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オーマンディ |ベートーベン:交響曲第7番 イ長調 作品92
ベートーベン:交響曲第7番 イ長調 作品92
オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1964年4月27日録音 Beethoven:Symphony No.7 in A major , Op.92 [1.Poco Sostenuto; Vivace]
Beethoven:Symphony No.7 in A major , Op.92 [2.Allegretto]
Beethoven:Symphony No.7 in A major , Op.92 [3.Presto; Assai Meno Presto; Presto]
Beethoven:Symphony No.7 in A major , Op.92 [4.Allegro Con Brio]
深くて、高い後期の世界への入り口
「不滅の恋人」は「アマデウス」と比べるとそれほど話題にもなりませんでしたし、映画の出来そのものもいささか落ちると言わなければなりません。しかし、いくつか印象的な場面もあります。(ユング君が特に気に入ったのは、クロイツェル・ソナタの効果的な使い方です。ユング君はこの曲が余りよく分からなかったのですが、この映画を見てすっかりお気に入りの曲になりました。これだけでも、映画を見た値打ちがあるというものです。)
それにしても、「アマデウス」でえがかれたモーツァルトもひどかったが、「不滅の恋人」でえがかれたベートーベンはそれに輪をかけたひどさでした。
第9で、「人類みな兄弟!!」と歌いあげた人間とは思えないほどに、「自分勝手」で「傲慢」、そしてどうしようもないほどの「エキセントリック」な人間としてえがかれていました。一部では、あまりにもひどすぎると言う声もあったようですが、ユング君は実像はもっとひどかったのではないかと思っています。
偉大な音楽家達というものは、その伝記を調べてみるとはっきり言って「人格破綻者」の集まりです。その人格破綻者の群の中でも、とびきりの破綻者がモーツァルトとベートーベンです。
最晩年のぼろ屑のような格好でお疾呼を垂れ流して地面にうずくまるベートーベンの姿は、そのような人格破綻者のなれの果てをえがいて見事なものでした。
不幸と幸せを足すとちょうど零になるのが人生だと言った人がいました。これを才能にあてはめると、何か偉大なものを生み出す人は、どこかで多くのものを犠牲にする必要があるのかもしれません。
この交響曲の第7番は、傑作の森と言われる実り豊かな中期の時期をくぐりぬけ、深刻なスランプに陥ったベートーベンが、その壁を突き破って、後期の重要な作品を生み出していく入り口にたたずむ作品です。
ここでは、単純きわまるリズム動機をもとに、かくも偉大なシンフォニーを構築するという離れ業を演じています。(この課題に対するもう一つの回答が第8交響曲です。)
特にこの第2楽章はその特徴のあるリズムの推進力によって、一つの楽章が生成発展してさまをまざまざと見せつけてくれます。
この楽章を「舞踏の祝祭」と呼んだのはワーグナーですが、やはり大したものです。
そしてベートーベンはこれ以後、凡人には伺うこともできないような「深くて」「高い」後期の世界へと分け入っていくことになります。
心地よく、そして安心して音楽に浸ることができる演奏
エロイカの項でも強調したのですが、オーマンディのベートーベンは世間で言われるほどには悪くはありません。今回、吉田大明神にぼろくそに言われたエロイカに続いて2番と8番を聞いてみたのですが、実にオーソドックスに仕上がっていて見事なものです。
確かに、こういう演奏を取り上げて、無個性だという批判はあるでしょう。しかし、こういうゆったりとしたテンポと豊かな響きできちんとベートーベンの音楽を仕上げてくれていれば、心地よく、そして安心して音楽に浸ることができます。とりわけ、昨今のピリオド演奏のようにいたずらにテンポをあげたり妙にぎくしゃくとしたエッジを効かせたりして、それを「個性的」と自賛しているならば、こういう「無個性」な演奏の方がよほど優れものです。
聞けば分かることですが、2番の第2楽章なんかだと大トロの演奏になっていると思いきや、意外なほどにすっきりとした「歌」に仕上がっています。つまりは、オーマンディという人は世間で思われているほどに「外連味」のない演奏をする人なのです。楽譜に書かれてあることを、何も足さず何も引かず、あるがままに、ただしフィラデルフィアのゴージャスな響きでもって演奏した人でした。そして、「エロイカ」のような作品だと、そのスタイルに対していささか物足りなさを感じる人がいたとしても、こういう2番や8番のような脇役でればなんの不足もないでしょう。
とりわけ、2番の交響曲はハイドンの偉大な交響曲の系譜を引き継ぐ、大傑作であったことがよく分かる演奏です。8番もまた引き締まった演奏で。第3楽章のホルンのソロなどを聞くと、フィラデルフィア管の個々のプレーヤーの能力の高さを思い知らされます。
ただし、この7番に関しては多少の不満は残るかもしれない。それは、この音楽に必要な推進力がいささか希薄な感じがするのです。ただし、それは、いささかゆっくり目のテンポであるがためと言うような話ではなく、音楽そのものの内部からわき上がる推進力が希薄なのです。いってみれば、個々のプレーヤーはオーマンディの指揮棒にキッチリと追従してきちんと演奏しているのですが、それだけでは不足する部分があると言うことです。
かといって、オケの首根っこをつかまえて引きずっていくような力業はオーマンディにはないので、この予定調和のような淡々とした演奏にはいささか不満が残ると言うことです。
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