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ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団(Vienna_Concert_House_Quartet)|ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調, Hob.III:63(Op.64-5) 「雲雀」(Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark")
ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調, Hob.III:63(Op.64-5) 「雲雀」(Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark")
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年5月録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on May, 1954)
Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark" [1.Allegro moderato]
Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark" [2.Adagio]
Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark" [3.Menuet. Allegretto - Trio]
Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark" [4.Finale. Vivace]
ハイドン:弦楽四重奏曲「第2トスト四重奏曲」, Op.64

作品64の「第2トスト四重奏曲」には、トストからの依頼があったという記録は残っていません。
ヨハン・トストというのはずいぶんと面白い人物だったようで、ヴァイオリンを演奏しながら実業家としても活動していて、軍需品の政府納入によって財をなしたようです。そして、ボヘミアなどに織物工場を形成して成功を収めます。そして、エステルハージ家の家事管理人だった「マドモワゼル・ナネッテ」と結婚をします。
ちなみにマドモワゼル・ナネッテは、侯爵夫人が亡くなった後に家事全般を取り仕切った女性で、ハイドンは彼女のことを「女主人」と読んでいました。
「第2トスト四重奏曲」はそんなトストとマドモワゼル・ナネッテが結婚した年に作曲されています。
その結婚に際して彼らがハイドンに作曲を依頼したという記録は残っていないのですが、この曲集にはトストが限定的なものながら権利を持っていました。
おそらく、マドモワゼル・ナネッテからの何らかの依頼があったものだと考えられます、と、いうことでこの曲集もまた「トスト四重奏曲」と呼ばれるようになったよりました。
なおこの曲集のややこしいのは作品の並び順です。
ハイドン全集では、曲順はHob.III:65,68,67,66,64,63という並び方を採用しています。
初版はハイドンの許諾も得て「ヨハン・トスト氏に献呈 作品65」として出版されていて、Hob.III:65,68,67,66,63,64という順番だったようです。
それでは、Hob.III:63,64,65,66,67,68という並び方は何なのかというと、ザロモン・コンサートでの演奏譜に基づいて出版されたプレイエル全集版に基づくものだそうです。
このあたり、本当にややこしい!!
ここではハイドン全集に倣っておきます。
- ハイドン:弦楽四重奏曲第63番 ニ長調「ひばり」 Op.64-5, Hob.III:63
「ひばり」としてよく知られています。冒頭の雲雀の主題は印象的で、明快なメロディが楽しい音楽です。この第1楽章は変則的なソナタ形式となっています。アダージョ楽章とフィナーレは三部形式でメヌエットは第3楽章におかれています。
- ハイドン:弦楽四重奏曲第64番 変ホ長調 Op.64-6, Hob.III:64
第1楽章はソナタ形式で、展開部では対位法的な書法が特徴的です。第2楽章は表情豊かな短調の世界が展開されます。メヌエットは第3楽章におかれトリオを二つ持ちます。
フィナーレはハイドンにとっては定型とも言うべきプレスト・ロンドで、どこかオーケストラ的な響きになっています。
- ハイドン:弦楽四重奏曲第65番 ハ長調 Op.64-1, Hob.III:65
両端楽章がソナタ形式で、緩徐楽章が第3楽章におかれています。この緩徐楽章は変奏曲形式で美しく魅力的です。第2楽章はメヌエット楽章です。
- ハイドン:弦楽四重奏曲第66番 ト長調 Op.64-4, Hob.III:66
第1楽章はソナタ形式で、第2主題が属短調で開始されるのは初期の手法を思い出させます。第2楽章はメヌエット楽章で、第3楽章のアダージョは三部形式で美しい楽章です。
終楽章はノットゥルノ第7番を思い出させるジーグ楽章に基づくソナタ形式です。
- ハイドン:弦楽四重奏曲第67番 変ロ長調 Op.64-3, Hob.III:67
両端楽章はソナタ形式で、とりわけ第1楽章は多様な楽想を持っています。第2楽章はアダージョ楽章で三部形式と変奏曲形式が混合したような形式です。第3楽章のメヌエットはリズム的な対比が特徴的です。
- ハイドン:弦楽四重奏曲第68番 ロ短調 Op.64-2, Hob.III:68
第1楽章はかなり自由な構成によるソナタ形式で、終楽章は舞曲的な雰囲気が支配的なソナタ形式です。第2楽章のアダージョは2主題による変奏曲形式となっています。
第3楽章のメヌエットはリズム感の鋭いモティーフを軸として構成されています。
街の辻で音楽を楽しげに演奏するような心
ウィーンの伝統として、「ハウスムジーク(家庭音楽)」の親密さを楽しむということがありました。
しかしウィーンフィルの金看板を背負わされたエリート四重奏団は次第にそういう親密さとは距離を置くようになります。彼らはいつしかジュリアードのようなハイテクカルテットを意識せざるを得なくなっていくのでした。
そのような中で、ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団はコンサートマスターが中心となったエリート四重奏団ではなかったので、「ウィーンフィル」という金管版を背負う必要はありませんでした。
第1ヴァイオリンのカンパーがリードしつつも、内声(第2ヴァイオリン、ヴィオラ)やチェロがそれを温かく支え、一体感のあるアンサンブルを構築していました。
彼らは優れた芸術的な資質は持っているものの、心の奥には街の辻で音楽を楽しげに演奏するような心を失う事はなかったのです。
彼らの演奏するハイドンやベートーベン、そしてモーツァルトなどには「我らが町の音楽」という強い自負に裏打ちされた自由さが溢れています。
そして、シューベルトの音楽などはもとからが「ハウスムジーク」なのですから、その愛称は抜群でした。
ウィーンの伝統である「ハウスムジーク(家庭音楽)」の親密さを大事にし続けた魅力があふれています
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