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<モラヴィア(チェコ東部) 1854年〜1928年>

経歴


モラヴィア地方の民俗音楽研究から生み出された、発話旋律または旋律曲線と呼ばれる旋律を着想の材料とし、オペラをはじめ管弦楽曲、室内楽曲、ピアノ曲、合唱曲に多くの作品を残した。そのオペラ作品は死後、1950年代にオーストラリアの指揮者チャールズ・マッケラスの尽力により中部ヨーロッパの外に出、1970年代以降広く世に知られるようになった。

ヤナーチェクの受容史


前述のように、「二流の地方の作曲家」であり、「プラハにおいては、彼はいくぶん冷やかに作曲家とみられていたが、それよりもわずかに敬意をこめて民俗学者と考えられていた」ヤナーチェクの知名度は、1916年にオペラ『イェヌーファ』のプラハでの上演を成功させたことにより大きく広がり、1920年代に入るとブルノやプラハでオペラ作品が次々と上演されるようになった。ただし母国以外で作品が上演されたのは主にドイツで、上演される作品はほぼ『イェヌーファ』と『カーチャ・カバノヴァー』に限られていた。

英語圏では1919年にロンドンで催されたチェコスロバキア音楽祭で男性合唱曲『マリチカ・マグドーノヴァ』が演奏された後、ローザ・ニューマーチの尽力によって1922年にロンドンのウィグモア・ホールで『消えた男の日記』が、1926年にはウィグモア・ホールで『弦楽四重奏曲第1番』など4曲が、1928年にロンドンのクイーンズ・ホールで『シンフォニエッタ』が、1928年にノリッチで『グラゴル・ミサ』が演奏・上演されたが、大部分は無関心であった。アメリカでは1924年12月6日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場でオペラ『イェヌーファ』(ドイツ語訳)が上演された時、イギリスの批評家アーネスト・ニューマンはこの上演を「明らかに素人に毛が生えた程度の男の作品としか思えない音楽」と酷評し、他にも「多くの批評家がヤナーチェクのなじみのない様式に当惑」した。

音楽評論家の相澤啓三はオペラ史におけるヤナーチェクの位置づけについて、以下のように評している。

一見カオス状の<20世紀のオペラ>の中には何々主義でもなく何の立場を表明するものでもないオペラ作曲家たちがいます。その作曲行為には自発性と多様性があり、その作品は劇場性と個人様式をそなえ、そしてある意味では孤立した作曲家たちですが、ある意味ではオペラの辺境から現れてその母国語の声調とその風土の音楽語法とに拠って新鮮な悦びをもたらしてくれた作曲家たちです。その最高がチェコスロヴァキアのヤナーチェクとイギリスのブリテンの2人です。

相澤は1992年発行の著書『オペラの快楽』において、ヤナーチェクのオペラが広く世に知られるようになったのは1970年代以降であるが、チェコ語で書かれた9曲中「少なくとも5曲か6曲はこれから世界中のオペラハウスのレパートリーとして歓迎されるようになるでしょう」と述べている。

ヤナーチェクの死後の1951年、オーストラリアの指揮者チャールズ・マッケラスの尽力によりオペラ『カーチャ・カバノヴァー』が初めてサドラーズウェルズ劇場で上演されたのを皮切りに、「ヤナーチェクに対する最も熱狂的な支持」がイギリスで巻き起こった[103]。イギリスでは「主要なオペラがすべて上演され」たほか、オペラ以外の作品に対する関心も高まりつつある。音楽評論家の相澤啓三は、ヤナーチェクのオペラが中部ヨーロッパから外に出るようになったのはマッケラスの功績であると評している。

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[2025-08-16]

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[2025-07-30]

エルガー:行進曲「威風堂々」第3番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 3 in C Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)

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バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.545(Bach:Prelude and Fugue in C major, BWV 545)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)