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フリッツ・ブッシュ(Fritz Busch) |モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
フリッツ・ブッシュ指揮 グラインドボーン祝祭管弦楽団&合唱団 1936年録音
Mozart:Don Giovanni 第1幕
Mozart:Don Giovanni 第2幕
モーツァルトが書いた最も暗鬱なオペラ
プラハにおけるフィガロの大成功によって、劇場監督のボンディー二が次のシーズンのために新作を注文してできあがったのが「ドン・ジョヴァンニ」です。これはモーツァルトが書いた最も暗鬱なオペラだと言えます。
ストーリーはそれほど単純ではありませんが、よく言われるようにその複雑さはワーグナーの複雑さなどとは少し違います。ワーグナーの場合は一定の約束事などを知識として持っていないとストーリーの展開が上手く把握できないと言う「複雑」さですが、モーツァルトの場合は何の準備もなしに劇場に出かけても十分に音楽の展開にあわせて物語を把握することは可能です。
このオペラの登場人物は基本的にペアでセッティングされています。
まずは、ドン・ジョヴァンニと従者のレポレッロ、そのドン・ジョヴァンニにだまされた女性であるドンナ・アンナとその婚約者のドン・オッターヴィア、さらに同じくドン・ジョヴァンニに誘惑される村娘のツェルリーナとその婚約者であるマゼッタです。(もっとも、ドンナ・アンナがはたしてドン・ジョヴァンニにだまされたのか?という疑問は残りますが。)
これに、ドン・ジョヴァンニにかつてだまされて復讐するために彼を追いかけてきた女性、ドンナ・エルヴィラと、ドン・ジョヴァンニ殺されたドンナ・アンナの父である騎士長の二人が重要な役割を担います。
エルヴィラはドン・ジョヴァンニに復讐を誓いながら彼への思いを断ち切れないと言う女性であり、人間が持つ深い苦悩と愛を体現をする存在です。騎士長は最後の場面で石像となってドン・ジョヴァンニを地獄へと引きずり込みます。
オペラの全編にわたって魅力的なアリアがちりばめられていますが、最大の聞き所は言うまでもなく騎士長が「ドン・ジョヴァンニ」と言う呼びかけとともに始まる「地獄落ち」でしょう。それは、アインシュタインが言うように「ドン・ジョヴァンニを救うためのエルヴィラの最後の訪れ、騎士長が天の裁きを執行する恐るべきニ短調の場面、それはつねに劇的、舞台的威力の絶頂とみなされてきた場面」だといえます。
第一幕
・騎士長の邸宅前の通り。夜。
・通り。
・田舎。ツェリーナとマセットの結婚式
・ドンジョヴァンニの館の前の公園。
・多数の客人、それに混じって、マッセロ、ツェリーナ のような農民もあでやかな照明の舞踏広間を闊歩している。
第二幕
・エルヴィーラの住まいのある通り。
・ドンナ・アンナの家の暗い玄関。
・騎士長の立像が立っている教会墓地。月夜。
・ドンナ・アンナの部屋。
・ドンジョヴァンニの館。
20世紀のオペラ演奏における金字塔
ブッシュがグラインドボーン音楽祭に残した最大の遺産がこの「ドン・ジョヴァンニ」でしょう。世間的にはロマン主義的歪曲からモーツァルトのオペラを救い出したというのがこの演奏に対する定評であり、演奏当時も「ブッシュはドン・ジョヴァンニのスコアから,このオペラの持つ隠された美しさを奇跡的に引き出した」と評されたそうです。
ユング君もこの録音をあらためて聞き直してみて、何よりもその自然でゆったりとしたテンポに魅了されました。確かに昨今のモーツァルト演奏と比べるとかなり遅いテンポなのですが、決してゆるんだ感じにはなっていません。自然に気持ちよく音楽に身をゆだねることが出来る演奏だといえます。
音質は1936年とは思えないほどに優秀です。
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最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
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よせられたコメント 2012-07-03:三塚進 カラヤン指揮ベルリンフィルのジョバンニしか聞いたことがありませんでした。ブッシュ指揮もゆったりと聞く事が出来ました。ただ、エルヴィラは誰が演じているのでしょうか?彼女の声を聞くと息が苦しく聞くに堪えなかったです。 2013-08-12:nakamoto コジファントウッテに続いて、やはり聴きたくなってききました。なんてドンジョバンニが楽しくきけるのでしょうか。コジファンの方で、途中からベームで聴いてしまうという失態をおかしてしまいましたが、本日は時間の許す限り聴ききました。ベーム盤があれば事足りてしまう私ですが、だからといってこんな名演を知らないなんて、あまりにも視野が狭すぎます。昔はこんな贅沢できませんでした、気軽に次々と名盤を聴けるなんて。幸せ者です。 2016-09-01:benetianfish 仰るとおり、1936年の録音とは信じがたい!1950年代のものと言われても、まったく疑わないほどの音質です。
確かに、一部のアリアは「ちょっとトロいのでは?」と思われる個所もありますが、「なんでこんなに速く歌い飛ばすの?」といった演奏がほとんどの現在、このようなじっくりと歌い上げる演奏は、かなり希少といえるのではないでしょうか。私の手元にあるオペラ・オーストラリアの快速演奏とは、良い対比になります。 2021-07-15:藤原正樹 犬養道子が子供のときに聴いて、感動したと『花々と星々と』で書いています。
鋭いなあ。戦前は白樺派のインテリくらいしか聴けなかったのが、いま、万人に開放されている!
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