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ドヴォルザーク:交響曲第8番

ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨークフィル 1948年2月15日 ニューヨークでのライブ録音




一度聞けば絶対に忘れないほどの美しいメロディーです

メロディーメーカーと言われるドヴォルザークですが、ここで聞くことのできるメロディーの美しさは出色です。
 おそらく一度聞けば、絶対に忘れることのできない素晴らしいメロディーです。

 ユング君がこのメロディーに初めてであったのは、車を運転しているときでした。いつものようにNHKのFM放送を聞きながら車を走らせていました。おそらく何かのライヴ録音だったと思います。
 第2楽章が終わり、お決まりのように観客席の咳払いやざわめきが少し静まったころを見計らって、第3楽章の冒頭のメロディーが流れはじめました。
 その瞬間、ラジオから流れる貧弱な音でしたが、ユング君は耳が釘付けになりました。

 それは、今まで聞いたことがないような、この上もなく美しく、メランコリックなメロディーでした。
 その頃は、クラシック音楽などと言うものを聞き始めて間もない頃で、次々と新しい音楽に出会い、その素晴らしさに心を奪われると言う、本当に素晴らしい時期でした。そんな中にあっても、この出会いは格別でした。

 実は、車を運転しながら何気なく聞いていたので、流れている音楽の曲名すら意識していなかったのです。第4楽章が終わり、盛大な拍手が次第にフェイドアウトしていき、その後アナウンサーが「ドヴォルザーク作曲、交響曲第8番」と読み上げてくれて、初めて曲名が分かったような次第です。

 翌日、すぐにレコード屋さんにとんでいったのですが、田舎の小さなお店ですから、「えぇ、ドヴォルザークって9番じゃなかったですか?」等とあほみたいな事を言われたのが今も記憶に残っています。
 クラシック音楽を聴き始めた頃の、幸せな「黄金の時代」の思い出です。

ワルターのドヴォルザーク


 ワルターは最晩年のコロンビア響との録音でもこの8番を取り上げています。しかし、あちこちでふれていますが、ワルターの真価を知るには、ニューヨークフィルとの演奏を聞くべきでしょう。確かに音質面では晩年のステレオ録音にはかないませんが、何と言っても音楽に勢いと若さがあります。
 このドヴォルザークでも、民族的な情緒を前面に出すのではなくて、あくまでもロマン派の堂々たる交響曲として演奏されているところは同じですが、例えば大草原を吹き抜けていく風のようなものを感じ取らせてくれるのはニューヨークフィルとの録音の方です(例えば第2楽章のあちらこちら・・・)。
 また、第4楽章では、例のコガネムシのテーマの直前でガクンとテンポを落としてみせるなど、ライブならではの役者ぶりも見せてくれています。こうしてくれると、誰だって「なるほど、なるほど、だからこのシンフォニーはコガネムシとあだ名が付いているのか」と納得がいきます。

 それから音質の方も、パチパチという針音は気になるかもしれませんが、その向こうから聞こえてくる音は半世紀前とは思えないほどの艶やかさと力強さがあります。一聴に値する演奏です


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