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<フランス:1822〜1890>

経歴


1822年12月10日、リエージュに生まれる。画家の家系ではあったが幼い頃から音楽に興味を示し、11才の時には父に伴われて国内を演奏旅行する。
 1835年、パリに移住し、37年にはパリ音楽院に入学する。42年には音楽院を退学して一度ベルギーに帰国するが、44年再びパリに戻り作曲生活をはじめる。
 しかし、48年の革命で生活の糧(?)であった多くの弟子がパリを去るという困難に直面し、ついに1853年には過労のために健康を害して作曲活動を断念する。
 1858年、サン・クロティルド教会の合唱長、60年にはオルガン奏者の地位を得て、再び作曲活動をはじめる。
 66年、彼の演奏を聞いたリストによって「バッハ以外にならぶもののないオルガン奏者」と讃えられる。
 しかし作曲家としてはなかなか認められず、自作の演奏会を行っては惨めな失敗を繰り返した。
 1887年には、フランクがその力に相応しい評価が与えられないことを残念に思った弟子たちがフランクの作品のみの演奏会を行うが、これもまたあまり大きな関心はよばなかった。89年には交響曲ニ短調を完成して初演を行うも、これもまた評判は悪かった。
 しかし、90年4月19日に初演された弦楽四重奏曲ははじめて大きな喝采をもって迎えられ、「みんなはようやく私を理解しはじめた」と語ったという。
 ところが、それから日をおかずして、弟子のもとに向かう途中馬車のかじ棒に脇腹を打たれて意識を失い、そのまま健康が回復しないまま、11月8日、パリにおいて亡くなる。

ユング君の一言


作曲家としては珍しくスタートの遅い人でした。本格的に作曲活動をはじめたのは教会のオルガン奏者としての地位を獲得してからなので、すでに40才に近い年齢でした。その後も、オルガニストとしては高い評価を受けながら、作曲家としては全く無名の存在でありつつづけました。
 一つにはパリの聴衆の無理解もありました。その頃パリの町に鳴り響いていたのはオッフェンバックに代表されるような、色彩感にあふれた、激しいリズムと流行の舞曲を満載した軽い音楽でした。
 しかし、教会のオルガニストとして静かな宗教的雰囲気の中で生涯をすごしたために、音楽界の中で隠れた存在であったことも大きな原因と考えられます。
 そのため残された作品の数はあまり多くありません。
 しかし、ドイツ的ながっしりした構成の中にフランス的な繊細さを融合させた音楽は、その後のフランス音楽に「誠実」さを取り戻したものとして高く評価できると言えます。
 
 それにしても、結果論かもしれませんが、パリは才能ある音楽には冷たかった町です。でも、これはウィーンも同じだな。
 いつの時代も流行ほどあてにならないものはありません。(^^)

【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-11-21]

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)

[2024-11-19]

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)

[2024-11-17]

フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)

[2024-11-15]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-11-13]

ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)

[2024-11-11]

ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)

[2024-11-09]

ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2024-11-07]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)

[2024-11-04]

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)

[2024-11-01]

ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)