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SMETANA

<ボヘミア:1824〜1884>

経歴


1824年3月2日、リトミシュルに住むビール醸造技術者の息子として生まれる。1839年、高校進学のためにはじめて首都プラハに出かけ、そこでリストの演奏に接して大きな感銘を受ける。
 1840年から43年にかけてビルゼンで高校生活を送り、プラハに戻ってからはトゥーン伯爵家の住み込みの音楽家庭教師となる。
 1848年にはフランス2月革命の影響がプラハにも及び、スメタナは革命軍のために行進曲などを作曲する。

 その後49年には最初の妻と結婚するが、55年には長女を失い、同時に革命の失敗は様々な圧迫として社会全体を覆うようになり、56年からはスウェーデンに滞在するようになる。
 しかし、1859年、ナポレオン3世によるオーストリア軍の撃破は再びチェコ民族運動の盛り上がりを作り出し、スメタナも61年にはプラハに帰還し、以後、独立運動の音楽面での中心的存在となっていく。

 62年には長年の夢であった国民劇場の建設も始まり、スメタナもそれにこたえて愛国的なオペラを作曲する。また、理想化されたチェコの農村をえがいた「売られた花嫁」も完成し、66年には劇場にの首席指揮者の地位を獲得する。
 それ以後、スメタナは劇場のレベル向上に全精力をそそぎ込んでいくが、74年に、突然難聴に悩まされるようになる。
過労と、反対勢力からの中傷などで健康状態は急速に悪化し、81年、チェコ建国の神話をモチーフにしたオペラ「リプシェ」の初演の時には完全に聴力を失う。
 公職からは完全に引退し、農村での静養につとめるも、ついには1884年5月12日、発狂したスメタナは首都プラハの精神病院でこの世を去る。

ユング君の一言


スメタナと言えば「モルダウ」であり「我が祖国」です。
 彼の作品は常にチェコの民族的独立を求める運動とのつながりで作られたためか、そのモチーフには常に愛国的な側面が色濃くにじんでいます。そうでなければ、弦楽四重奏曲「我が生涯」のように私的側面が前面に出てきます。

 スメタナは基本的に独立運動の闘士であり、音楽はそのための手段として認識されていたようです。
 彼の作品はつねに具体的であり、標題音楽もしくは、標題音楽的な作品が主要な部分を占めています。抽象的な絶対音楽は彼の目的にとってはあまりにも「もどかしい」存在だったようです。しかし、その具体性と分かりやすさが、その後の歴史における政治的変動のなかにおいて、時に特別な意味合いで演奏される要因となっています。

 しかし、セルのようにある種の客観性を持って演奏されると(例えば、彼の手になるモルダウの演奏など)、それはそれで実に立派な作品に聞こえるわけで、単なる標題音楽と切って捨てることもできません。

 この事実は、スメタナこそはムソルグスキーなどとならんで、近代リアリズムの先駆者と言うべき存在なのかもしれないという思いに導かれます。世間的には国民学派の創始者と言われることの方が多いのですが、この「近代リアリズムの先駆者」という方が彼を理解をする上では重要なように思うのですがいかがなものでしょうか。

【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-11-21]

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)

[2024-11-19]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)

[2024-11-17]

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)

[2024-11-15]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-11-13]

ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)

[2024-11-11]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)

[2024-11-09]

ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2024-11-07]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)

[2024-11-04]

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

[2024-11-01]

ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)