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クレンペラー |ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
クレンペラー指揮 フィルハーモニア管 1959年10月&11月録音
Beethoven:交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
Beethoven:交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
Beethoven:交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
Beethoven:交響曲第3番 変ホ長調 「エロイカ(英雄)」 作品55
音楽史における最大の奇跡
今日のコンサートプログラムにおいて「交響曲」というジャンルはそのもっとも重要なポジションを占めています。しかし、この音楽形式が誕生のはじめからそのような地位を占めていたわけではありません。
浅学にして、その歴史を詳細につづる力はありませんが、ハイドンがその様式を確立し、モーツァルトがそれを受け継ぎ、ベートーベンが完成させたといって大きな間違いはないでしょう。
特に重要なのが、この「エロイカ」と呼ばれるベートーベンの第3交響曲です。
ハイリゲンシュタットの遺書とセットになって語られることが多い作品です。人生における危機的状況をくぐり抜けた一人の男が、そこで味わった人生の重みをすべて投げ込んだ音楽となっています。
ハイドンからモーツァルト、そしてベートーベンの1,2番の交響曲を概観してみると、そこには着実な連続性をみることができます。たとえば、ベートーベンの第1交響曲を聞けば、それは疑いもなくモーツァルトのジュピターの後継者であることを誰もが納得できます。
そして第2交響曲は1番をさらに発展させた立派な交響曲であることに異論はないでしょう。
ところが、このエロイカが第2交響曲を継承させ発展させたものかと問われれば躊躇せざるを得ません。それほどまでに、この二つの間には大きな溝が横たわっています。
エロイカにおいては、形式や様式というものは二次的な意味しか与えられていません。優先されているのは、そこで表現されるべき「人間的真実」であり、その目的のためにはいかなる表現方法も辞さないという確固たる姿勢が貫かれています。
たとえば、第2楽章の中間部で鳴り響くトランペットの音は、当時の聴衆には何かの間違いとしか思えなかったようです。第1、第2というすばらしい「傑作」を書き上げたベートーベンが、どうして急にこんな「へんてこりんな音楽」を書いたのかと訝ったという話も伝わっています。
それほどまでに、この作品は時代の常識を突き抜けていました。
しかし、この飛躍によってこそ、交響曲がクラシック音楽における最も重要な音楽形式の一つとなりました。いや、それどことろか、クラシック音楽という芸術そのものを新しい時代へと飛躍させました。
事物というものは着実な積み重ねと前進だけで壁を突破するのではなく、時にこのような劇的な飛躍によって新しい局面が切り開かれるものだという事を改めて確認させてくれます。
その事を思えば、エロイカこそが交響曲というジャンルにおける最高の作品であり、それどころか、クラシック音楽という芸術分野における最高の作品であることをユング君は確信しています。それも、「One of the Best」ではなく、「The Best」であると確信しているユング君です。
忘れずにアップしておきましょう
クレンペラーはエロイカに関しては55年にモノラルによる録音を行っています。それ以外にも、5番、7番という奇数番号の交響曲もモノラルによる録音を行っています。
ところが、時代がモノラルからステレオに移行する中で、57年からのセッションにおいてはステレオ録音が採用されて、残りの6曲は全てステレオによる録音が行われました。そうなると、3番、5番、7番という売れ筋の作品がモノラルのままでは都合が悪いと感じたのか、プロデューサーのレッグは、3番、5番、7番を再度録音し直します。もちろん、ステレオによる録音です。
クレンペラーというのは「変人」というレッテルを貼られているのですが、意外と「聞き分け」の良い部分もあったようです。
さて、その再録音なのですが、5番と7番に関してはとてつもない「重量級」の演奏に仕上がっていて、賛否はあるかもしれませんが、「録り直した」意味が充分にある演奏に仕上がっています。
しかし、この「エロイカ」に関しては、モノラルによる録音があまりにも「良すぎた」ようです。凄まじいまでの熱気とオーラを発するようなモノラル録音に比べると、いささか行儀が良すぎるようです。また、録音に関しても、モノラルとは言っても極上と言っていいほどのレベルなので、その点でも全く不満は感じません。
ですから、二つ残されたクレンペラーのセッション録音によるエロイカのうちどちらを取ると聞かれれば、私は迷いなく55年のモノラル録音を取ります。
ただし、誤解のないように言い添えておきますが、それは55年のエロイカがあまりにも素晴らしいからです。
この59年のステレオ録音は、その他多くのエロイカの録音の中で比較してみれば、充分すぎるほどに立派な演奏です。例えば、淡々と演奏されているように見えながら次第次第に気分が高揚していく第2楽章や、まさにヒロイックな巨人が大地を踏みしめるようにして進んでいく最終楽章などは実に立派なモノです。
また、ステレオ録音による交響曲全集という観点からも欠落させるわけにはいきません。
やはり、忘れずにアップしておきましょう。
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よせられたコメント 2014-03-03:フランツ 「英雄」に接したくなりこの演奏を聴いてみました。クレンペラーは率直に客観的に淡々と演奏しているように聴こえます。決して「重厚」「ドイツ風」とは聴こえません。何か彼についてそういう記述が多いですが実際はそうでもありません。遅めのテンポも慣れると違和感がありませんし。木管がメロディーを演奏するときもくっきりと主旋律を吹き、全体の響きがごちゃごちゃにならないのは好感をもちます。適度に風通しがよいと言えるのでしょうか。クレンペラーがそういうところに細心をはらったのでしょう。フィルハーモニー管弦楽団はもともと録音専用らしいですが、そのせいかバランスがよく、オーソドックスな響きのように思います。
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