クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでアマデウス弦楽四重奏団のCDをさがす
Home|アマデウス弦楽四重奏団|ブラームス:弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 op.67

ブラームス:弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 op.67

アマデウス弦楽四重奏団 1960年録音



Brahms:弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 作品67 「第1楽章」

Brahms:弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 作品67 「第2楽章」

Brahms:弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 作品67 「第3楽章」

Brahms:弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 作品67 「第4楽章」


ベートーベンの影

ブラームスという人は常にベートーベンの存在を意識しながら創作活動に取り組んだ人でした。もう少し分かりやすく言えば、ベートーベンの作品がこの世に既に存在しているという状況の中で、自分の音楽が存在する意義があるのかを問い続けた人だったといえます。
そして、困ったことは、ベートーベンという人は全てのジャンルにおいて一つの頂点とも言えるような作品を生み出した男だったことです。
ですから、ブラームスは全てのジャンルにおいて、この巨人と向き合う必要がありました。もしも、ブラームスという人にオペラを作曲する気持ちがあったのならば少しは救われたかもしれませんが、そういう性向までも同一だったのですから、これは実に持ってしんどい作曲家人生だったといえます。

そう言う「しんどさ」の中でも、とりわけしんどかったのが「弦楽四重奏曲」というジャンルだったでしょう。
これは言うまでもなく、作品番号18の初期の6作品からラズモフスキーの3曲、そして後期のあまりにも偉大な作品まで、まさに巨峰と言うに相応しい作品群が既に存在しているからです。この巨峰を前にして、いったい何を付けくわえるものがあるのか、というのがたいていの作曲家たちの思いだったようです。
しかし、ロマン派の時代にあって、ベートーベンの後継者を自認していたブラームスであれば、それがいかに困難な課題であっても、やはり登ってみなければならないジャンルだったのです。

ブラームスが残したこのジャンルの作品はわずか3つです。
それは、ベートーベンの16と比べるとあまりにもささやかな成果のように思えます。しかし、残された資料を調べてみると、彼は第1番の弦楽四重奏曲を発表するまでに20曲近い弦楽四重奏曲を作曲していたらしいのです。そして、あまりにも自己批判力強いこの男は、それらの作品を「発表するに値しない作品」として、全て廃棄してしまったらしいのです。
シューマンはそのうちの何曲かを出版するように勧め、ブラームス自身も一時はその気になったようなのですが、結果的には「その価値なし」」と判断して廃棄していまいました。

実に持って、勿体ない話ですが、そう思えば残された3曲の重みが分かろうというものです。

しかしなのです。そう言う重みが分かったとしても、実際に聞いてみればある種の物足りなさを感じてしまいます。
それは、ベートーベンの作品を引き継いで発展させたと言うよりは、ロマン派の時代に相応しい濃厚な感情が表出された作品というように聞こえます。
おそらく、そのように受け取られることをブラームスは良しとはしないでしょうが、残念ながらそのような作品として私は受け取りたいと思いますし、評価したいと思います。

その意味では、ベートーベンの影を意識しすぎるあまり、結果として強い緊張感に満ちた作品となってしまった第1番よりは、どこかシューベルト的な風情が感じられる第2番の方が私には好ましく思えます。また、ブラームスの人生の最も幸福な時代に創作された第3番には、その幸福感が満ちあふれていて、これもまた実に好ましく思えます。
もっとも、暗い緊張感に満ちた第1番も若い頃に聞いていたならば感想は変わったかもしれません。

ブラームスにとって、この3曲で「弦楽四重奏曲」というジャンルから提出された宿題は終わったのでしょう。
これ以後、彼はベートーベンがあまり試みなかった楽器の組み合わせで室内楽作品を書いていきます。弦楽5重奏曲や6重奏曲のように内声部を拡大した組み合わせの方が、彼のロマン的な性向には向いていたいようです。ピアノ四重奏曲や五重奏曲においても事情は同じです。
不思議なことですが、ブラームスという男は、終生、ベートーベンを意識しながら、逆にその重荷から解放されたときに優れた作品を生み出しているように見えます。
それなら、最初から自分の好きなように振る舞えばいいのにと思うのですが、それが簡単にできないのが「人生」というものの難しさなのでしょう。

弦楽四重奏曲第1番 ハ短調 op.51-1(1873年)
弦楽四重奏曲第2番 イ短調 op.51-2(1873年)
弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 op.67(1875年?1876年)


ロマン派の音楽とは相性がいいようです。

アマデウス弦楽四重奏団のブラームスと言えば、真っ先に思い浮かぶのはセシル・アロノヴィッツ(ヴィオラ)とウィリアム・プリース(チェロ)を招いて録音した六重奏曲の方です。
そのロマン的な上にもロマン的な音楽を実に見事に歌い上げていて、何度も聴き直したくなる名演でした。

こんな事を書くと怒られそうですが、アマデウス弦楽四重奏団というのは、ベートーベンなどを聞くとあまりよろしくないような気がします。モーツァルトはそれよりは適性があるようには思うのですが、それほどうまくいっているとは思えません。
しかし、ドヴォルザークの「アメリカ」みたいな、旋律を歌い上げるような音楽になると、実に魅力的な演奏をするように思います。
その意味では、ブラームスの六重奏曲で名演を聞かせてくれるのも納得ですし、この渋めの四重奏曲もなかなかいい感じ演奏を聴かせてくれます。

最近は、どちらかというと忘れ去られつつあるカルテットですが、こういうロマン派の音楽を聴く上ではしっかりと記憶にとどめておいた方がいいようです。

Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでもアップしていますので、是非チャンネル登録してください。

関連記事(一部広告含む)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1541 Rating: 4.6/10 (73 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2012-05-13:やもり





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2019-12-09]

J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:アンソニー・バーナード指揮 ロンドン室内管弦楽団 1949年2月17日~18日録音

[2019-12-08]

J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:ラファエル・クーベリック指揮 ロンドン室内管弦楽団 1959年6月24日~25日録音

[2019-12-07]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲 変ホ長調 Op.44(第10番)
ボザール・トリオ 1964年録音

[2019-12-06]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:サー・マルコム・サージェント指揮 ロンドン交響楽団 1951年11月5日&8日録音

[2019-12-05]

グリーグ:弦楽のための「2つの悲しき旋律」Op.34
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1951年6月4日録音

[2019-12-04]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135
ブダペスト弦楽四重奏団 1940年9月9日~10日録音

[2019-12-02]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第5番ニ長調 , K.175
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1965年12月6日,8日,9日&12日録音

[2019-11-30]

ハイドン:交響曲第16番 変ロ長調 Hob.I:16
マックス・ゴバーマン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1960年~1962年録音

[2019-11-28]

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月8日録音

[2019-11-26]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲 変ホ長調 WoO.38(第9番)
ボザール・トリオ 1964年録音