クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでバリリ四重奏団のCDをさがす
Home|バリリ四重奏団|モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515

モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515

バリリ弦楽四重奏団 (2nd Va)Wilhelm Huebner 1953年録音

Mozart:String Quintet No.3 in C major, K.515 [1.Allegro]

Mozart:String Quintet No.3 in C major, K.515 [2.Menuetto. Allegretto]

Mozart:String Quintet No.3 in C major, K.515 [3.Andante]

Mozart:String Quintet No.3 in C major, K.515 [4.Allegro]


モーツァルトならではのファンタジーがあふれ出すスタイル

弦楽四重奏と言えばヴァイオリン2丁にヴィオラ、チェロそれぞれ1丁と相場は決まっています。しかし、五重奏となるといろいろなバリエーションが出てきます。
低声部を強化するためにチェロを追加するのか、はたまたオケの弦楽五部のようにコントラバスを追加するのか、または、内声部を強化するためにヴィオラを追加するのか、一口に弦楽五重奏と言っても、カルテットを基本としながらも、そこに何を追加するのかで音楽の雰囲気は随分と変わってきます。
そこでモーツァルトですが、彼はディヴェルティメントの編曲版も加えると生涯に弦楽五重奏を6曲書いていますが、その全てがヴィオラを追加するスタイルで書かれています。
こんな事を書くとお叱りを受けるかもしれませんが、どうも弦楽四重奏というスタイルはモーツァルトにとって窮屈なスタイルだったようです。

よく知られている話ですが、スコアを書くときには作品はすでに頭の中で仕上がっていたと言われるモーツァルトも、弦楽四重奏だけは何度も書き直して推敲した後が残っていました。つまり、あふれ出すイメージとファンタジーだけでは作品としては完成しきれない厳格さを弦楽四重奏はもっているということです。そう言う意味で、このスタイルを完成させたのがベートーベンだったというのは実に納得のいく話です。
ところが、そこにヴィオラを1丁追加するだけで、モーツァルトは途端にその窮屈さから解放され、モーツァルトならではのファンタジーがあふれ出します。

弦楽四重奏ではどこか窮屈に身を屈めていたのが、五重奏になると元の自由を取り戻しているように聞こえます。
もちろん、モーツァルトの弦楽四重奏が駄作であるはずはありませんが、しかし。そこにクラリネットを追加したり、ヴィオラを追加して五重奏にした方が、はるかにモーツァルトらしい音楽が聞けるように思えますが、いかがなものでしょうか。

弦楽五重奏曲第2番 ハ短調 K.406 (516b)


弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515


弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516



ウィーン時代の終わりに、モーツァルトはディヴェルティメントの改作も含めて、3つの弦楽五重奏曲を残しています。おそらくは、人気絶頂だった時代に3曲のピアノ協奏曲を筆写譜として販売して大成功したことを思い出しての試みだと言われています。しかし、すでにウィーンの公衆から見放されていたモーツァルトの音楽にお金を出す人はなく、結局は叩き売りの状態で出版社に譲り渡すことになりました。
しかし、ハ長調とト短調の二つの作品こそは、人類が書いた最高の室内楽作品の一つであることは疑う余地がありません。あのアインシュタインは、ハ長調のクインテットの冒頭を「誇らかで、王者のようで、運命を孕んでいる」と述べています。そして、ト短調の冒頭は「かなしさは疾走する。涙は追いつけない。(小林秀雄)」のです。
ディヴェルティメントを改作したハ短調は作曲家としての良心にいささか反する面はあるでしょうが、それでも行事の終わりとともに消え去る運命にある機会音楽としてのディヴェルティメントを永遠に残したいという思いはあったでしょうから、悪い作品ではありません。特にそのフィナーレは「ハ短調コンチェルトの精神を先取りしている」とアインシュタインは述べています。


ご苦労さんな仕事

ウェストミンスター・レーベルにとって室内楽の録音は表看板でした。
ですから、ベートーベンの弦楽四重奏曲に関してはウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団とバリリ弦楽四重奏団を使って2種類の全集を完成させています。
シューベルトに関してはウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団を使って、これもまた全集を完成させています。
ハイドンに関してはさすがに全集とまではいきませんが、それでも主要な作品をウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団をつかって網羅しています。

