クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでマッケラス(Charles Mackerra)のCDをさがす
Home|マッケラス(Charles Mackerra)|ヤナーチェク:シンフォニエッタ

ヤナーチェク:シンフォニエッタ

マッケラス指揮 プロ・アルテ管弦楽団 1959年録音



Janachk:シンフォニエッタ 「ファンファーレ」

Janachk:シンフォニエッタ 「城(ブルノのシュピルベルク城)」

Janachk:シンフォニエッタ 「修道院(ブルノの王妃の修道院)」

Janachk:シンフォニエッタ 「街頭(古城に至る道)」

Janachk:シンフォニエッタ 「市役所(ブルノ市役所)」


オケによる極上の「ショーピース」

私は読んでいないのですが(みんなが右向いて走りだしたときは反対向いて歩き出したいタイプなので・・・^^;)、現在ベストセラー街道を突っ走っているらしい村上春樹『1Q84』で、この作品が重要な要素として登場するそうです。そんな影響もあって、世間ではシンフォニエッタを収録したCDがクラシックとしては異例なほど売れているそうです。
一般的には、どう考えても売れるような作品ではないので、作曲者のヤナーチェクもきっと驚いていることでしょう。

この作品は、体育協会の参事をしていたヤナーチェクが協会のためのファンファーレを作って欲しいと頼まれて生み出された、というエピソードがあるそうですが、真偽のほどは確かではありません。しかし、作曲者自身はこの作品をチェコ陸軍に献呈したいという意思もあったようです。金管群によって奏されるファンファーレを聞くと確かに「体育会系音楽」の雰囲気が満点です。

シンフォニエッタというのはその名の通り「小さな交響曲」という意味合いですが、聞けば分かるとおりこの作品にはその様な「交響的」な雰囲気は稀薄です。しかし、冒頭の印象的なファンファーレが曲全体を支配しているので、単なる「組曲」よりは統一感があります。
そして、この冒頭のファンファーレが、最後に高らかに鳴り響くことを持って、この作品にもヤナーチェクの生涯のテーマであった「拘束からの解放」が反映しているという向きもあります。確かに、そう言う側面もあることは否定できないとは思います。
しかし、そんな難しいことを考えるよりは、オケによる極上の「ショーピース」として楽しめばいいのではないでしょうか。



驚天動地(^^;の演奏

マッケラスと言えばヤナーチェクのスペシャリストとして名を馳せた指揮者です。この59年録音のシンフォニエッタは、そんなマッケラスが30代半ばに達して、いよいよ録音活動を始めた頃の演奏です。
さて、その内容なのですが、これはもう「驚天動地」の演奏です(^^;

いやぁ、はじめ聞いたときは「何かの間違い」ではないかと思いました。
冒頭と終結部分の金管のファンファーレがもうハチャメチャとしか言いようのない混乱ぶりで、どうして録り直しをしなかったのだろうと疑問に思うほどの酷さです。
何しろ、私の中のシンフォニエッタの「刷り込み」はセル&クリーブランドですから、これではもう、全く別の作品のように聞こえます。セル&クリーブランドの演奏では、どこか未来都市のマシーンが非情なまでの正確さで動いているような光景が目に浮かぶのに対して、これはもう、チェコの田舎で繰り広げられるどんちゃん騒ぎそのものです。

さらに困ったことに、演奏はハチャメチャなのに、なぜか録音がとんでもなくクリアなのです。そのクリアすぎるほどにクリアな録音を通して、ほとんど混乱しているとしか言いようのない金管群の「奮闘」ぶりクローズアップされます。
ところがです・・・、聞き進んでいくうちに、その混乱ぶりが、ただの混乱から脱却して「妙な迫力」であるかのように聞こえてくるのです。このシッチャカメッチャカぶりに、最初はいささか驚かされるのですが、やがて聞き進んでいくうちになんだか笑えてきて、それが次第に不思議な「爽快感」に変わっていくのです。

そして、恐ろしいことに、こういう演奏を聴いているうちに、作曲家のヤナーチェクが意図していたのは、こういう田舎のどんちゃん騒ぎの方であって、セル&クリーブランドのような演奏は「大きな勘違い」ではないのかと思えてくることです。そして、考えてみれば、ヤナーチェクはモラヴィアの民俗音楽から強い影響を受けた作曲家です。そんな音楽家が、セルのような未来都市をイメージするような音楽を書くはずがないのです。
そう思えば、最初は、笑ってしまうのですが、聞き進むうちにあれこれといろいろな思いがわき上がってくる不思議な演奏だと言えます。

なお、プロ・アルテ管弦楽団というオケについてはいろいろ調べたのですが、実態はいまいちよく分かりませんでした。プラハやミュンヘン、ロンドンに「プロ・アルテ管弦楽団」を名乗るオケがあったようなのですが、この「プロ・アルテ管弦楽団」はそのうちのどれかなのか、または全く別の団体なののか、いろいろ調べたのですがよく分かりませんでした。
この「驚天動地」のトンデモ演奏を支えたオケなので実に残念です。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1531 Rating: 5.6/10 (162 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2012-09-14:Tom


2016-03-18:emanon


2021-07-05:Griddlebone





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-04-24]

ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲, Op.120(Beethoven:Variations Diabelli in C major, Op.120)
(P)ジュリアス・カッチェン 1953年録音(Julius Katchen:Recorded on 1953)

[2024-04-22]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 K.157(Mozart:String Quartet No.4 in C major, K.157)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-20]

ショパン:バラード第3番 変イ長調, Op.47(Chopin:Ballade No.3 in A-flat major, Op.47)
(P)アンドレ・チャイコフスキー:1959年3月10日~12日録音(Andre Tchaikowsky:Recorded on Recorded on March 10-12, 1959)

[2024-04-18]

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)

[2024-04-16]

フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッティ 1947年5月7日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Recorded on May 7, 1947)

[2024-04-14]

ベートーヴェン:序曲「コリオラン」, Op.62(Beethoven:Coriolan, Op.62)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1945年6月1日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on June 1, 1945)

[2024-04-12]

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 K.156/134b(Mozart:String Quartet No. 3 in G Major, K. 156)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-10]

ハイドン:弦楽四重奏曲第1番 変ロ長調「狩」,Op. 1, No. 1, Hob.III:1(Haydn:String Quartet No.1 in B-Flat Major, Op. 1, No.1, Hob.3:1, "La chasse" )
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June 5, 1938)

[2024-04-08]

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18(Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18)
(P)ジェルジ・シャーンドル:アルトゥール・ロジンスキ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1946年1月2日録音(Gyorgy Sandor:(Con)Artur Rodzinski New York Philharmonic Recorded on January 2, 1946)

[2024-04-06]

シベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」(Sibelius:Pohjola's Daughter - Symphonic Fantasy Op.49)
カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1962年6月7日~8日録音(Karel Ancerl:The Czech Philharmonic Orchestra Recorded on June 7-8, 1962)