クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|ブッシュ弦楽四重奏団(The Busch Quartet)|ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

ブッシュ弦楽四重奏団 1933年11月13日録音



Beethoven:String Quartet No.16 in F major Op.135 [1.Allegretto]

Beethoven:String Quartet No.16 in F major Op.135 [2.Vivace]

Beethoven:String Quartet No.16 in F major Op.135 [3.Lento assai, cantante e tranquillo]

Beethoven:String Quartet No.16 in F major Op.135 [4.Grave, ma non troppo tratto - Allegro]


まとまった作品としては最後のもの

甥のカールの自殺未遂はただでさえ衰えを見せていたベートーベンに致命的な打撃を与えました。それでも彼はカールの治療に心を尽くし、無事に治癒してからも軍人になりたいという彼の願いを実現するために奔走をします。このカールの我が儘はシュツッターハイム男爵の尽力で実現し、二人は12月の末にウィーンに戻るのですが、寒さに凍える旅はベートーベンに回復不可能なダメージを与えてしまいます。

このような中で作曲されたのがこの第16番の弦楽四重奏曲です。

この作品は、最終楽章に書き込まれた「そうなければならぬか?(Der schwergefasste Entschluss?)」「そうなければならぬ(Es muss sein!)」の不可解な文章もあって、神秘的な解釈がされてきました。しかし、作品の構成は膨張を続けてきた後期の弦楽四重奏曲の中では最も規模が小さく簡潔な構造を持っています。

その簡潔さは最晩年の枯れた境地と言うよりは、ベートーベンの衰えの現れと見る方が妥当でしょう。
反面、後期の一連の作品には見られない透明感のある明るさが作品を支配していることが特徴的です。
確かに、第3楽章は後期作品に特有の精神的深みを示していますが、それもわずか54小節で終了してしまいます。それはベートーベンの後期を象徴する変奏曲形式と言うよりは一種の幻想曲と言うべき範疇にとどまっています。

死を悟り、覚悟のついた男のすがすがしさが現れた作品といえるのかもしれません。


熱い演奏

どちらかと言えば「軽み」が前面にでた作品なのですが、ここでのブッシュ弦楽四重奏団は気迫を込めてこの作品を再現しています。不器用ではあっても、この作品に内在するベートーベンの真実をえぐり出そうとする意気込みが感じ取れます。もしかしたら、彼らが残した録音の中でも最も充実したものかもしれません

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



94 Rating: 4.9/10 (195 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2012-01-16:シューベルティアン


2014-04-29:Hide





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-07-30]

エルガー:行進曲「威風堂々」第3番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 3 in C Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)

[2025-07-28]

バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.545(Bach:Prelude and Fugue in C major, BWV 545)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)

[2025-07-26]

ベートーベン:交響曲第7番 イ長調 作品92(Beethoven:Symphony No.7 in A major ,Op.92)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 ベルリン・フィルハーモニ管弦楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on 1959)

[2025-07-24]

コダーイ: ガランタ舞曲(Zoltan Kodaly:Dances of Galanta)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1962年12月9日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 9, 1962)

[2025-07-22]

エルガー:行進曲「威風堂々」第2番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 2 in A Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)

[2025-07-20]

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調, Op.53「英雄」(管弦楽編曲)(Chopin:Polonaize in A flat major "Heroique", Op.53)
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン新交響楽団 1961年録音(Rene Leibowitz:New Symphony Orchestra Of London Recorded 1961)

[2025-07-18]

バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565(Bach:Toccata and Fugue in D Minor, BWV 565)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)

[2025-07-16]

ワーグナー:ローエングリン第3幕への前奏曲(Wagner:Lohengrin Act3 Prelude)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1959年12月30日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 30, 1959)

[2025-07-15]

ワーグナー:「タンホイザー」序曲(Wagner:Tannhauser Overture)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1964年12月7日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 7, 1964)

[2025-07-11]

ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」(Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral")
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1960年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1960)