Home|
セル(George Szell)|シューベルト:劇付随音楽 「ロザムンデ」D797
シューベルト:劇付随音楽 「ロザムンデ」D797
セル指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1957年12月録音
Schubert:劇付随音楽 「ロザムンデ」より「序曲」
Schubert:劇付随音楽 「ロザムンデ」より「バレエ音楽第1番」
Schubert:劇付随音楽 「ロザムンデ」より「バレエ音楽第2番」
Schubert:劇付随音楽 「ロザムンデ」より「第3幕間奏曲」
音楽だけは残った(^^v

ロザムンデと言えばシューベルトと結びつくほどにこの作品は有名です。
原作は、ベルリン出身の女流作家ヘルミーネ・フォン・シェジーの戯曲『キプロスの女王ロザムンデ』です。しかし、この戯曲はおそろしく出来の悪いもので、わずか2日で上演が打ち切られてしまいました。
しかし、幸いだったのは、この戯曲に付随音楽をつけたのがシューベルトだったことです。おかげで、戯曲の方は台本も残らないほどのお粗末さだったのに、このシューベルトの音楽によって女流作家ヘルミーネ・フォン・シェジーの名前は歴史に刻まれることになりました。
なお、この劇音楽の序曲は今日では「ロザムンデ序曲」と呼ばれているのですが、実は別の作品のための序曲だったものを使い回したものでした。しかし、本来の出所であるオペラ「アルフォンゾとエストレラ」はほとんど忘却の彼方に行ってしまったために、本来は「アルフォンゾとエストレラ」序曲とよぶべきはずのものが「ロザムンデ序曲」として定着してしまいました。
しかし、この美しいメロディはシューベルトが書いた音楽の中でも屈指のもので、その美しさと「ロザムンデ」のイメージがあまりにも見事に結びついているが故に、やはりこれは「ロザムンデ序曲」とよぶしかないと思えます。
全曲は上記の序曲と10曲からなりますが、一般的には序曲と第3幕間奏曲、そしてバレエ音楽第1番・第2番が抜粋して演奏されることが多いようです。とりわけ、第3幕間奏曲は弦楽四重奏曲第13番『ロザムンデ』に転用されているのでとりわけ有名です。
「序曲」
「間奏曲第1番」
「バレエ音楽 第1番」:木管楽器の響きが素晴らしい!!
「間奏曲 第2番」
「ロマンス<満月は輝き>」:アルトの独唱です。
「亡霊の合唱<深みの中に光が>」:男声合唱です。
「間奏曲 第三番」:弦楽四重奏曲第13番の第2楽章に登場する有名なメロディです。
「羊飼いのメロディ」
「羊飼いの合唱<この草原で>」:混声合唱です。
「狩人の合唱<緑の明るい野山に>」:混声合唱・男声合唱・女声合唱で歌われます。
「バレエ音楽 第二番」:終曲です。
オケの響きの何という素晴らしさ!!
正直に告白すると、これは後年セルがクリーブランド管と録音したものよりもはるかに素晴らしいと言わざるをえません。
何が違うのかと言えば、オケの響きです。
本当に、ベイヌムが健在だった50年代のコンセルトヘボウの響きは本当に素晴らしくて、間違いなく当時の世界最高のオケであったことを確信させてくれます。もちろん、響きだけでなく、機能面でも完璧主義者セルの指示に余裕でこたえています。
とりわけ素晴らしいのが木管の美しさで、それはこの57年に録音したロザムンデにも夏の夜の夢にも共通しています。もちろん、弦楽器のふっくらとした温かい音色も実に見事です。
しかし、その様な素晴らしいオケの響きは60年代の録音では影をひそめます。セルは手兵であるクリーブランド以外ではこのコンセルトヘボウとの関係が深くて、60年代に入ってもベートーベンの運命やシベリウスの2番などを録音しています。
しかし、残念なことに、60年代の録音からはこのような素晴らしいオケの響きは影をひそめています。
コンセルトヘボウは自国民優先の伝統がありました。
メンゲルベルグからベイヌムへと引き継がれたシェフの座は、ベイヌムの突然の死によって1961年に32歳のハイティンクに引き継がれました。もちろん、若きハイティンクに責を帰することはできません。実際、病弱だったベイヌムの晩年には、すでにコンセルトヘボウに陰りが出ていたことも事実です。
オケの高いレベルを維持するのは並大抵のことではないという事です。
出来得れば、ベイヌムが健在だった50年代に運命やシベ2のような大物を録音しておいて欲しかったというのは贅沢にすぎるでしょうか。
<収録作品>
*序曲
*バレエ音楽第1番
*バレエ音楽第2番
*第3幕間奏曲
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
1213 Rating: 5.5/10 (225 votes cast)
よせられたコメント
2010-11-23:黒木貞治
- 53年前の音がこんなにすばらしい音で今聴けるしあわせを満喫いています。しかも自分の大好きなセル。セルとクリーブランド管のレコードを何枚かもっていますが、オランダのオーケストラとの共演ははじめて聴きました。
貴殿のこのサイトのこれからの発展を、自分のためにも心より祈念します。
【最近の更新(10件)】
[2025-03-28]

ラヴェル:スペイン狂詩曲(Ravel:Rhapsodie espagnole)
シャルル・ミュンシュ指揮:ボストン交響楽団 1950年12月26日録音(Charles Munch:The Boston Symphony Orchestra Recorded on December 26, 1950)
[2025-03-24]

モーツァルト:セレナード第6番 ニ長調, K.239「セレナータ・ノットゥルナ」(Mozart:Serenade in D major, K.239)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1959)
[2025-03-21]

シューベルト:交響曲第2番 変ロ長調 D.125(Schubert:Symphony No.2 in B-flat major, D.125)
シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1949年12月20日録音(Charles Munch:The Boston Symphony Orchestra Recorded on December 20, 1949)
[2025-03-17]

リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲, Op.34(Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34)
ジャン・マルティノン指揮 ロンドン交響楽団 1958年3月録音(Jean Martinon:London Symphony Orchestra Recorded on March, 1958)
[2025-03-15]

リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 ,Op.18(Richard Strauss:Violin Sonata in E flat major, Op.18)
(Vn)ジネット・ヌヴー (P)グスタフ・ベッカー 1939年録音(Ginette Neveu:(P)Gustav Becker Recorded on 1939)
[2025-03-12]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589(プロシャ王第2番)(Mozart:String Quartet No.22 in B-flat major, K.589 "Prussian No.2")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2025-03-09]

ショパン:ノクターン Op.27&Op.37(Chopin:Nocturnes for piano, Op.27&Op.32)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1956年発行(Guiomar Novaes:Published in 1956)
[2025-03-07]

モーツァルト:交響曲第36番 ハ長調「リンツ」 K.425(Mozart:Symphony No.36 in C major, K.425)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1960年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1960)
[2025-03-03]

ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調, Op.68(Brahms:Symphony No.1 in C Minor, Op.68)
アルトゥール・ロジンスキ指揮:ニューヨーク・フィルハーモニック 1945年1月8日録音(Artur Rodzinski:New York Philharmonic Recorded on January 8, 1945)
[2025-02-27]

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調(Debussy:Sonata for Violin and Piano in G minor)
(Vn)ジネット・ヌヴー (P)ジャン・ヌヴー 1948年録音(Ginette Neveu:(P)Jean Neveu Recorded on 1948)