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ベイヌム(Eduard van Beinum)|マーラー:交響曲第4番 ト長調
マーラー:交響曲第4番 ト長調
ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 (S)マーガレット・リッチー 1951年録音9月録音
Mahler:交響曲第4番 ト長調 「第1楽章」
Mahler:交響曲第4番 ト長調 「第2楽章」
Mahler:交響曲第4番 ト長調 「第3楽章」
Mahler:交響曲第4番 ト長調 「第4楽章」
マーラーの間奏曲・・・?

この作品をそのようにいった人がいました。
2番・3番と巨大化の方向をたどったマーラーの作品が、ここでその方向性を変えます。ご存じのように、この後に続く5?7番は声楽を伴わない器楽の3部作と言われるものです。
この第4番はそれらとは違って第4楽章にソプラノの独唱を伴いますが、それは前2作のように、声楽の追加によってよりいっそうの表現の巨大化を求めたものとは明らかに異なります。
牧歌的小景とか天国的な夢想と称されるこの作品の雰囲気をより高めるために、実に細やかな歌となっています。まさに、前期の2,3番と中期の4?7番をつなぐ「間奏曲」というのはまさにこの作品を言い表すのにはぴったりの表現かもしれません。
しかし、そこはマーラーの事ですから、間奏曲と言っても普通に演奏すれば1時間近い作品ですから、一般的な交響曲のサイズから言えばかなりの大作であることは事実です。
とりわけ、第3楽章の美しいメロディは、ユング君の見るところでは、第3番の最終楽章と並んでマーラーが書いたもっとも美しい音楽の一つだと思います。
現代的な演奏
コンセルトヘボウ管弦楽団とマーラーといえば、メンゲルベルグ以来の長くて深い関係があります。楽曲の理解に関しては、マーラーは弟子であるワルターよりもメンゲルベルグの方を評価していましたし、演奏においても「自分よりもうまい」と言わしめたほどでした。ですから、
1939年にライブ録音されたマーラーの4番はマーラーの演奏史を振り返る上で一つの画期ともいえる高みを示していました。
冒頭のワンフレーズを聴いただけで・・・ああ!メンゲルベルグ!!・・・メンゲルベルグと感嘆のため息がもれますし、最初から最後まで徹底的に入念な表情をつけることで彼が差し出してくれるマーラーの世界にどっぷりと首までつかることができます。
60年代にはいるまでほとんどマーラーをプログラムに組み込まなかったウィーンフィルやベルリンフィルと違って、コンセルトヘボウにはそのようなDNAが組み込まれているのです。
ですから、メンゲルベルグの跡を継いだベイヌムがマーラーを取り上げるのは何の不思議もない話です。しかし、音楽の質は全く違います。メンゲルベルグの有名なライブ録音と、このベイヌムによるスタジオ録音の間には「戦争」という大きな溝が横たわっているとはいえ、年数にしてみるとわずか10年あまりしか隔たっていません。しかし、音楽の質はまるで世紀を隔てているかのような錯覚に陥ります。
驚くべきは、デッカ録音の優秀さです。51年の地点で、これほどの巨大なシンフォニーの響きをここまで見事にすくい取っていたことに驚きを禁じ得ません。そして、おそらくはこの優秀録音に助けられている側面はあるのでしょうが、内部の見通しの良さはメンゲルベルグの演奏とは別世界です。また、細かい表情づけはできる限り控えめにすることで、この上もなくすっきりとしたマーラー像を提示してくれます。
そういう意味では、今聞いてみてもそれほど不自然さは感じない、現代的な演奏に仕上がっています。
それにしても、わずか10年を隔てるだけで、ここまで音楽の世界は変わってしまうものなんだと、驚きとともに複雑な感情がわき上がってきます。ここには、半世紀以上もコンセルトヘボウに君臨したメンゲルベルグの影響はきれいに洗い流されてしまっています。
悪い演奏ではないのですから、その美質だけを味わえばいいのでしょうが、どうしても思いは時の流れの残酷さに向かってしまいます。そして、メンゲルベルグみたいな音楽は戦後のヨーロッパからは消えてなくなってしまったことを思い知らされる演奏になっているのです。
なお、余談ながら一言だけ指摘しておくと、この録音は全体としては悪くないのですが、最終楽章のマーガレット・リッチーの歌唱だけは感心しません。声質がこの音楽には全く不向きですし、歌い回しも神経質で「天国的」雰囲気を醸し出すにはあまりにもミスマッチです。ベイヌムがなぜにこのソプラノを選んだのかは全く持って不可解です。
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