クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|オーマンディ(Eugene Ormandy)|ムソルグスキー:交響詩「兀山の一夜」(リムスキー=コルサコフ版)

ムソルグスキー:交響詩「兀山の一夜」(リムスキー=コルサコフ版)

オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1958年4月19日録音

Mussorgsky:Night on Bald Mountain


これもまたリムスキー=コルサコフによって世に出た作品

この作品はムソルグスキーの代表作となっているのですが、そして、それはその通りなのですが、細かく見ていくと幾つかのエクスキューズがつかざるを得ません。
まずは、この作品は合唱と管弦楽のための作品として構想されたものなのですが、残されたのはピアノ譜だけでした。もとはオペラ「ソロチンツィの定期市」の中の間奏曲として構想されたものなのですが、ムソルグスキーにはよくある話の「未完のままの放置」によって、そうなった次第です。
ただし、そこで構想された「間奏曲」は物語とは直接関係のない「悪魔の饗宴」を描いたものだったので、それならば、放置されたオペラとは関係無しに管弦楽曲として完成させたのがリムスキー=コルサコフだったのです。タイトルも、この作品の遠い原型となった「兀山のヨハネ祭の夜」にちなんで交響詩「兀山の一夜」となった次第です。

その意味では、音楽の骨格部分は紛れもなくムソルグスキーのものなのですから、これを彼の代表作に数え上げることになんの不都合もありません。しかしながら、そう言う骨格部分を一つにまとめ上げ華麗なオーケストレーションを施した功績は疑いもなくリムスキー=コルサコフにあります。ですから、これを交響詩「兀山の一夜」(リムスキー=コルサコフ版)と呼ぶのは実に正しい表記の仕方だと言えるのです。

なお、この楽譜の冒頭には次のような説明が付けられています。

「治下から響いてくる不気味な声。闇の精たちの登場。続いて闇の王チェルノボグの出現。チェルノボグに対する賛美と暗黒ミサ。魔女たちのサバドの饗宴。この狂乱が絶頂に達したとき、遠く野村の教会の鐘が鳴り始め闇の精たちは退散する。そして夜明け。」


50~60年代には非常に人気のあった作品


50~60年代の録音リストを眺めていると、この小品が非常に多く録音されていることに気づきます。穿った見方をすれば、それなりにまとまった作品を録音したときのLP盤の空きを埋めるための「埋め草」としてちょうどいいサイズだったからだとも言えます。これがCDの時代になると、埋め草を使うよりは「まとまった作品」を二つ収録した方が収まりがいいので、この手の小品の録音は少なくなっていったようなきがします。

しかしながら、この「分かりやすい状況設定」と、それに相応しい「おどろおどろしくも華麗なオーケストラの響き」は聞き手を簡単に虜にさせる魅力があったことも事実です。「埋め草」としてのサイズなら、これ以外にもピッタリな作品はたくさんあったのですが、そう言う数ある中からこの作品が「埋め草」として選ばれる機会が多かったのはそれなりに理由があります。
そして、その結果として新進気鋭から老巨匠に至るまで、数多くの指揮者がこの作品を同時代に取り上げているので、それらを聞き比べてみるのも一つの楽しみと言えます。

と言うわけで、パブリック・ドメインとなっている録音の中から面白そうなものを「兀山の一夜」を集めてみました。
貴方のお気に召すのはどれでしょうか?


  1. Antal Dorati:London Symphony Orchestra Recorded 8/6/1960

  2. Eugene Ormandy:The Philadelphia Orchestra Recorded 19/4/1958

  3. Lorin Maazel:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded 2/1959

  4. Georg Solti:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded 1959

  5. Carlo Maria Giulini:Philharmonia Orchestra Recorded 29/9/1956



ここでの魔女の饗宴は、下品な魔女と言うよりはどこかセレブリティな雰囲気が漂います。おどろおどろしいと言うよりはどこか華やぎがついて回ります。きっと、その饗宴に供されている食事なんかも豪華なのでしょうね。こういう書き方をするとあまりにも月並みなので気がひけるのですが、しかし、表現するとそう言う言葉を使わざるを得ないという感じになります。
オーマンディとフィラデルフィアらしい兀山の一夜です。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



2753 Rating: 5.9/10 (109 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-11-21]

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)

[2024-11-19]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)

[2024-11-17]

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)

[2024-11-15]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-11-13]

ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)

[2024-11-11]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)

[2024-11-09]

ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2024-11-07]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)

[2024-11-04]

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

[2024-11-01]

ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)