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聖マルティン修道院合唱団(Benedictine Monks of St. Martin, Beuron)|グレゴリオ聖歌:Antiphonae finalis B.M.V
グレゴリオ聖歌:Antiphonae finalis B.M.V
マウルス・プファフ神父指揮 ベネディクト派ボイロン聖マルティン修道院合唱団 1957年9月6日録音
Antiphonae finalis B.M.V:Antiphona: Alma Redemptoris Mater / Oratio: Gratiam tuam
Antiphonae finalis B.M.V:Antiphona: Ave Regina caelorum / Oratio: concede, misericors Deus
Antiphonae finalis B.M.V:Antiphona: regina caeli laetare / Oratio: Deus, qui per resurrectionem
Antiphonae finalis B.M.V:Antiphona: Salve, Regina / Oratio: Omnipotens sempiterne Deus
西洋音楽の源流
グレゴリオ聖歌といえば西洋音楽の源流といわれるので、どこかでアっプしておかなければとは思っていました。
しかし、パブリックドメインとなっている適当な音源がなかなか見つからなかったのと、何よりも私自身がグレゴリオ聖歌についてほとんど知識を持っていないことがそれに重なって延び延びになっていました。
ですから、アルヒーフレーベルが設立当初に録音した音源を入手してからも、後者の理由がどうしてもクリアできないためにその義務が果たせずにいました。
でも、やはり、これは義務でしょうね。
クラシック音楽の世界をとりあえずは概観できるようなサイトを作るのが目的なのですから、そのスタート地点が「空白」ではやはり困ります。
と言うことで、とにかくパブリックドメインとなった音源が入手できたのですから、とりあえずはアップすることにしました。詳しいことを知りたい方は
Wikipediaあたりでもご覧ください。
ただし、それをざっと眺め渡してみても、グレゴリオ聖歌とはどういうものなのかはよく分かりませんでしたが・・・(^^;
ただ、基本的に押さえておくべき事が二つあることだけは、何となく分かりました。
まず一つめは、グレゴリオ聖歌には「これこそがオリジナルだ!!」という「原典」などというものは存在しない・・・と言うことです。
グレゴリオ聖歌という呼び名は、古い時代から各地の教会で様々な形で歌われていた聖歌を教皇グレゴリウス1世が編纂してまとめた事に由来します。ですから、普通ならばその「まとめたもの」が「原典」と言うことになるのですが、事はそれほど簡単ではないらしいのです。
まずは、現在の研究によると「教皇グレゴリウス1世が編纂してまとめた」という伝承そのものに疑問が呈されています。いわゆる「原典」の根拠が揺らいでいるのです。
さらに致命的なのは、それらの聖歌は最初は「楽譜」ではなく「口承」で受け継がれたという事実です。
子供の遊びに「伝言ゲーム」というものがあります。10人も伝言すれば最後はほとんど原形をとどめないのが一般的です。
グレゴリオ聖歌は専門の修道士が「聖なる勤め」として引き継ぐのですからかなり正確に口承されたでしょうが、それでも100年、200年も経れば「変わらない」方が不思議です。その証拠に、修道会が変われば音楽の形は随分異なったものになってしまいました。
さすがにこれはまずいと言うことで、ある時代からは高価な羊皮紙を使ってそれぞれの修道会が自分たちのところで伝わっている歌い方を記号化して後世に残す試みがなされました。この記号化された楽譜が「ネウマ譜」と呼ばれるものです。
なんだ、それならば、源流部分とは多少の差異はあっても、とりあえずは記号化された「ネウマ譜」を「原典」と承認すればいいじゃないか、と思われるかもしれません。
ところが、これもまたそれほど簡単な話ではないようなのです。
なぜならば、このネウマ譜は今の五線譜のように体系化された共通認識がなかったからです。ですから、これまた修道会ごとに大きな違いが生じてしまったようなのです。
そして、18世紀にはいると、このネウマ譜の研究が進んで少しずつ共通認識を作り上げようという動きが出るのですが、その解釈を巡って侃々諤々の論議がおこってしまって、その後のすったもんだは上記の
Wikipediaなんぞを参考にしてください。
つまりは「原典」と言えるようなものは存在しないと言うことです。
ですから、グレゴリオ聖歌というのは、それを歌っている修道会によって音楽の形は随分かわってしまうので、録音のクレジットにおいては演奏する修道会が重要なポイントになります。
