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ベルリオーズ:宗教的三部作 「キリストの幼時」

ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 ニュー・イングランド合唱団 他 1956年12月23&24日録音



Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 語り

Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 第1場

Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 第2場

Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 第3場

Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 第4場

Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 第5場

Berlioz:キリストの幼時 第1部「ヘロデの夢」 第6場

Berlioz:キリストの幼時 第2部 「エジプトへの避難」 序曲

Berlioz:キリストの幼時 第2部 「エジプトへの避難」

Berlioz:キリストの幼時 第3部 「サイスへの到着」 語り

Berlioz:キリストの幼時 第3部 「サイスへの到着」 第1場

Berlioz:キリストの幼時 第3部 「サイスへの到着」 第2場

Berlioz:キリストの幼時 第3部 「サイスへの到着」 第3場


ベルリオーズの作品とは思えないほどに(?)、神秘的な宗教性に満ちた作品

この作品は随分と入り組んだ事情のもとで成立しています。
まず、きっかけとなったのは、ベルリオーズの頭脳にある飲み会で一つのメロディが浮かび上がったことです。彼は、それをそそくさと楽譜に書き付けて「オルガンのためのアンダンティーノ」と名付けます。
その音楽は、ベルリオーズには珍しく(?)、激烈さの影のない神秘的で静かな音楽だったために、友人たちは宗教的な歌詞をつけることをすすめます。友人たちのそんな申し出を面白いと思ったのか、ベルリオーズもそこに自作の歌詞を当てはめて「聖家族への羊飼いたちの別れ」と題する作品に仕上げます。
さらに、悪ふざけは盛り上がります。
作曲者として友人のデュックを祭りあげようという話になったのです。しかし、さすがに当の本人が堅く拒絶したために、デュックをもじって、ピエール・デュクレなる架空の人物を作曲者としてでっち上げてしまいます。
かくして、ピエール・デュクレ作の「聖家族への羊飼いたちの別れ」なる作品が完成したわけです。
友人たちとの悪ふざけの中でこんな音楽が生み出されるとは、ホントに驚かされます。

しかし、この悪ふざけが悪ふざけのままで終わっていれば、この偉大な作品「キリストの幼時」は生まれませんでした。

この友人たちとの悪ふざけから数年後、彼が主催していたフィルハーモニア協会のコンサートで取り上げる作品を思案しているときに、ベルリオーズの頭脳にとんでもない考えがひらめきます。
それは、かつて友人たちとの悪ふざけの中で作り上げた「聖家族への羊飼いたちの別れ」をベルリオーズの作品としてではなく、今では忘れ去られてしまった「フランスの宮廷楽長ピエール・デュクレ」が1679年に作曲した古風なオラトリオの断片として取り上げようという考えです。
もちろん、フランスの宮廷楽長ピエール・デュクレなどという人物は存在したことがないのですが、音楽学がそれほど発展していなかった当時ではばれる心配はほとんどなかったようです。
そして、ベルリオーズが何故にこんな「悪ふざけ」をしようとしたのかと言えば、今までの自作に対する「悪意と偏見」から出ているとしか思えない批判に対する「意趣返し」であったことは間違いありません。
つまり、ベルリオーズの作品を、「悪意と偏見」を持たずに聞けば、批評家どもは何というかを見てやろう・・・と言うわけです。

さて結果はと言えば、さすがに「フランスの宮廷楽長ピエール・デュクレ」なる人物に疑問を呈する人もいたようですが、圧倒的大多数の「絶賛」の前にそんな「疑問」は吹っ飛ばされてしまいました。
まさに、してやったり・・・だったことでしょう。
そして、年が明けた1852年に、ベルリオーズはこの作品が自作であることを明らかにします。
さすがに、同じ音楽に対して、デュクレる架空の人物の作品ならば絶賛に値するが、ベルリオーズの作品ならば批判すると言うこともできなかったようで、この作品に対する評価は確定します。

