クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでレオニード・コーガンのCDをさがす
Home|レオニード・コーガン|チャイコフスキー:瞑想曲 ニ短調 Op.42 No.1

チャイコフスキー:瞑想曲 ニ短調 Op.42 No.1

(Vn)レオニード・コーガン コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 パリ音楽院管弦楽団 1959年録音



Tchaikovsky Meditation in D minor, op.42 No.1


Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでも毎日アップしていますので、是非チャンネル登録してください。
チャンネル登録って何ですか?

もとは「ヴァイオリン協奏曲」の第2楽章として書かれたものでした

チャイコフスキーは不幸な結婚とその果ての自殺未遂によって、スイスの湖畔の村クラランの別荘に逃亡します。それが可能だったのは、彼の終生のパトロンとなったフォン・メック夫人の援助があったからです。
彼はその別荘に腰を落ち着け作曲活動に専念することになります。そして、そこで「交響曲第4番」や「エフゲニー・オネーギン」、さらには当地をたずねてきた友人のヴァイオリニストの助けを受けて「ヴァイオリン協奏曲」などを完成させることになるのです。

この「瞑想曲(Meditation)」は、その「ヴァイオリン協奏曲」の第2楽章として書かれたものでした。
しかしながら、全体のバランスを考えればこの音楽は短すぎると判断して、チャイコフスキーは別の音楽「Canzonetta」に差し替えます。

しかし、この短い音楽はとても美しく、それ故に捨てるのに忍びがたかったようで、ロシア帰国後に「なつかしい土地の思い出」と題したピアノとヴァイオリンのための作品の第1曲として採用します。
この「なつかしい土地の思い出」の「なつかしい土地」とは言うまでもなくメック夫人の援助によって過ごしたスイスのことであり、この作品はその事への感謝の気持ちを表したものでした。

なお、管弦楽版はチャイコフスキー本人ではなくてグラズノフの手になるものであり、今日ではそちらの方が有名になっています。


「秘すれば花」という言葉のもっとも素晴らしい実例がここにある

「ヴァイオリンの鬼神」と言えば一般的にはパガニーニに奉られた言葉なのですが、このコーガンにもその言葉は良く呈されました。または「魔神と契約したヴァイオリニスト」などとも言われました。
そう言われる背景には、彼がとんでもない早熟の天才だったこと、さらにその早熟が早熟で終わることなく、完璧なイントネーションとボーイング・テクニックによって、ロシア=アウアー楽派の頂点を極めたことによるものでした。

確かに、パガニーニの奇想曲全24曲を一夜で演奏するなどという演奏会は今も一つの伝説であり、そんな事は魔神とでも契約しなければ不可能なことだと誰もが思ったはずです。そして、その驚くべきテクニックに裏打ちされることで、ベートーベンやブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、ラロ、パガニーニなどの協奏曲を驚くべき集中力と安定感を持ってねじ伏せていったのでした。
その凄みは、ある面ではハイフェッツをも凌いでいたかもしれません。

しかし、こういう小品の録音を聞いていると、コーガンのもう一つの顔が見てくるような気がします。
そして、こういう小品の方がコーガンの素顔がのぞいているような気がするのです。

そう言えば、ハイフェッツも協奏曲のような大曲よりも、小品を取り上げたときの方が魅力的でした。
しかし、コーガンと較べれば、小品と向き合うスタンスには大きな違いがあることに気づかされます。

誤解を恐れずに言い切れば、ハイフェッツの持ち味はまずはエンターテイメントでした。そして、そのエンターテイナーとしての資質は堅苦しい大曲よりは小品の方が向いていたのです。
それに対して、コーガンの場合は、彼が本来持っていたであろう繊細で清潔な心情のようなものが、こういう小品を向き合ったときには素直に吐露できているように思えるのです。

コーガンという人はオイストラフのように、滴るような美音で歌い回すというタイプではありません。しかし、オイストラフの「美音」が時には「微温」になるような世界とは一番遠いところにいました。
何よりも驚かされるのは、「美音」ではないけれども実に多彩な音色を持っていたことです。そして、その多彩な音色を駆使して、この上もなく繊細に旋律のラインを描き分けていくのです。

その特徴はピアノの部分ではより際だちます。

そして、その清潔にして楚々とした佇まいの中から、時々ゾクッとするような艶めかしい官能の影がよぎるのです。しかし、それもまた一瞬のことであって再び楚々とした佇まいに戻るのですが、その一瞬の妖しさがもたらす効果は絶大です。
まさに「秘すれば花」という言葉のもっとも素晴らしい実例がここにはあります。