次に押さえておくべき重要ポイントはグレゴリオ聖歌という膨大なグループは「聖務日課」と「ミサ」という二つのグループに分かれると言うことです。
「聖務日課」は今日では「教会の祈り」と呼ばれるようなのですが、仏教的に言えば(罰当たり・・・?・・・^^;)「朝晩のおつとめ」みたいなものです。
厳密なところではこんな感じになるそうです。
夜課:キリストの再臨を待つ時課
賛課:キリストが復活した時刻。キリストの復活を祝う時課
三時課:聖霊が下った時刻。 聖霊をほめたたえる時課
六時課:キリストが十字架につけられた時刻。 受難と人類へのとりなしの時課
九時課:キリストの死去の時刻。 キリストが永遠のエルサレムに向かう時課
晩課:最後の晩餐の時刻。最後の晩餐の記念。
終課:一日の終わり。すべてを神にゆだねる時課。
この中で一番重要なのは日の出の「賛課」と日没の「晩課」だそうです。(だから「朝晩のおつとめ」と言ってしまったわけです。)
「ミサ」に関しては後世の多くの作曲家が実に多様な作品を残していますので今さら付け加える必要もないのですが、厳密に言えばキリストの死と復活の関わる典礼だけを「ミサ」と呼ぶそうです。かなり古い時代から修道会では毎日ミサを挙げる習慣があったようで、そのミサの内容は教会暦に従って変わりますので、歌われるグレゴリオ聖歌もそのミサの内容によって多彩なものになっていきました。
キリスト教では 「クリスマス(降誕祭)」「イースター(復活祭)」「ペンテコステ(聖霊降臨祭)」が最も重要な祝祭日なのですが、それ以外にもいろいろと細かく決められていて、それぞれの日にあわせたミサが行われ、そのミサにあわせたグレゴリオ聖歌が存在しているというわけです。
ただし、そう言う細かい暦については全くもってちんぷんかんぷんですし、さらに言えばそう言う暦にあわせて歌われる聖歌の詳細と言うことになると、全くもって分かりません。おそらく、日本語でそう言うことを解説しているサイトは皆無なのではないでしょうか。
事情は「聖務日課」についても同様で、それぞれのおつとめで詠われる詩編の内容と言うことになると、これまた全くもって分かりません。
しかし、まあそう言う細かいことは分からなくても、上で述べた大きな二点を押さえた上で音楽を聴けば、まあ、何となく雰囲気は分かるのではないかと思います。
ベネディクト派ボイロン聖マルティン修道院合唱団
アルヒーフレーベルはその創設時にマウルス・プファフ神父が指揮するベネディクト派ボイロン聖マルティン修道院合唱団を使って、いくつかの貴重な録音を残してくれました。
録音は1953年から1960年にかけて行われ、特に最後の1960年の録音はステレオによるものでした。しかし、1953年の最初の録音においても、モノラルであっても非常にクオリティの高い音質を保持していて、聞いているものに深い酩酊感を誘うグレゴリオ聖歌の魅力は十分に堪能できます。
録音のクレジットを見るとこの仕事は大きく分けると「聖務日課」から3曲、「ミサ」から5曲、そして「VARIA」と呼ばれるジャンルの作品が3曲録音されました。ただし、この「VARIA」と記されているジャンルがいかなる内容の音楽なのかはいろいろ調べてみましたが分かりませんでした。どの解説を読んでもグレゴリオ聖歌は「聖務日課」と「ミサ」という二つのグループに分かれると書いていて、この「VARIA」なるジャンルについて言及しているサイトは見つけることができませんでした。
なお、この時期に録音された作品は以下の通りです。
「聖務日課」
- Secundae Vesperae in Nativitate Dominus Noster Jesus Christus
- Ad Completorium in Nativitate Domini Nostri Jesu Christi
- Antiphonae finalis
「ミサ」
- Prima Missa in Nativitate Domini Nostri Jesu Christi
- Missa in Dominica Resurrectionis
- Missa in Festo Assumptionis B.M.V
- Missa ?(de Angelis) cum Credo ? in Festis Duplicibus
- Missa brevis cum Asperges me
「VARIA」
- Solemnis Palmarum Processio in Honorem Christi Regis
- Laudes Solemnes
- Ordo Exsequiarum
それぞれの作品の細かい内容について・・・よく分かりません。(^^;
とにかくは、音楽そのものに虚心坦懐に耳を傾けてください。
この演奏を評価してください。
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