Home|
ジャン=ピエール・ランパル(Jean-Pierre Rampal)|ヴィヴァルディ:室内協奏曲 イ短調 RV108
ヴィヴァルディ:室内協奏曲 イ短調 RV108
(Fl)ジャン=ピエール・ランパル:カール・リステンパルト指揮 ザール放送室内管弦楽団 1963年10月3日~4日録音
Vivaldi:Chamber Concerto in A minor, RV 108 [1.Allegro]
Vivaldi:Chamber Concerto in A minor, RV 108 [2.Largo]
Vivaldi:Chamber Concerto in A minor, RV 108 [3.Allegro]
ランパル・プレゼンツによるバロック音楽への招待
ランパルが50年代の後半から60年代の初めに数多くのバロック音楽を取り上げて録音活動を行っています。
その中で、コンチェルトに限ってみれば次のような作曲家を取り上げています。生まれた年を基準に並べてみれば以下のようになります。なお、それぞれの作曲家の座標軸における位置を分かりやすくするために原点(0,0)としてのバッハを挿入しました。
- アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi, 1678年3月4日 - 1741年7月28日:イタリア)
- ゲオルク・フィリップ・テレマン(Georg Philipp Telemann, 1681年3月14日 - 1767年6月25日:ドイツ)
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685年3月31日 - 1750年7月28日:ドイツ)
- ジュゼッペ・タルティーニ(Giuseppe Tartini, 1692年4月8日 - 1770年2月26日:イタリア)
- ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ(Giovanni Battista Sammartini, 1698年ごろ - 1775年1月15日:イタリア)
- ミシェル・ブラヴェ(Michel Blavet, 1700年3月13日 ブザンソン - 1768年10月28日:フランス)
- ミシェル・コレット(Michel Corrette, 1707年4月10日 - 1795年1月21日:フランス)
- ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(Giovanni Battista Pergolesi, 1710年1月4日 - 1736年3月17日:イタリア)
言ってみれば、ランパル・プレゼンツによるバロック音楽への招待です。
ですから、彼が何を理由としてこれらの作曲と作品を選んだのかはあまり深く考えないようにしましょう。ランパルという偉大なフルーティストが、己のフルートの魅力・美しさを最高にひき出してくれる音楽と言うことで選んだと言うことを信じるだけです。
なんと言っても、この時代のこのようなマイナー作品を云々するだけの知恵もなければ知識ありませんから。
ただ、通して聞いてみて分かったことは、この分野におけるヴィヴァルディの影響力の大きさです。日本でヴィヴァルディと言えば「四季を作曲した人」と言うことで不当に低く見られていますが、決してそんなことはないと言うことがこれを通して聞けばされもが納得できることでしょう。
何という美しさ!!
クラシック音楽というものは楽しく聞いてはいけないという呪縛が長く存在しました。
若い人からすれば、お前はいったい何を言ってるんだ?と言われそうな言葉ですが、それなりに年配の方ならば納得していただけるでしょう。
ですから、50年代にイ・ムジチによる「四季」が発売されて記録的なベストセラーになったときは、微妙な空気が流れたようです。しかし、レコード会社にしてみれば売れる録音はいい録音ですから、その後ちょっとしたバロック音楽ブームが来ました。ラジオなんかでも「朝のバロック」みたいな番組がレギュラー化したりしたそうです。
そんなバロックブームの中でランパルもかり出されて録音したのが、この一連の作品だったのでしょう。フルートのソロによる音楽、鍵盤楽器時の二重奏、そして幾つかの楽器とコラボした室内楽、そしてフルートが独奏楽器として活躍する協奏曲等々、実に多くの作品を掘り起こしてきて録音してくれました。
実際、その後になっても、この時のランパル以外にはほとんど取り上げる人がいない作品も数多くあるので、貴重と言えば貴重な録音です。
まあ、このあたりが常にサービス精神を失わないランパルのえらいところなのでしょう。
そして、さらに嬉しいのは、この一連のバロック音楽はどれもこれも艶やかなフルートの響きと、たっぷりとしたオケの響きで、この上もなく美しく仕上がっていることです。ですから、バロック音楽はピリオド楽器でないと・・・等と思っている人には是非とも一度は聞いてもらいたいものです。
ただ、これらは発売されたときは、(想像の域を出ませんが)、この聞いてひたすら美しい音楽を苦々しい思いで眺めていたコアなクラシックファンがいたことは間違いないはずです。
ただ、この手の教養主義と事大主義は、今の時代になっても完全には消えていないこともまた事実です。
音楽に精神性を求めてウンウン唸っている人が未だにいるならば、たまにはこういうあっけらかんとした音楽を聴いてみるのもいいのではないでしょうか。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
2632 Rating: 5.2/10 (86 votes cast)
よせられたコメント
2016-03-03:emanon
- ランパルといえば、かつてオーレル・ニコレと並んでフルートの2大巨匠でした。
ランパルは珠をころがすような美音が特徴でした。しかし、なぜか活躍の中心が1960年代で、それ以降は第一線から退いてしまいました。時代の嗜好と合わなくなってしまったのでしょうか。確かに、ランパルのヴィヴァルディやモーツァルトは素敵な演奏でしたが、バッハはミスマッチという感じでした。そのあたりがランパルが次第に飽きられてしまった原因かもしれません(あくまでも推測ですが)。
点数は7点です。久しぶりにランパルの楽しい演奏が聴けて懐かしかったです。
【最近の更新(10件)】
[2024-11-21]
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)
[2024-11-19]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)
[2024-11-17]
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)
[2024-11-15]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-11-13]
ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)
[2024-11-11]
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)
[2024-11-09]
ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)
[2024-11-07]
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)
[2024-11-04]
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)
[2024-11-01]
ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)