ところが、モーツァルトに関しては随分と変則的な形で弦楽四重奏曲を完成させたことは既にふれているとおりです。簡単に振り返っておくと以下のようになっているのです。

1951年にアマデウス弦楽四重奏団を使って録音を開始したにもかかわらずハイドンセットの3曲とプロシア王セットの1曲だけで終わってしまいます。仕方がないので(?)、翌52年にからは、レーベル起ち上げ時から関係のあったウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団にお願いしてハイドンセットの2曲を録音します。
しかし、シューベルトやベートーベンの全集を完成させるために忙しかったこの楽団には、さらにモーツァルトにも取り組むのはいささか無理があったようで、録音はこの2曲で終わってしまっています。
しかし、1956年はモーツァルトの生誕200年のメモリアルイヤーを前にして全集を完成させることは至上命題だったはずです。
そこで担ぎ出されたのがバリリ弦楽四重奏団だったのです。

53年にはハイドンセットで1曲だけ残されていた第14番を録音します。
54年にもプロシア王セットで1曲だけ残されていた第21番を録音しています。
そして、1956年のモーツァルトイヤーを前にした55年には残された初期作品13曲と第20番のホフマイスターを録音してコンプリートを完成させます。

おそらく、こういう形でカタログの欠落をうめていく仕事はそれほど楽しいものとは思えないのですが、それでも決してクオリティが落ちないのがバリリという人間の偉いところだ、みたいなことも以前にふれたとおりです。
ところが、さらに調べてみると、弦楽五重奏曲においても同じような仕事をしていることに気づきました。

このジャンルもまた、レーベルにとっては1956年を前にコンプリートしたかったことは間違いありません。
2も関わらず、このジャンルもまた、おいしそうな作品はウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団が録音をし、それ以外の作品は放置されていたみたいなのです。
そして、その放置されていた作品もまたバリリによって穴埋めがされているのです。

ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団



  1. モーツァルト:弦楽五重奏曲第6番 変ホ長調 K.614・・・1949年録音

  2. モーツァルト:弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516・・・1951年録音



バリリ弦楽四重奏団



  1. モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515・・・1953年録音

  2. モーツァルト:弦楽五重奏曲第5番 ニ長調 K.593・・・1954年録音

  3. モーツァルト:弦楽五重奏曲第1番 変ロ長調 K.174・・・1955年録音

  4. モーツァルト:弦楽五重奏曲第2番 ハ短調 K.406 (516b)・・・1955年録音



バリリ達には、よくぞご苦労さんな仕事を引き受けてくれたものだと感謝したいと思いましたね。

追記


一般的にこの作品は以下のような配列になっています。

  1. Allegro

  2. Andante

  3. Menuetto. Allegretto

  4. Allegro


理由は分かりませんが、何故かバリリは以下のような配列で演奏して録音したようです。

  1. Allegro

  2. Menuetto. Allegretto

  3. Andante

  4. Allegro


理由は分かりませんが、ご指摘いただいた方に感謝いたします。

Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでもアップしていますので、是非チャンネル登録してください。

関連記事(一部広告含む)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



2571 Rating: 5.3/10 (47 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2020-08-10]

J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調 BWV1051
アドルフ・ブッシュ指揮 ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ 1935年9月9日~17日録音

[2020-08-09]

J.S.バッハ:教会カンタータ 「まじりけなき心」 BWV 24
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (Org)Hannes Kastner (A)Eva Fleischer (T)Gert Lutze (Bass)Hans Hauptmann 1952年6月20日録音

[2020-08-08]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)ハイメ・ラレード:シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1960年12月24,&26日録音

[2020-08-07]

サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付き」
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1952年11月15日録音

[2020-08-06]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北西ドイツ放送交響楽団 1950年ライヴ録音

[2020-08-05]

Pieces by Rene Leibowit(2)~ボロディン:歌劇「イーゴリ公」・だったん人の踊り」/モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
ルネ・レイボヴィッツ指揮 パリ・コンセール・サンフォニーク協会管弦楽団 1960年録音

[2020-08-04]

ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
ピエール・モントゥー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1957年録音

[2020-08-03]

J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV1050
アドルフ・ブッシュ指揮 (P)ルドルフ・ゼルキン (Flute)マルセル・モイーズ ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ 1935年9月9日~17日録音

[2020-08-02]

J.S.バッハ:教会カンタータ第12番 「泣き、歎き、憂い、怯え」BWV12
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (Org)Diethard Hellmann (A)Soloist from the Thomanerchor Leipzig (T)Gert Lutze (Bass)Friedrich Hartel 1947年6月録音

[2020-08-01]

モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1955年7月録音