しかし、ベルリオーズが凄いのは、この「意趣返し」だけで満足するのではなく、この「聖家族への羊飼いたちの別れ」を核として、より規模の大きい作品に仕上げられる可能性に気づいたことです。
まず、この作品に続く「聖家族の憩い」と、それに先立つ「序曲」を作曲して、「エジプトへの逃避」としてまとめ上げます。
さらに、翌年には「サイスへの到着」が完成され、さらには第1部として「ヘロデの夢」がつけ加えられて、宗教的三部作「キリストの幼時」が完成されます。
そして、1854年の12月にベル汐ーズ自身の指揮で初演されたときは、すでに悪意と偏見は消え去っていて、多くの批評家や聴衆から絶賛を博すことになります。彼を目の敵にしていたパリが、初めてベルリオーズに拍手をおくったのです。
そして、1856年にはフランスの学士院会員にも選ばれ、フランスを代表する偉大な作曲家としての地位が確定します。

第1部「ヘロデの夢」
 ヘ短調の和音に導かれて、序曲も前奏曲も省いて、テノールの語り手が物語の背景をレシタティーフで述べる。
 第1曲:「夜の行進」
 第2曲:「ヘロデ王のアリア」
 第3曲:ユダヤ教の予言者達がやってきたことが告げられる。
 第4曲:「予言者たちとヘロデ王」
 第5曲:「聖マリアと聖ヨゼフの二重唱」
 第6曲:「聖マリアと聖ヨゼフ、見えない天使」

第2部「エジプトへの逃避」
 第1曲:「序曲」
 第2曲:「聖家族への羊飼いたちの別れ」
 第3曲:「聖家族の憩い」

第3部「サイスへの到着」
 語り手が、サイスへ到着した聖家族の様子を歌う。
 第1曲:「サイスの街の中、マリアと聖ヨゼフの二重唱」
 第2曲(前半):家父が聖家族をいたわり、若いイスラエル人によってフルートとハープのための三重奏曲が演奏される。
 第2曲(後半):お眠りなさい、もう心配はいりません〜エピローグ風の語り



ボストン時代のミュンシュを代表する録音

以前、劇的交響曲「ロミオとジュリエット」の録音について次のように書いたことがありました。

「世間的にはほとんど知られていない大作を取り上げるというのは勇気がいることです。しかし、50年代のクラシック音楽界にはその様な「勇気」が至る所に満ちていました。・・・ボストン響とミュンシュによるこの録音は好意を持って受け入れられ、それがきっかけとなって歴史的なベルリオーズ・チクルスが始まることになります。」

とは言え、これだけの大作を録音のためだけに用意するのは大変だったようで、ミュンシュがボストン響でこの作品の全曲演奏を初めて行った直後に録音されたものです。
今でも、この作品の録音は多くはありません。それは、ベルリオーズの声楽作品は何よりもドラマ性が優先されのに対して、このオラトリオだけはその様なドラマ性ではなくて、オーケストラや合唱・独唱の簡潔で透明感に満ちた響きが重要だからです。
そして、そう言う作品の性質はボストン時代のミュンシュにとってはもっとも相性の良い作品だったといえます。

正直に告白すると、私はこの録音以外でこの作品を聞いたことがありません、ですから、比べるべき対象がないのですが、それでも、これだけあれば充分といえるほどの美しさを与えてくれることは保障できます。
ボストン時代のミュンシュを代表する録音だと言えます。

 チェーザレ・ヴァレッティ(テノール:語り手、百人隊長)
 フローレンス・コプレフ(コントラルト:マリア)
 ジェラール・スゼー(バリトン:ヨセフ)
 ジョルジョ・トッツィ(バス:ヘロデ、ポリュドルス、家の主人)
 ルシアン・オリヴィエ(バリトン)
 ニュー・イングランド音楽院合唱団
 (合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ドゥリオ・アントニー・ドワイヤー(フルート)
 ジェームズ・バッポートサキス(フルート)
 バーナード・ジゲラ(ハープ)

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