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ブラームス:悲劇的序曲 ニ短調 op.81

クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1957年3月29日録音


ブラームスが残した二つの演奏会用序曲

ブラームスは1876年にケンブリッジ大学から名誉音楽博士号の称号を授与したいとの申し出を受けます。ところが、そのためには大嫌いだった船に乗ってイギリスに渡り、さらには気の進まない堅苦しい儀式にも出席することが条件だったために断ってしまいます。

しかし、このような名誉は嫌いではなかった人ですから、3年後の1789年にドイツ国内のブレスラウ大学から同様の申し出があったときには、すぐに手紙を出して博士号をもらうための条件を問い合わせています。そして、その条件がお礼として何かの作品を作ってくれればいいと言うもので、イギリスに渡ったり儀式に出席する必要などがなかったためにこの申し入れを受け入れます。
ただし、作品の方はすぐには完成せず、翌年の夏に避暑地であったバード・イシュルという町で完成させました。
それが、有名な「大学祝典序曲」で、ユング君のような世代だとラジオの「大学受験講座」と分かちがたく結びつけられている音楽です。(・_・)☆ヾ(^^ )なんでやねん!!

ブラームスは当初は祝典用の荘厳な音楽を考えていたようですが、結局は当時流行していた学生歌をつなぎ合わせたような作品に仕上げました。
使われた学生歌は以下の通りだそうです。(人の受け売り^^;)

1.我等は立派な校舎を建てた
2.国の親
3.新入生の歌(元歌は「狐狩りの歌」)
  NHKラジオ「大学受験講座」の前奏音楽として特に有名なメロディです。
4.だから愉快にやろうじゃないか

さて、ブラームスに限らず偉大な作曲家というものは、同じ時期に全く性格的に異なる作品を書く傾向があります。今回も、大学祝典序曲と時期を接して、全く雰囲気の違う演奏会用の序曲を書いています。
それが、二つ目の「悲劇的序曲」です。

こちらの方は、大学祝典序曲とは異なって作曲の動機がはっきりとは知られていません。ブラームスの言葉によると、楽しくて明るい大学祝典序曲の後に悲劇的な音楽を書きたくなったとのことなのですが、どこまで本気なのかは分かりません。

ただ、ある作品を書いているときにわき上がってきた楽想やアイデアがその作品の中に盛り込むことができないときに、全く異なる作品としてそれらを活用すると言うことはよくあったようです。
そうだとすると、この二つの序曲は二卵性の双生児といえるかもしれません。


気力充実したクレンペラーによる小品演奏

ブラームスの交響曲全集と言えば、必ずお約束のように、「悲劇的序曲」「大学祝典序曲」、そして「ハイドンの主題による変奏曲 」がカップリングされています。クレンペラーの場合はこれに後年録音した「アルト・ラプソディ」も収録されてリリースされています。

さて、これら小品(ハイドン・ヴァリエーションを小品というのはいささか気がひけますが・・・)の出来はいかに?と聞いてみると、これが実に立派な演奏に仕上がっています。単なる「接続曲」と低く見下されることの多い「大学祝典序曲」も、彼の手にかかるとなんだか立派な音楽に聞こえてきます。
クレンペラーと言えばその狷介な人間性が云々されるのですが、こんな接続曲と揶揄されるような作品でも全力で取り組んでいるのを聞かされると、本質的には「真面目な」(ただし音楽に対してのみ)男だったんだと思います。弦楽器がうねるように雄大な音楽を奏しているのを聞いて、そう確信しました。
ですから、これが「悲劇的序曲」となると、まさにクレンペラーにもってこいの作品です。冒頭の緊張感溢れる音楽作りを聞くだけで、彼が全身全霊でこの作品に取り組んでいるのが分かります。実に立派な演奏です。
この二つに関しては、今まで古い録音しかアップできていなかったので、ここで初期のものとはいえステレオ録音がアップできてホッとしています。

最後に、小品とは言いかねる「ハイドン・ヴァリエーション」ですが、これだけ録音年代が古くてモノラル録音です。しかし、モントリオール空港での事故(1951年)のケガも癒えて、気力充実してヨーロッパでの演奏活動を再開した1954年のものですから、なかなかに気力に満ちた演奏に仕上がっています。
ただ、個人的には、一つ一つの変奏を念を押すように丁寧に確認していくような雰囲気が漂うのが、今ひとつ好きになれません。これと似たようなテイストを交響曲第4番の終楽章でも感じましたから、もしかしたらこれがクレンペラーが変奏曲を演奏するときのスタイルなのかもしれません。

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