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ミルシテイン(Nathan Milstein)|チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
Vn:ミルシテイン スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1959年4月6日録音
Tchaikovsky:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
Tchaikovsky:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
Tchaikovsky:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
演奏不能! ?初演の大失敗!

これほどまでに恵まれない環境でこの世に出た作品はそうあるものではありません。
まず生み出されたきっかけは「不幸な結婚」の破綻でした。これは有名な話のなので詳しくは述べませんが、その精神的なダメージから立ち直るためにスイスにきていたときにこの作品は創作されました。
ヴァイオリンという楽器にそれほど詳しくなかったために、作曲の課程ではコテックというヴァイオリン奏者の助言を得ながら進められました。
そしてようやくに完成した作品は、当時の高名なヴァイオリニストだったレオポルド・アウアーに献呈をされるのですが、スコアを見たアウアーは「演奏不能」として突き返してしまいます。ピアノ協奏曲もそうだったですが、どうもチャイコフスキーの協奏曲は当時の巨匠たちに「演奏不能」だと言ってよく突き返されます。
このアウアーによる仕打ちはチャイコフスキーにはかなりこたえたようで、作品はその後何年もお蔵入りすることになります。そして1881年の12月、親友であるアドルフ・ブロドスキーによってようやくにして初演が行われます。
しかし、ブドロスキーのテクニックにも大きな問題があったためにその初演は大失敗に終わり、チャイコフスキーは再び失意のどん底にたたき落とされます。
やはり、アウアーが演奏不能と評したように、この作品を完璧に演奏するのはかなり困難であったようです。
しかし、この作品の素晴らしさを確信していたブロドスキーは初演の失敗にもめげることなく、あちこちの演奏会でこの作品を取り上げていきます。やがて、その努力が実って次第にこの作品の真価が広く認められるようになり、ついにはアウアー自身もこの作品を取り上げるようになっていきました。
めでたし、めでたし、と言うのがこの作品の出生と世に出るまでのよく知られたエピソードです。
しかし、やはり演奏する上ではいくつかの問題があったようで、アウアーはこの作品を取り上げるに際して、いくつかの点でスコアに手を加えています。
そして、原典尊重が金科玉条にようにもてはやされる今日のコンサートにおいても、なぜかアウアーによって手直しをされたものが用いられています。
つまり、アウアーが「演奏不能」と評したのも根拠のない話ではなかったようです。ただ、上記のエピソードばかりが有名になって、アウアーが一人悪者扱いをされているようなので、それはちょっと気の毒かな?と思ったりもします。
ただし、最近はなんと言っても原典尊重の時代ですから、アウアーの版ではなく、オリジナルを使う人もポチポチと現れているようです。でも、数は少ないです。クレーメルぐらいかな?
やっぱり難しいんでしょうね。
結構バリバリ弾いています
ミルシテインと言えば「美音」が売りなのですが、この録音を聞くと結構「バリバリ」感があります。ミルシテインのチャイコンと言えば最晩年にアバド&ウィーンフィルによる録音があって、当然のことながらそっちの方が「定番」です。しかし、その晩年の演奏にはこういう「バリバリ」感みたいなものはありません。
ただ、そう言う雰囲気の演奏になったのは、バックをつとめるスタインバーグとピッツバーグ響の影響もあるのかもしれません。
こっちの方こそ「バリバリ」感が強くって、ここぞ!と言うところでは結構豪快に鳴らしています。もちろん、後年のウィーンフィルのようにふくよかで暖かみのある音色に包まれた演奏ではないので、おのずとミルシテインの方もあおられたのかもしれません。
もちろん、一般的には録音の問題も含めて晩年のアバドとの協演の方をとるのが一般的なのでしょうが、ミルシテインという偉大なヴァイオリニストの「歴史」をたどる上では貴重な録音だと言えます。
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