです。

 彼がここで問題にしているのは一人の人間です。人類や神のような大きな問題ではなく、個人に属するレベルでの人間の問題です。
 音楽はもはや神をたたるものでなく、人類の偉大さをたたえるものでもなく、一人の人間を見つめるものへと変化していった時代の交響曲です。

 しかし、この作品好き嫌いが多いようですね。
 嫌いだと言う人は、この異常に気合の入った、力みかえったような音楽が鬱陶しく感じるようです。
 好きだと言う人は、この同じ音楽に、青春と言うものがもつ、ある種思いつめたような緊張感に魅力を感じるようです。

 ユング君は、若いときは大好きでした。
 そして、もはや若いとはいえなくなった昨今は、正直言って少し鬱陶しく感じてきています。(^^;;
 かつて、吉田秀和氏が、力みかえった青春の澱のようなものを感じると書いていて、大変な反発を感じたものですが、最近はこの言葉に幾ばくかの共感を感じます。
 それだけ年をとったということでしょうか。

 なんだか、リトマス試験紙みたいな音楽です。


意外なほど意志的で強靱な響き

ワインガルトナーといえばスタイリッシュで淡泊な演奏をした人というイメージがあります。
しかし、最晩年に彼が残したブラームスの演奏を聴き直してみて、少し考えをあらためました。4番の最終楽章ではちょっと粘る部分はありますが、全体としては颯爽としたスタイリッシュな演奏に仕上がっているところは、ワインガルトナーらしいといえます。しかし、ここで聞ける演奏はそれだけにとどまらず、意志的で強靱な響きが聞こえてきます。
ワインガルトナーってこんなにがっちりとした音楽を聞かせる人だったのかと少し驚かされました。

ワインガルトナーは1863年に現在のクロアチアで生まれ、その後リストの弟子となって音楽を学んだという経歴を持っています。そして、当時のお決まりだと思うのですが、地方の歌劇場からスタートして少しずつキャリアを積み上げていき、1891年にはベルリン宮廷歌劇場の首席指揮者にまでのぼりつめます。さらに、1908年にはグスタフ・マーラーの後任としてウィーン宮廷歌劇場とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任しています。
まさに順風満帆の音楽家生活だと思うのですが、晩年になるとナチスの台頭によりその生活にも影が差してきます。1934年に再び就任したウィーン国立歌劇場の音楽監督も36年には辞任せざるを得なくなり(ワインガルトナーはユダヤ人でした)、さらにローザンヌからパリに居を移し、第2次対戦の勃発直前にはロンドンへの亡命を余儀なくされます。
私の見るところ、このナチス台頭以後の録音には、それまでのワインガルトナーにはなかった強い意志のようなものが演奏に現れてきているように思います。
また、録音セッションを長年にわたって経験してきた人だけに、ライブ演奏との違いもよく知っていたように思います。何度も何度も繰り返し聞かされることを前提とした録音では、派手さはなくてもきっちり仕上げることの大切さをよく分かっていた人だと思います。しかし、ケレン味なく音楽を展開させながら次第次第に盛り上げていって最後でクライマックスを築き上げていくあたりはなかなかの手腕だと思います。

一部、原盤に起因すると思われるノイズはありますが音質的にはこの時代のものとしてが最上に属するものです。最晩年のワインガルトナーを知るには絶好の録音だといえます。

Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでもアップしていますので、是非チャンネル登録してください。

関連記事(一部広告含む)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



375 Rating: 5.3/10 (123 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2020-10-24]

ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調, Op.5
(P)ジュリアス・カッチェン 1964年10月1日~2日録音録音

[2020-10-23]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調「ラズモフスキー3番」Op.59-3
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音

[2020-10-22]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調 , K.491
(P)ラルフ・カークパトリック:ジェレイント・ジョーンズ指揮 ジェレイント・ジョーンズ管弦楽団 1956年8月7日~9日録音

[2020-10-21]

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
(Vn)エリカ・モリーニ:ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1967年11月5日録音

[2020-10-20]

シェーンベルク:コル・ニドレ, Op.39
ハンス・スワロフスキー指揮 ウィーン交響楽団 (語り)ハンス・ヤーライ、アカデミー室内合唱団 1952年10月28日&30日録音

[2020-10-19]

バッハ:ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調 BWV1049
シモン・ゴールドベルク指揮&ヴァイオリン:オランダ室内管弦楽団 (flute)ヒューベルト・バルワーザー (チェンバロ)ヤニー・ファン・ウェリング 1958年5月4日~11日録音

[2020-10-18]

バッハ:教会カンタータ 「わが神の御心のままに、常に成らせたまえ」 BWV111
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (Recorders)Thekla Waldbauer, Johannes Wagner (Violas da gamba)Walter Schulz Karl Riedel (Harpsichord)Gernot Schwickert (S)Boys from Thomanerchor Leipzig (A)Boys from Thomanerchor Leipzig (T)Hans-Joachim Rotzsch (Bass)Johannes Oettel 1953年10月日録音

[2020-10-17]

マーラー:交響曲第9番 ニ長調
レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨークフィル 1965年12月16日録音

[2020-10-16]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第8番 ホ短調「ラズモフスキー2番」Op.59-2
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音

[2020-10-15]

モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
(Cl)ベニー・グッドマン:シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽1956年7月9日録音