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ラフマニノフ(Sergey Rachmaninov)|ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番
P:ラフマニノフ オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1941年録音
Rachmaninoff:ピアノ協奏曲第4番「第1楽章」
Rachmaninoff:ピアノ協奏曲第4番「第2,3楽章」
ライ麦のささやき

ラフマニノフはロシア革命の混乱でアメリカに亡命した後パッタリと創作の筆が止まってしまいます。それは、生きていくために創作活動よりはコンサートピアニストとしての活動を優先させなければならなかったからですが、実は原因はそれだけではなかったようです。
有名なエピソードがあります。
友人のメトネル「どうして作曲しないのか?」と聞かれたラフマニノフは次のように答えたと言われています。
「どうやって作曲するというんだ、メロティーがないのに… それに長い間ライ麦のささやきも白樺のざわめきも聞いていないんだ」
ロシアという根っこから引き抜かれたラフマニノフには霊感がふってこないと言うことなのでしょうか。
それでも、この友人からの言葉に目が覚めたのか、ラフマニノフは再び創作活動に取りかかります。ただし、まったく新しいものを一から書き上げるのでなくて、亡命前に着手しながら放置されていた作品をもう一度取り出して完成させます。それが、この第4協奏曲です。
初演ラフマニノフ自身のピアノとレオポルト・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団によって27年3月18日に行われましたが、ブーイングはなかったもののあまりパッとした反応はかえってきませんでした。理由は、とにかくとりとめのないほどの長さにあることは明らかでした。ラフマニノフはメトネルに対する手紙のな中で「この作品は恐らく『指環』のように何晩かに分けて演奏しなければならないでしょう」とぼやいています。
そして、またまた改訂作業が始まる事になります。初演のすぐ後にバッサリという感じで大幅なカットを行っているのですが、それでも満足しなかったラフマニノフは最晩年の41年にも大幅な改定を行ってそれが現行版となっています。
自作自演
作曲家自身による演奏といえば、それだけで何か権威がありそうなのですが、ほとんどはあまり上手くいっていないことが多いようです。例えば指揮者としても活躍したR.シュトラウスでさえもあまり面白い演奏にはなっていません。もしも、マーラーがもう少し長生きしてくれて録音を残してくれていれば面白かったかもしれませんが、それは「無い物ねだり」というものです。
創作物というものは、創作者の手を放れた瞬間に一人歩きするものなのでしょう。また、一人歩きするからこそ「演奏」という行為に意味が生ずるのだとも言えます。
しかし、ラフマニノフだけは少し雰囲気が違います。
作曲家による自作自演の録音というのは資料的な面白さでカタログに残っている事が多いのですが、ラフマニノフに限って言えば、それは数ある同曲異演をおしのけて、21世紀の今日に至るまでその作品を代表する録音の一つであり続けてきました。
これは考えてみれば大変なことです。
某大手音楽雑誌が名曲名盤選びをすれば、その貧しい音質にも関わらずラフマニノフの録音は常に上位に位置するのです。
理由はピアニストとしての技量の高さにあることは言うまでもありません。彼は偉大な作曲家でありましたが、もしかしたらそれ以上に偉大なピアニストだったかもしれないのです。
音符を音にすることすらかなりの困難をともなう作品を、ラフマニノフは余裕を持って弾きこなして、そして作品の中にこめられたロシア的な郷愁を歌い上げていきます。
凡百のピアニストには真似のできるものではないのです。
さらに、第1や第4の協奏曲はそれほど演奏もされないし録音も少ないだけに、その価値は大きいと言えます。
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よせられたコメント
2010-04-26:Sammy
- 録音の乏しさはいかんともしがたいのですが、作品の持つ、一聴陳腐とも思われるセンチメンタリズムの装いの中に包まれた屈折した痛みが、意思的なピアノによってストレートに描きこまれていると思います。この録音から二十世紀音楽としての作品の魅力が十分に伝わってきます。
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