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<ハンガリー:1811〜1886>

経歴


1811年10月22日、ハンガリーのライディングに生まれる。
 父は、エステルハージ侯爵家の宮廷楽団でチェロ奏者をしていたが、後にはその才能を見込まれて土地管理人に任じられた。その任地であるライディングに赴いた彼は翌年に結婚し、二人の間に生まれたたった一人の子どもがリストである。

 彼は6才からピアノを教えられ、8才(1819年)ですでに公開の席で演奏を行った言われている。
 翌年にはエステルハージ候が滞在していたブレスブルグで演奏する機会を得る。その素晴らしさに感嘆した侯爵は、年額600グルテンの奨学金を6年間にわたって与えることを約束し、本格的にピアノを学ぶようになる。
 これを機会に一家はウィーンに居を移し、ピアノをチェルニーに、作曲をサリエーリに学ぶようになる。父は、さらに高いレベルでの勉学の場を求めて1822年にはパリへと向かう。しかし、入学を希望したパリ音楽院はリストが外国人であることを理由に彼の入学を拒否してしまう。

 しかし、1824年からはパリやロンドンで演奏会を行うようになり、特に即興演奏では絶賛を博して「かわいい奇跡」と讃えられるようになる。
 1828年には休養のために転地した北フランスのブローニュで父親が急死するという悲劇に見舞われるが、パリに戻ったリストはその名声を生かしてピアノの教授で経済的には恵まれた生活を送るようになる。
 その後、ロッシーニのウィリアム・テルから自由を求める精神を、ベルリオーズの幻想交響曲からすぐれた管弦楽法を、パガニーニからはその超絶的な技巧を、そして、ショパンからはその繊細で詩的な音楽の流れに大きな影響を受けながら、次第にリスト独自の世界を作り上げていくようになる。
 そのような成果を問うべく、1834年にパリで再び演奏会を開き、「かわいい奇跡」から「真の大家」への変身を遂げる。

 1835年、ベルリオーズから紹介されたマリー・ダグ伯爵夫人と深い仲となり、ジュネーブで同棲生活を送るようになる。その後、39年には二人は不仲となり、リストは単身で長い演奏旅行に出るようになる。そして47年からはカロリーネ・ヴィトゲンシュタイン公爵夫人と愛し合うようになり、ヴァイマルにおいて同棲生活をはじめる。
 その後、法王の取りなしで二人は正式な結婚をすることになるが、夫人の夫である侯爵は離婚を認めず、そのため、夫人はローマで宗教生活にはいると共に、リスト自身も法王に仕えるようになり、宗教音楽の作曲に専念する。
 1869年、再びヴァイマルに戻ったリストは、若い作曲家たちを支援し、自らも指揮活動を行うなど、多忙な日々を送るようになる。
 1886年には彼の生誕75年を祝う音楽祭が各地で開かれるが、ワーグナーのトリスタンを見るためにバイロイトに向かう途中肺炎をおこして7月31日にこの世を去る。

ユング君の一言


ユング君はリストに関してはよい聞き手ではありません。彼の作品をきくことはほとんどないといってもいいのかもしれません。
彼の魅力はなんといっても、ピアノのテクニックです。ピアノという楽器が持っている性能を限界まで引き出した彼の作品は、演奏会のショーピースとしては最高のものでしょう。
 管弦楽の作品でも、リストに源を持つという「交響詩」というジャンルは、ある意味ではオケのショーピースとしてピッタリの形式です。有名なフルトヴェングラーの「プレリュード」はそう言う軽さとは無縁の演奏ですが、あれは「勘違い」と言うべきか、「演奏が作品をこえた」と言うべきか、実に不思議な存在であって、あの演奏でリストの交響詩を評価しては誤るもとになります。

 リストの生き方を見ていると、何とも言えない「軽さ」と「かっこよさ」を感じます。そして、そのいうスタンスは彼の全ての作品にも反映しているように思います。

 それだけに、CDで彼の作品を聞くと、特にピア作品については「もどかしさ」を感じてしまいます。ユング君のシステムが何故かピアノと相性が悪いと言うこともあるので、この「もどかしさ」は倍加してしまいます。

 ピアノという楽器の持つ「美質」を惜しげもなくまき散らしてこそリストの魅力が分かるというものですが、機械を介するとこの「美質」が萎縮してしまいます。
 たまにコンサートなどで、ピアニストが見事にリストの作品を弾ききってくれると、「見事なものだな!」と感嘆したりするのに、それと同じ思いがどうしてもCDからは伝わってきません。おそらくは、ユング君のシステムにも問題があり、録音の仕方にも問題があるようなので、基本的にはコンサートよりはCD優先派であるユング君にとっては、いつまでたってもリストは相性の悪い存在であり続けそうです。

 ただ、ショパンがなくなると困るけれど、リスが消えてなくなってもそれほど困らないと言えば、リストファンの人には叱られるでしょうか?そりゃ、叱られるでしょうね・・・・。(^^;

【リスニングルームの更新履歴】

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[2025-08-16]

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エルガー:行進曲「威風堂々」第3番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 3 in C Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)

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バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.545(Bach:Prelude and Fugue in C major, BWV 545)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)