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ドヴォルザーク:スラブ舞曲より

ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団 1953年3月23日~25日録音



Dvorak:Slavonic Dances Op.46-1 [Furiant. Presto (C major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46-2 [Dumka. Allegretto scherzando?Allegro vivo (E minor)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46-3 [Polka. Poco Allegro (Am-flat major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.72-8 [Sousedska (A-flat major)]


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ドヴォルザークの出世作

ドヴォルザークは貧乏でした。
ヴィオラ奏者をしたり、教会のオルガニストをしながら創作活動を続けていましたが、それでも生活は苦しくて、政府からの奨学金を得るために作品を出品をしてなんとか食いつないでいました。
そんなドヴォルザークに転機を与えたのが、奨学金獲得のために出品していた作品だったのです。

幸運だったのは、その審査員の中にブラームスとハンスリックがいたことでした。
特に、ブラームスはドヴォルザークの才能を高く評価し、なじみの出版業者だったジムロックに紹介の労をとります。

ジムロックもブラームスからの紹介だと断れなかったのでしょう、早速に「モラヴィア二重唱曲」を出版するのですが、これが予想外に好評で、これをきっかけとしてドヴォルザークの名は広く知られるようになります。
そして、次に企画されたのがブラームスのハンガリー舞曲のような作品で、「スラブ舞曲」として8曲が注文されます。

最初は4手用のピアノ曲集として出版されたのですが、この作品はたちまち人気作品となり、すぐに管弦楽用に編曲されます。
すると、このオーケストラ版も各地のオケが競ってプログラムに取り上げるようになって、ドヴォルザークの名声は世界的に確立されるようになりました。

やはり、人間というのは苦しいときに腐ってしまっては駄目で、そう言うときこそ努力を続けなければいけないのです。
ドヴォルザークはこの幸運のきっかけとなった奨学金獲得のための作品提出を5年も続けていました。この5年の努力が結果としてブラームスの目にとまることにもなったのでしょうし、おそらくはその5年の努力が作曲家としてのドヴォルザークの力量を大きく伸ばすことにも繋がったなったのでしょう。

そして、その実力があったればこそ、ひとたびきっかけを得た後は、そのきっかけを確実な「成功」に結びつけることができたのだと思います。
まさに、スラブ舞曲こそはドヴォルザークの出世作でした


「Decca」での初期の録音を聞き直してみれば、その演奏スタイルの「古さ」に気づかざるを得ません


イッセルシュテットの録音を調べてみると、それが実に様々なレーベルからリリースされていることに驚かされます。ざっと数え上げるだけで「Telefunken」「Decca」「Capitol」「Melodiya」「Mercury」等々です。
言うまでもないことですが、昔は演奏家とレコード会社の「契約」は絶対的なものでしたから、気楽にその「契約」の枠を超えて録音を行うことは出来ませんでした。

例えば、カラヤンとウィーンフィルの関係などはその好例と言えるでしょう。

カラヤンはEMIと契約を結んでいて、ウィーンフィルはDeccaと契約を結んでいました。
ですから、カラヤンがウィーンの国立歌劇場の音楽監督に就任してもウィーンフィルと録音を行うことは出来なかったのです。カラヤンがウィーンフィルと録音を行うためにはDeccaとも契約をかわす必要があったのです。

ですから、いろいろなレーベルで録音を行っているというのは、あちこちから引っ張りだこというわけではなくて、腰を据えて録音活動を行えるような契約が結べていなかったことを意味しているのです。
たとえば、50年代初期の「Decca」との録音を振り返ってみても扱いの悪さは明らかです。
少なくとも、ブラームスやドヴォルザークの舞曲を抜粋したレコードというのはレーベルのレパートリーを確立していく上で重要な役割を果たすものとは言えません。

そう言う意味では、「Capitol」がヨーロッパでのクラシック音楽の録音に取り組み始めた矢先に「EMI」に吸収されたのは、イッセルシュテットにしては不幸な出来事でした。
何故ならば、「Capitol」はレーベルのレパートリーを作りあげていく上での軸となる指揮者としてイッセルシュテットを起用するつもりだったからです。

この「レーベルのレパートリーを作りあげていく上での軸となる指揮者」と言うのは、具体的に言えばEMIの50年代におけカラヤン、60年代におけるクレンペラーを思い出してもらえればいいかと思います。
そう言う意味では1955年の4月と12月に集中的に行われた「Capitol」との録音には強い意気込みをもって臨んだものと思われます。そして、そう言うレベルの録音がこの後も継続的に続けられていれば、イッセルシュテットという人の評価も大きく変わっていたかもしれません。
しかし、その「Capitol」が「EMI」に吸収合併されることで、両者の関係はその2度で終わってしまいました。

その後の録音歴を見てみると、様々なマイナーレーベルでも録音を行っているのですが、50年代の後半にバックハウスの伴奏(ベートーベンのピアノ協奏曲全集)という形で「Decca」と録音し、60年代の後半には同じく「Decca」でべー十ーベンの交響曲全集を録音しています。
ですから、彼の録音歴の背骨らしきものは「Decca」が担っていると言えるのでしょうが、「Decca」の側の彼に対する評価はなかなか定まらなかったようです。

そして、イッセルシュテットにしてみれば「Decca」と継続的な関係を結ぶ事には何の不都合もなかったでしょうから、その曖昧さの原因は「Decca」の側にあったと思わざるを得ないのです。
そう思って、改めてこの「Decca」での初期の録音を聞き直してみて気づくのは、その演奏スタイルの「古さ」です。

おかしな話ですが、今という時代からこういう演奏を聞けばその「古さ」が逆に好ましく思えたりするのですが、これを50年代の初め頃においてみれば、それはひたすら「古かった」はずです。
そう言えば、この時代の北ドイツ放送交響楽団のコンサート・マスターはエーリヒ・レーンで、チェロのトップはアルトゥール・トレースターだったはずです。この二人は戦前のベルリンフィルでも同じポジションにいたプレーヤーです。
戦後、フルトヴェングラーがこのオケにたびたび客演指揮をしたのはそういう事情もあった為だと言われています。

この、良く言えば馥郁とした、悪く言えばボッテリとした響きは、同じ時代に日の出の勢いで登場してきたカラヤン&フィルハーモニア管の響きと較べてみれば明らかに過去のものであり、「Decca」にしても彼らの核を成すアンセルメ&アウイス・ロマンド管の響きとは異質なものでした。
しかし、そう言うスタイルをイッセルシュテットは最後まで変えることはなかったようです。そこには、ドイツ音楽の復興を託されたという自負があったからでしょう。

そんなイッセルシュテットがこの世を去ってから40年以上の時が経て、その時の流れの中でクラシック音楽も様々なムーブメントに翻弄されてもみくちゃにされてきました。
そして、そのもみくちゃにされた果てから過去を振り返ってみれば、こういう古さに懐かしさと大いなる価値を見いだす人もいるのかもしれません。

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