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ベートーベン:劇音楽「エグモント」 Op. 84 序曲

アンドレ・クリュイタンス指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年3月録音

Beethove:Egmont, Op.84 [Overture]


尊敬するゲーテから依頼された音楽

この序曲はゲーテの戯曲「エグモント」のために作曲されたものなのですが、今日ではこの序曲だけがよく演奏されます。
音楽全体は序曲と9曲の付随音楽からなり、通して演奏すると40分程度になル、規模の大きな音楽です。


  1. 歌曲: Vivace
    第1幕第3場の民家の場面で、クレールヒェンが糸を巻きながら得意の「兵隊さんの歌」を歌う。

  2. 幕間の音楽1: Andante
    失恋したブラッケンブルグが自殺してしまおうと悩んで幕が下りると演奏される幕間の音楽。

  3. 幕間の音楽2: Larghetto
    エグモントの独白の後に第2幕の幕が下りると演奏される幕間の音楽

  4. 歌曲:Andante con moto
    第3幕第2場でエグモントを待つクレールヒェンが母に向かって歌う歌曲

  5. 幕間の音楽3: Allegro - Marcia
    第3幕の幕が下りると演奏される幕間の音楽で、エグモントからの愛の言葉を喜ぶクレールヘェンの心の余韻を伝える。

  6. 幕間の音楽4: Poco sostenuto e risoluto
    第4幕のエグモントの台詞が終わらないうちに演奏される幕間の音楽。音楽が力なく終了するとそのまま第5幕に進んでいく。

  7. クレールヒェンの死: Clarchens Tod
    第5幕第3場でクレールヒェンが毒をあおって自殺した後に流れる音楽。オーボエが哀しみの旋律を美しく歌い上げる。

  8. メロドラマ:Poco sostenuto
    第5幕の獄中の場で、エグモントのモノローグとともに演奏される音楽

  9. 勝利のシンフォニア: Allegro con brio
    エグモントの最後の台詞「最愛のものを救うために、喜んで命を捨てること、わがごとくあれ」の後に幕が下り始めると演奏される音楽。序曲のコーダと同一の楽曲であるが、こちらが先に完成されたと言われている。



この戯曲に音楽をつけるように依頼したのはゲーテ本人であり、いろいろあっても彼のことを深く尊敬していたベートーベンは喜んでその仕事を引き受けたのです。
ただし、残念ながら戯曲の方はそれほど成功を収めませんでした。その事もあって、今日では序曲だけが演奏される機会が多いと言うことなのでしょう。



恣意的と思えるほどに動かないテンポが不思議な迫力を生み出す

交響曲全集と同じ枠組みの中で録音されたものですから、当然の事ながらそれと同じような整然とした佇まいの音楽になっています。
この一連の録音はクリュイタンスという指揮者からしてみれば、かなり無理をした録音だったのではないかと思います。

ベルリンフィルによる初めての交響曲全集の録音と言うことで、出来る限り恣意性の混ざり込まない造形を追求したことが手に取るように分かります。そのため、おかしな話ですが、恣意的と思えるほどにテンポも動かさない演奏になっているのです。
そして、その事がもたらす不自然さゆえにこの一連の録音を否定的にとらえる人もいます。

考えて見れば、そう言う音楽の作り方はクリュイタンスにとっては得意とすることではなかったはずです。
彼は、そういう風にアンサンブルを整えてキッチリと造形していくよりは、その場のインスピレーションに基づいてオケをドライブしていくのが得意な人でした。

しかし、結果として、その恣意的と思えるほどに動かないテンポが不思議な迫力を生み出すことになったことも事実です。
それは、このエグモントの序曲でも同様で、コーダに突入してもぐっと腰を落とすことで、思わぬ形で「人生」を、つまりは頑として動かない「運命の酷薄さ」みたいなものを感じさせてしまう力を持ってしまっているのです。

それと、もう一つ付け加えておかなければいけないのはる底光りするようなベルリンフィルの響きの素晴らしさです。
そして、緊張感と凝縮力を失わないピアニッシモの美しさも出色です。カラヤン統治下のベルリンフィルの機能の凄さを見せつけられます。

この演奏を評価してください。

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2021-03-20:Ken





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