コーガンと言えば、その圧倒的なテクニックでバリバリとヴァイオリンを弾き倒した人だと思っている人には是非とも聞いてほしい録音です。
[関連ページ]


この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



3744 Rating: 6.4/10 (10 votes cast)

この演奏に対するご意見や感想をおよせください。

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント



【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2019-01-16]

ワーグナー:ワーグナー:ニーベルングの指輪~第1夜 楽劇「ワルキューレ」第3幕 第1場~第2場
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (T)ジェームズ・キング[ジークムント] (S)レジーヌ・クレスパン[ジークリンデ] (Bass)ゴッドロープ・フリック[フンディング] (Br)ハンス・ホッター[ヴォータン] (MS)クリスタ・ルードヴィヒ[フリッカ] (S)ビルギット・ニルソン[ブリュンヒルデ]他 1963年10月31日 & 11月2日~5日、8日~12日、15日~19日録音

[2019-01-15]

ワーグナー:ワーグナー:ニーベルングの指輪~第1夜 楽劇「ワルキューレ」第2幕 第4場~第5場
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (T)ジェームズ・キング[ジークムント] (S)レジーヌ・クレスパン[ジークリンデ] (Bass)ゴッドロープ・フリック[フンディング] (Br)ハンス・ホッター[ヴォータン] (MS)クリスタ・ルードヴィヒ[フリッカ] (S)ビルギット・ニルソン[ブリュンヒルデ]他 1963年10月31日 & 11月2日~5日、8日~12日、15日~19日録音

[2019-01-14]

ワーグナー:ニーベルングの指輪~第1夜 楽劇「ワルキューレ」第2幕 第1場~第3場
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (T)ジェームズ・キング[ジークムント] (S)レジーヌ・クレスパン[ジークリンデ] (Bass)ゴッドロープ・フリック[フンディング] (Br)ハンス・ホッター[ヴォータン] (MS)クリスタ・ルードヴィヒ[フリッカ] (S)ビルギット・ニルソン[ブリュンヒルデ]他 1963年10月31日 & 11月2日~5日、8日~12日、15日~19日録音

[2019-01-13]

ワーグナー:ニーベルングの指輪~第1夜 楽劇「ワルキューレ」第1幕 第1場~第2場
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (T)ジェームズ・キング[ジークムント] (S)レジーヌ・クレスパン[ジークリンデ] (Bass)ゴッドロープ・フリック[フンディング] (Br)ハンス・ホッター[ヴォータン] (MS)クリスタ・ルードヴィヒ[フリッカ] (S)ビルギット・ニルソン[ブリュンヒルデ]他 1963年10月31日 & 11月2日~5日、8日~12日、15日~19日録音

[2019-01-13]

ワーグナー:ニーベルングの指輪~第1夜 楽劇「ワルキューレ」第1幕 第3場
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (T)ジェームズ・キング[ジークムント] (S)レジーヌ・クレスパン[ジークリンデ] (Bass)ゴッドロープ・フリック[フンディング] (Br)ハンス・ホッター[ヴォータン] (MS)クリスタ・ルードヴィヒ[フリッカ] (S)ビルギット・ニルソン[ブリュンヒルデ]他 1963年10月31日 & 11月2日~5日、8日~12日、15日~19日録音

[2019-01-12]

モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 "ハフナー" K.385
クルト・ザンデルリング指揮 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1952年&1953年録音

[2019-01-11]

ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73
ルドルフ・ケンペ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1955年6月20日~30日録音

[2019-01-10]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131
ブダペスト弦楽四重奏団 1940年9月9日&10月21日録音

[2019-01-09]

モーツァルト:交響曲第31番ニ長調 K.297 「パリ」
ヨーゼフ・クリップス指揮 ロンドン交響楽団 1951年12月録音

[2019-01-08]

モーツァルト:セレナード第13番ト長調 K.525 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
ゲオルク・ショルティ指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 1958年5月録音

[2019-01-07]

Wilhelm Kempff Piano Recital
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1955年5月録音

[2019-01-06]

J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ 第6部 顕現節「主よ、おごれる敵の迫り来る時」
カール・リヒター指揮 ミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団 (S)グンドゥラ・ヤノヴィッツ (A)クリスタ・ルートヴィヒ (T)フリッツ・ヴンダーリヒ (Bass)フランツ・クラス 1965年2月、3月&6月録音

[2019-01-05]

ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」
カレル・アンチェル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1953年2月録音

[2019-01-04]

R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35
アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 1952年6月13日&16日録音

[2019-01-03]

リスト:交響詩「前奏曲」S.97
カレル・アンチェル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1964年12月録音