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ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1957年12月9日~11日録音

Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World" [1.Adagio - Allegro molto]

Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World" [2.Largo]

Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World" [3.Molto vivace]

Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World" [4.Allegro con fuoco]


望郷の歌

ドヴォルザークが、ニューヨーク国民音楽院院長としてアメリカ滞在中に作曲した作品で、「新世界より」の副題がドヴォルザーク自身によって添えられています。

この作品はその副題が示すように、新世界、つまりアメリカから彼のふるさとであるボヘミアにあてて書かれた「望郷の歌」です。

この作品についてドヴォルザークは次のように語っています。
「もしアメリカを訪ねなかったとしたら、こうした作品は書けなかっただろう。」
「この曲はボヘミヤの郷愁を歌った音楽であると同時にアメリカの息吹に触れることによってのみ生まれた作品である」

その言葉に通りに、ボヘミヤ国民楽派としてのドヴォルザークとアメリカ的な語法が結びついて一体化したところにこの作品の一番の魅力があるといえます。
さらに、過去の2作がかなりロマン派的な傾向を強めていたのに対して、この9番は古典的できっちりとしたたたずまいを見せていることも、分かりやすさと親しみやすさを増しているようです。

初演は1883年、ドヴォルザークのアメリカでの第一作として広範な注目を集め、アントン・ザイドル指揮のニューヨーク・フィルの演奏で空前の大成功を収めました。


強烈な表現の振幅の大きさ

2月のはじめにかかったインフルエンザは大したことがなかったのですが、それに伴って誘発した喘息に苦しんでいます。かれこれ2週間ほど経つのですが、本当に「微速前進」としか言いようのない回復状態です。少しずつ良くなっているのは間違いなのですが、咳き込む状態は延々と続いているので気力・体力ともに消耗状態が続いています。
そんなわけで、このくすぶり状態を吹っ飛ばしてくれるような演奏はないものかと探していて見つけ出してきたのが、シルヴェストリ&フランス国立放送管弦楽団による「新世界より」です。

シルヴェストリと言えば一部では「爆裂指揮者」というレッテルを貼られているのですが、あれは最晩年(とは言っても50代でしたが)の「老醜」であって、この時代のシルヴェストリは「正しく爆発」しています。
1957年と言えば、長くルーマニアでくすぶっていたシルヴェストリがロンドンでのコンサートで大成功を収めて、一気に西側にデビューを果たした年です。そして、EMIがそんなシルヴェストリに目をつけて、ロシア・スラブ系の音楽を任せられる指揮者として契約をするという幸運に恵まれました。
考えてみれば、これは破格のことだと思うのですが、それだけ57年の成功が素晴らしかったのでしょうし、さらには、モノラルからステレオに移行する時代であり、どのレーベルもカタログのラインナップを再構築しなければいけない時期と重なったことも味方したのでしょう。

それにしてもこの「新世界より」は強烈です。その表現の振幅の大きさは半端ではありません。
もちろん、オケの精度という点では問題は山ほどあるのですが、そんな事は「些細」な事だと思えるほどの強烈な表現力を内包しています。

ただ、不思議なのは、このモノラル録音の2年後に、全く同じ顔ぶれでステレオによる再録音を行っている事です。

考えてみれば、何故に57年の録音がモノラルで収録されたのかは謎です。
EMIにしてみればステレオによるカタログを充実させるためにシルヴェストリと契約したはずなのに、この1曲だけがモノラルで録音された理由が全く想像できません。実際、チャイコフスキーの後期の3曲は57年の2月に一気にステレオで録音されているのです。

同じ年の12月に録音された「新世界より」だけがモノラルというのはわけが分かりません。

ただし、聞き手である私たちにとっては、2年という短い期間を隔てて、モノラルとステレオによる録音を聞くことが出来るという「楽しみ」が持てのは幸いでした。
どちらも強烈な演奏ではあるのですが、より尖っているのはモノラルの57年盤です。そこでは、それぞれの楽章がもっている方向性が極限まで肥大化されていて、突っ込むところはトスカニーニも真っ青・・・位の勢いで突き進んでいきますし、ネッチリと歌うところは極限まで腰を下ろして歌い上げています。

それと比べると、ステレオによる59年盤は、そう言う細部へのこだわりが多少は薄らいで作品全体としての統一感を少しは意識した仕上がりになっています。
音質的にもかなり向上していますから、シルヴェストリの「新世界より」と言えば、一般的にはこの59年盤を取るのが普通なのでしょう。しかし、異様とも思えるモノラル盤の強烈な表現にも捨てがたい魅力があります。

やはり二つ残って良かったです。

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2016-02-23:emanon





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